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終わりに
昨年秋の長期天気予報では、この冬は暖冬のはずでしたが、見事にはずれました。晩秋から初冬にかけては暖かい日が続き、今冬は梅が年の内に咲きました。
ところが、暮が迫る頃から、冷え込みが厳しくなり、年明けからは本当に寒い冬になりました。1月5日には雪が舞い、1月29日にはついに本州最南端の串本で雪が積もりました。こんなことは滅多にないことです。しかも近年の暖冬傾向で、この10年以上、積雪を見たことがありません。偉いこっちゃの暖冬予想でした。
ここでは梅は年の内に咲きましたが、梅干しの本場、南部-田辺方面では1月中旬から満開のようで、その花に雪が積もり、風情はあるものの、結実への影響が心配されています。
このような厳しい冬で、平均気温もかなり低く、天気の良い日でも余り気温が上がらない冬でした。この低温傾向は3月になっても続き、中旬に京都や東京で雪が舞い、串本においても彼岸の入りも結構な寒さでした。
このような気候のため、この冬は晴れた日があっても、陽気に誘われて、飛び出すチョウは一匹もいませんでした。例年なら、真冬でも晴れた日には、成虫で越冬するテングチョウ、ムラサキシジミが飛び、生き残ったヤクシマルリシジミやヤマトシジミ・キチョウがこれに混じるはずなのに、これらのチョウは冬の間は一切姿を見ませんでした。あまりの寒さに、本来越冬するべき蝶が寒さで凍え死んだのかも知れない、等と考えていましたが、2月25日にはキチョウが初見され、3月2日にはテングチョウが、翌3日にはモンシロチョウの飛ぶ姿が見られました。キチョウやモンシロチョウは越冬したさなぎから新たに羽化したものでしょうが、テングチョウは明らかに越冬した成虫が飛び出したものです。そこで、当地のテングチョウはこの冬の寒さに耐えて無事冬を越したのだと、感慨を新たにした、と言いたいところですが、テングチョウは日本ではもっと北にまで分布し、もっと厳しい冬を成虫で越しているという実績を持つので、少々寒かったといっても、ここ串本で成虫が越冬するのは当たり前のことでしょう。
一方、昨年までは冬中絶えず観察されたムラサキシジミは3月末になっても、その飛翔を確認していません。成虫越冬のムラサキシジミは、串本のこの冬を越すのに失敗したのかも知れません。
3月10日に串本を出て、13日に八重山から帰ってきました。八重山も着いた日は非常に寒かったのですが、12-13日は暖かくなりました。14日に串本海中公園に出てくると、既にヤマザクラが満開でした。10日から13日の間に開花したのです。14-15日になっても、京都や東京からは雪の便りが届き、散る桜と雪とが混じるなんてことはあり得ない絵空事だと思っていましたが、現実に起こる可能性を認識した次第です。
山ざくら 散りてみ雪に まがひなば いづれか花と 春にとはなむ
3月19日には潮岬でソメイヨシノの開花宣言が、気象庁からありました。本州で最初の開花宣言です。例年に比べて厳しい冬でしたので、常連の東京近郊を破って、潮岬が本州最初の開花宣言を受けたのです。23日には海中公園のソメイヨシノも咲き始めました。