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終わりに
11月の平均水温は22.7°C(平年比+0.8°C、前年比±0°C)、12月の平均水温は20.2°C(平年比+0.7°C、前年比±0°C)でした。錆浦の海への冬の訪れは昨年と同じように進んでいます。2011年は2月に近年なかった超低水温が観測され、熱帯性の魚類が姿を消したので、今年も心配です。
さて、水温が下がると潜るのが少し億劫になってしまいますが、今年も続いているオニヒトデ駆除に誘われたので参加してきました。以前に比べるとオニヒトデ自体が少なくなり、サンゴへの被害規模も小さくなりましたが、串本の通常な状況と比べるとまだまだオニヒトデは多いようです。今回は串本海域公園4号地の沖にある「塔の沖」というダイビングポイントの近くでの駆除となりました。水温は約18°C、ドライスーツを着ていれば決して冷たい海ではありません。しかし、久しぶりの駆除参加となると、駆除の達人のような猛者ダイバーたちと駆除数の競争するのは厳しそうです。
海に潜ると、透視度20 m以上で澄みきっています。水深5 mくらいの海底を探していくのですが、あまりサンゴも多くなく、食痕もなかなかありません。オニヒトデがサンゴを食べると褐色をしたサンゴが白い骨だけになるので、白く見えるところ(食痕)を探すと比較的ヒトデを見つけやすいのです。ただし、白いサンゴの骨も時間が経つと、だんだんと褐色の藻類に覆われて薄汚れていき、その頃にはオニヒトデも全く別の場所に移動した後となっています。結局1時間ほど潜って何とか2匹のオニヒトデを発見、駆除することができました。この時は10人が潜って60匹ほど捕獲しているので、平均からすると私の駆除数は寂しいものでした。
最後に、駆除ダイブ中に見つけたキレイな魚を紹介しましょう。岩陰をのぞき込んで見つけたヒメギンポという5 cmくらいのヘビギンポ科の魚です。冬に繁殖期となる魚で、写真のオスは婚姻色がはっきりと出てこれ以上ない位に派手な色をしています。この美しさでメスの気を引こうとしているのでしょう。メスは地味な色なためか、見つけることができませんでした。
串本沿岸のサンゴ群集は適切なオニヒトデ駆除によって、オニヒトデの大発生から守られています。駆除によって陸揚げされたオニヒトデを見続けていると、いつまでこんな状況が続くのかと不安になりますが、できることを続けていくのが、今考えられる最適なことなんだろうと思います。駆除にかかる労力も大変なものなので、早くオニヒトデが減ることで安心して潜ることができる海になることを祈っています。