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終わりに
3月の平均水温は17.2°C(平年比+0.3°C、前年比±0°C)、4月の平均水温は18.0°C(平年比-0.3°C、前年比-0.9°C)でした。5月が半分終わっても20°Cを超える水温は記録されず、海中では春の訪れが少し遅れているようです。
海中展望塔にいつも数百匹群れているメジナたちは4月1日~5日と5月7日~10日に姿がほとんど見られなくなり産卵に出かけていたと思われます。3月にも1日だけ全く姿が見られない日があったのですが、このときは次の日には普通に戻ってきたので、産卵ではないように思います。メジナたちが毎年この時期に姿を消すことは以前から知られていますが、どこに行って卵を産んでいるのかは、今のところ分かっていません。また、5月21日と22日にはいつも20匹前後が見られるクサフグもほとんど姿が見られませんでした。初夏の大潮の夕方に産卵することが知られているので、大潮だった21日の夕方に産卵しているのではないかと思われます。クサフグは大潮の満潮時に砂利浜などに近づき、小石の下に産卵していくので、大潮が過ぎると、卵のある場所が海水に浸かることはありません。次の大潮が来て、卵が海水に浸かると孵化が始まり、引き潮によって孵化仔魚は海の中に運ばれていきます。敵に襲われにくいところに卵を産むのはひとつの繁殖戦略であると思うのですが、元々クサフグの卵巣には猛毒があるので敵が食べてしまう心配はいらないようにも考えられますし、卵が干上がって死んでしまう危険性を考えると、とても不思議な習性だと思います。展望塔の周辺に集まっているクサフグは近くの浜に産卵に行くと考えられますが、実際にどこで産卵するかは分かりません。展望塔の200 mほど北にちょうど良さそうな砂利浜があり、夏にクサフグの幼魚を多く見かけるので、多分この場所が産卵に適していると推察されます。今年は観察できませんでしたが、来年は卵を産みに集まってくるクサフグの親たちを観察にチャレンジしたいと思います。