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終わりに
8月16日からしばらくの間、私の都合と、天候の具合とで、観察ができない日が続きました。8月23日、あちこちでセンニンソウの真っ白の花が目立つようになりました(写真1)。8月1日には熟した実をたわわに付けていたイヌビワはわずかな実を残すのみで、葉に覆われています(写真2)。農家のムラサキシキブの実がわずかに色づき始めました(写真3)。
25日に、ミンミンゼミとツクツクボウシの初鳴きを確認しました。ちなみに昨年はミンミンゼミは25日、ツクツクボウシは19日の初鳴きで、本年は特に暑い夏でしたが、セミの初鳴き行事はそれほど違わないスケジュールで進行したようです。
近年の初鳴きの記録を拾うと下のようになります。毎年アブラゼミの初鳴きが記録されていないのは、近年数が少なく、また声もか細く、注意して聞いてなければ、ニイニイゼミの鳴き声と混同してしまうためです。またヒグラシは滅多に聞きません。それで、初鳴きとして記録するのは問題があるかも知れません。
年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 |
---|---|---|---|---|
ニイニイゼミ | 7/10 | 7/8 | 7/3 | |
アブラゼミ | 7/24 | |||
クマゼミ | 7/12 | 7/8 | 7/22 | 7/22 |
ミンミンゼミ | 8/15 | 8/23 | 8/25 | 8/25 |
ツクツクボウシ | 8/16 | 9/1 | 8/16 | 8/25 |
ヒグラシ | 8/23 |
8月31日、ヌスビトハギの開花を見ました(写真4)。また、藪陰ではキンミズヒキが目立たない花を連ねています。このような細長いものは私の使っている安物のデジカメのピントを合わすのが不可能で、バックにデジカメのカバーを置いて何とか撮影したものです(写真5)。
9月1日は定期観察日です。ウメはすがすがしい木陰を提供していますが、葉の様子は心持ち秋の気配を感じさせ、みずみずしさがないようです(写真6)。そのほかのクリ、カキ、ミカンはそれぞれ順調に実が大きくなっています(写真7-9)。ハマボウは葉を大いに茂らせて、夏に強いことを誇示しているようですが、既に花はなく(写真10)、種子が沢山できています(写真11)。
またこのあたりの雑木林で優占するアカメガシワですが、今年の夏の暑さに参ったのか、多くの葉がしおれています(写真12)。シイの実は随分立派になり、秋の収穫が楽しみです(写真13)。またシャリンバイの実はまだ青色ですが、実の頂上あたりが少し黒ずんできたようで、これから真っ黒になろうとしているところです(写真14)。
一方、トベラは立派な実を鈴なりにして、実も少し黄色を帯びてきて、熟していることが見て取れます(写真15)。しかしサンゴジュの様子はどうでしょう。実も充分にみのらず、葉の色も元気がありません(写真16)。細菌かウィルス性の病気かも知れません。本種は元来暖地性の樹種なので、今年の夏の暑さにやられたとは思えません。海岸沿いのクサギは既に花はなく、もう少しで実を囲む袋が開いて中から真っ青な実が顔をのぞかせるはずです(写真17)。一方、山陰のクサギはまだ花がの残っています(写真18)。イヌビワはもう実も残らず、深緑の葉を茂らせています(写真19)。ヤマモモ・ウバメガシは先月と変わるところがないようです(写真20)。
一方、ハマオモトは既に先月に花の盛りを過ぎましたが、今回は、多くの観光客の思い出と共に、ハマユウの花は終わりを迎えそうな様子です(写真21)。また農家の門前ではナンテンのみが青々としています(写真22)。この実も寒さが加わると共に、徐々に真っ赤に染まっていくことでしょう。
この時期になって、猛暑に一休みしていた昆虫たちも活発に活動するようになったと見えて、チョウが目立つようになりました。セイヨウタンポポに止まるベニシジミ(写真23)、そこいら中をジェット機のように飛び回るイチモンジセセリ(写真24)。暗い木陰にはヒメジャノメがひっそりと止まっています(写真25)。
9月3日にはオニドコロが甘い香りをあたりに漂わせていました(写真26)。また、9月13日に、研究所の前の山裾にハマアザミのきれいな花を見ました(写真27)。ハマアザミは年中咲いているのですが、この時期に見る花は一段と新鮮に見えます。翌、14日に、生け垣のシャリンバイの一枝のみに小さな花が咲いているのを見つけました(写真28)。どうしたことでしょう。
最終日、15日にはミカンの実は随分大きくなり、カキの実のいくつかもわずかに色づいたようです(写真29-30)。これからは実りの秋に向かって、季節は移ろいます。今年の夏の暑さは異常なほどでした。これから南方で発生する台風も、例年のコースを外れて、我が町への直撃はないのではないか、と甘い予想をしています。