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終わりに
4月19日には、前回紹介した海中公園センター駐車場の4月1日に開花したオオシマザクラの花はすっかり散って、小さなサクランボが沢山ぶら下がっています(写真1)。またそのときに大きなつぼみを持っていたツツジは今が満開です(写真2)。また同じ所ではボタンザクラも満開です。同じく4月1日にはアケビの花が観察ルートの畑地で開花したことを紹介しましたが、同じ場所で、アケビに近縁のムベが開花しました(写真4)。ツバキの新芽が伸びて、若葉が展開しています(写真5)。そのほかにこの日にはサンゴジュの花芽が伸びているのを見つけましたが、つぼみはまだまだ小さいようです(写真6)。翌20日にトベラが開花しました(写真7)。甘い香りに誘われて早速コアオハナムグリが訪れていました(写真8)。またこの頃には暗い林の中をコジャノメがフワフワと飛ぶのが目立ちます。なかなか撮影がうまくいかなかったのですが、21日にようやく撮影に成功しました(写真9)。
春の蝶の初見日について、前回では4月に入ってからの紹介が漏れました。ここでまとめて記録しておきます。4月11日に、ツマキチョウ、アオスジアゲハ、それにジャコウアゲハをこの春初めて見ました。そのうちジャコウアゲハはメスで、オスの初見は3日遅れの、14日でした。ジャコウアゲハは例年だとオスが先に見られるのですが、今年はこのようになりました。実際にメスが先に羽化したのか、あるいは私が観察したのが、たまたまメスが先だっただけなのか、それは不明ですが、たぶん後者でしょう。
今回分に入って、4月24日モンキアゲハ♂を初見しました。今年の春の蝶で気付いたことはモンキチョウが例年になく多いことです。モンキチョウの食草はマメ科で、辺りに普通に産するシロツメグサを食べていると思っていますが、モンキチョウが属する属Coliasは元来北方系の属で、温暖化が騒がれている昨今にあっては個体数が著しく増加するのは少しおかしな感じがしますが、直近の冬の、それも後半が例年になく低温だったことが、この常夏の紀南のモンキチョウの個体群に何らかの影響を与えたのかも知れません。
今年のコールデンウィークは珍しく天気がよく、気温も非常に高く上がることもなく、行楽を楽しむ人々には恵まれた天候だったようです。
4月29日には海中公園園地のシャリンバイが開花しました(写真10)。またこの日、観察コースから少し入ったところにあるキリの木が満開であるのに気がつきました(写真11)。さらに、コースにあるチャの木には若葉が出て、茶摘みの時期が近いことを知らせています(写真12)。
定期観察は4月30日と5月1日の2日にわたりました。ウメはすっかり涼しげな林になっています(写真13)。一方ハッサクは大きな実をぶら下げていますが、今年は奇妙なことに、落果せずに、木に成ったまま腐っている実があります(写真14)。4月30日にはウツギが開花しました(写真15)。ウツギは山裾の藪にあり、いつもひっそりと咲くので、うっかりすると初開花に気がつかない年があります。またこの日、海岸でハマオモト(=ハマユウ)が一本だけ開花しました(写真16)。たくさんある他の株ではまだ花塔も立っていないので、この株だけが異常に早く咲いた模様です。写真の後ろに写っているのは錆浦海岸では年中花を付けているハマダイコンです。処々にあるビワの木の実は大きくなっていますが、まだ黄色くなってはいません(写真17)。また秋にドングリのなるシイの木は花房を沢山付けていて、幾つかの房ではもう開花が始まっています(写真18)。
ゴールデンウィーク最後の5月6日、シイの花は満開で、小さなヒメアシナガコガネが周りをハチのように飛び回っていました。また多くの個体は花の上で交尾をしていました(写真19)。これまで永い間観察をしていますが、こんなに多くのヒメアシナガコガネが花に群がっているのを見たことがありません。
8日にはユキノシタが開花しました(写真20)。また、ヤマモモの実が大きくなり、ビワの実が色付きました(写真21・22)。そして、ミカンの木に白く大きなつぼみが見られるようになりました(写真23)。
5月31日にテングチョウの新しく羽化した個体を、また14日にはイシガケチョウの新羽化個体を観察しました。紀南串本では、陸上はすっかり初夏の装いです。