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終わりに
南紀串本は夏本番を迎えて、連日クマゼミの大合唱が聞かれました。最近都市部ではアブラゼミに代わって、クマゼミが増えてきていると聞きますが、そういえばここ串本でもニイニイゼミのセミ時雨に続くのはクマゼミで、聞いているだけで暑さで気分が滅入るアブラゼミの大合唱は聞かれないようです。そもそもクマゼミ(写真1)の鳴き声は他のセミに比べてかなり大声です。それ故一匹が鳴き始めただけで、充分な存在感を誇ります。そのようなわけで、クマゼミが数匹も一斉に鳴き始めると、アブラゼミのセミ時雨はかすんでしまうのでしょう。
7月の末になって、畑の畦にキンミズヒキが清楚な花を開きました(写真 2-3)。前回紹介したホウズキは、7月10日頃に刈り取られて出荷されましたが、その時出荷されたのは半分だけで、残りの半分は7月28日になっても、未だ赤い実を付けたまま畑に残っていました(写真 4)。この畑の持ち主は、半量を生け花用に先に出荷し、残り半量をお盆のために残したものと思われます。
7月末の31日に、当地に台風が襲来しました(写真 5)。今回の台風は前回紹介した6号に比べてやや小さく、被害も前回ほどではありませんでした。明けて8月1日、6月下旬に開花したタイサンボクの巨花が再び咲き始め(写真 6)、ぽつりぽつりではありましたが、しばらくの間花を咲かせていました。これも閏年のせいでしょうか。しばらく見ない内に、柿の実もこんなに大きくなり(写真7)、ヒメキマダラセセリの飛ぶのが観察されました(写真 8)。
8月3日、地元小学生を対象とした、恒例のマリンスクールの最中に、研究室の私の部屋の中の窓サッシ上をアカテガニが歩いているのを見つけました(写真 9)。窓を開けて外へ逃がしてやろうとしましたが、彼はともすればサッシを越えて室内へ侵入することを好んでいるような行動をとっていました。そこで、窓から外側の地上へ落としたのですが、すると彼は少し凸凹のある研究所のコンクリートの壁を、投げ捨てられた窓枠に向かって必死に登って来るではありませんか。私はそこで窓を閉めて、仕事を続けましたので、それ以後の彼の動向は知りません。もう少し観察を続ければ良かったと、少し残念な気もしますが、最後に見た彼の行動からは、あのまま観察を続けていれば、きっと彼は再び私の部屋へ侵入したことはほぼ確実だろうと思います。
毎年暮れから正月にかけて、不精者の私も部屋の大掃除をします。すると本棚の下や机の後から、必ず数匹のアカテガニの干物が出てきます。くだんの彼も、あのままにしておいたなら、きっと今年の暮れに干物になってちりとりの中へと掃き込まれる運命が待っているに違いないと考えられます。
8月中旬になると、栗のイガもこんなに立派になりました(写真 10)。
また夏みかんの実も随分大きくなりました(写真 11)。夏の初めに香りの良い花房をいっぱい付けて、多くの蝶や花蜂・花アブを集めたサンゴジュも、サンゴ色の真っ赤な実を沢山付けています(写真 12)。
8月11日にはクマゼミのセミ時雨がやみました。時期なのか、台風の影響なのかは分かりません。クマゼミのセミ時雨が止むと、アブラゼミの鳴き声が聞こえてきました。上に書いたように、アブラゼミの鳴き声はクマゼミに比べてはるかに小さいことが実感できました。
この日、夏の終わりを象徴するクサギの花が咲き始めました(写真 13)。辺りにかぐわしい香りを漂わせて、夏の暑さにもキリリと咲き誇っているという感じです(写真 14)。ただし、クサギは名前の通り独特の臭みがあり、葉を揉むと臭います。
8月15日、お盆の最中でもあり、終戦記念日でもあるこの日に、ミンミンゼミが初めて鳴きました。あとは、夏の終わりを告げるツクツクボウシの初鳴きの日を聞き逃さないようにするのが、私の当座の任務でしょう。