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終わりに
3月も中旬を迎えると、紀伊半島南端の串本もそこいらじゅう春の到来を感じさせる出来事であふれます。私は3月17日から20日まで串本を留守にしていましたので、今回の観察は3月21日からということになりました。
21日は久しぶりの観察ということで、目新しいことがたくさん目につきました。
ウメはすっかり花が散って、萼(がく)もしぼみ気味で(写真1)、木には若葉が目立つようになってきました(写真2)。柿の木もようやく新芽が大きくふくらんできました(写真3)。一方、クリは未だに目立った変化はありません(写真4)。
12日にコース西端のモモが開花したことを報告しましたが、海中公園駐車場脇のモモが21日には咲いていました(写真5)。一方この駐車場のオオシマザクラは本格的に開花が始まりました(写真6)。しかし同所にあるソメイヨシノは大きなつぼみを付けていますが、開花はまだのようです(写真7)。
また、今年は2月15日に初開花をみたヤハズエンドウは近頃満開で(写真8)、毎年春先に鮮やかな花を咲かせるキランソウも満開です(写真9)。さらに散歩コースではタンポポが満開です。ここのタンポポは海中公園駐車場と違ってトウカイタンポポです(写真10)。また開けた草地にはサキゴケ(写真11)が見られますが、少し荒れたところには外来種のコメツブウマゴヤシが大いに繁茂しています(写真12)。さらに林縁にはトウダイグサが目立たない花を咲かせています(写真13)。
随分長い間花を咲かせているタチツボスミレにはこの春羽化したキチョウが求蜜に来ていますし(写真14)、海岸一面に咲き誇るハマダイコンの花にはモンシロチョウがとまります(写真15)。
24日にはウメの実もふくらんできました(写真16)。またフキノトウも花を咲かせています(写真17)。
3月27日には駐車場のサクラが満開になりました(写真18)。また園地の芝生の間にはびこっているミヤコグサが可憐な黄色い花をいっぱい咲かせています(写真19)。この日ジャコウアゲハの初飛翔を見ました。蝶は普通オスが先に羽化するので、この初飛翔もオスでした。
29日には串本を初め紀南でヒョウが降りました。串本ではそれに加えて竜巻も発生したようです。この時私はちょうど、四国足摺におり、ヒョウにも竜巻にも遭っていませんが、直径1 cm弱のヒョウが大量に降って、しかもそれが積もったそうで、串本では大変な騒ぎだったようです。また紀南のウメの産地ではウメの被害が出たといいます。
3月最後の31日には、翌4月1日があまり天気が良さそうではないので、定期観察を行いました。ウメ・カキ・クリとそれぞれに異なった新芽の状態です(写真20・21・22)。ハッサクは未だに少し実が残っています(写真23)。キンカンも熟し切っている感じで、もいで試食しましたが大変おいしく感じられました(写真24)。この日は大潮で、串本町有田地区のひじきが解禁の日に当たり、磯ではひじきの刈り取り風景が見られ(写真25)、刈り取りのあとは早速ひじきの天日干しが行われていました(写真26)。この日越冬したヒオドシチョウを見ました。また羽化したばかりのベニシジミ(写真27)とモンキチョウ(写真28)を今春初めて観察しました。
4月3日には駐車場のオオシマザクラは見頃を過ぎ、八重桜の開花が始まりました(写真29-30)。またツツジの開花も始まりました(写真31)。さらに散策コースではヘビイチゴが開花しました(写真32)。
4月5日にはジャコウアゲハのオスを今春初目撃し、翌6日にはアゲハと、ツマキチョウの共にオスを初目撃しました。7日は天気がよかったせいで、多くのテングチョウが飛び交う様が見られました(写真33)。この様子では今年もエノキはテングチョウの幼虫によって丸裸にされ、6月には大量のテングチョウの飛翔が見られるものと思われます。また同じエノキを食べるヒオトシチョウの越冬個体も今年は多く見られることから、同じ頃ヒオドシチョウもたくさん飛ぶと予想されます。この頃コースのヤマブキは満開でした(写真34)。またマキの生け垣にからみついているアケビが花の時期を迎えました(写真35)。
4月8日には駐車場のサクラは葉桜になり(写真36)、八重桜は見頃を迎えました(写真37)。この日、この春初めてのモンシロチョウのメスを見ました。翌9日は春の恒例現象の黄砂が見られました(写真38)。この日、この春初めてのジャコウアゲハのメスを見ました。4月14日には梅の実は随分大きくなりました(写真39)。紀南のウメの産地では3月29日に降ったヒョウのために多くの実に傷が付いて大変な被害が出たと報道されていますが、観察コースの梅の実はヒョウによる被害は見あたらないようです。
寒かったり、暖かかったりを繰り返しながら、春は紀伊半島南端の町にやってきました。今年の春はやたら雨が多く、すがすがしい春の日が少ないようです。我々も滅入りますが、自然界の動植物も今年の春はやはり滅入っているのでしょうか。
清明の頃、雨紛々。路上の行人、魂を絶たんと欲す。杜牧
借問す、酒家は何れの処にやある。牧童遙かに指さす 杏花の村。