串本海域公園について
串本海域公園の利用
串本海中図鑑
串本海域公園の話題
終わりに
ミカンの白い花が咲き小さな実がなった。ミカンと言ってもこれは広く知られる温州蜜柑ではなく「福原オレンジ」という珍しいミカン。福原オレンジは1909年(明治42年)頃千葉の福原さんという方の庭でできた珍しい日本生まれのオレンジ。香りが大変良く糖度も申し分ないが栽培しにくく、今や全国で栽培がほとんどされていない稀少なオレンジだ。串本では昭和初期から数軒が栽培していたが、今も作り続けているところは1軒だけ。福原オレンジの取り入れは5月頃。晩柑といい温州ミカンなどとは半年ずれる。実が熟する頃に花が一斉に咲く為、実の取り入れは花吹雪の中で行うことになる。と言っても、ミカンの花は桜の花と違って分厚いので、ハラハラとは舞わない。頭の上からバラバラと音を立てて落ちてくる。花吹雪ならぬ花アラレ(これってお菓子の名前?)である。そしてよくよく見るとその花の下にはすでに小さな小さなミカンの赤ちゃんが、まるでドングリの様な形の緑の実をつけている。
近くのゴウラ(丸太をくりぬいて人工的に作ったミツバチの巣)から大挙してミツバチがやってきてミカンの花に群れ始める。淡い優しい香りが彼らを誘うのだろう。ただし、昼間は淡いこの香りはなかなか私たちの鼻には届きにくい。夕方遅い日が落ちる頃、山の上からこの香りがそっと山を下ってくる。梅雨本番である。