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終わりに
陸上はセミが鳴き始めるようになり、完全に夏がやってきましたが、海の中ではまだ夏が遠いようです。錆浦の水温は4月が19.3°C(平年比+1.2°C)、5月が19.9°C(-0.6°C)、6月が23.1°C(+0.2°C)とゆっくりと上昇してきました。しかしながら、7月に入ってからは雨が続いたこともあり、水温も低い状態が続いています。
さて、海に潜ると、多くの魚が産卵シーズンを迎えている姿が見られます。最も目につくのはやはりクロホシイシモチで、6月頃から雄と雌がペアになって寄り添って泳ぎ、雄が口の中で卵を守っている姿は見られます(写真1)。また、大きなクマノミのいるイソギンチャクに近づくと、クマノミのペアが猛烈な攻撃を仕掛けてきます。肌の出ているところを攻撃されると結構痛いのですが、そのまま近づいてイソギンチャクの陰を見ると岩に生み付けたたくさんの卵が確認できます(写真2)。石の下から出入りしているソラスズメダイもよく見られますが、これは巣を守る雄で、出入りしている石の下には卵が隠されていると思われます(無理に見るわけにはいかないので、本当に卵があるのかはわかりませんが…)。近くにはまだ2 cmに満たないソラスズメダイの幼魚も見られました(写真3)。串本生まれかどうかはわかりませんが、小さな子どもたちも着々と増えてきているようです。
そんな海の中で珍しいフグを見つけました(写真4)。一見、普通に見られるキタマクラ(写真5)のようですが、よく見ると全体的に体色が薄く、眼や口の周辺に青いスジがあることや尾ビレが赤いことなどの違いが見られました。後で調べるとカザリキンチャクフグと判りましたが、串本ではこれまでほとんど記録のない非常に珍しいフグだと思われます。大きさは3 cmほどで、ちょうど今見られるキタマクラの幼魚と同じくらいのサイズでした。遠目にはほとんど違いが判らないくらいに似ているので、よく捜すともっと見つかるかもしれません。
いろいろな魚たちの子どもが見られるようになってきましたが、7月中旬に台風4号が紀伊半島に接近通過しました。海中では多くのサンゴが破壊されるなど多くの被害が確認できることから、小さな魚たちもかなり死んでしまったのではないかと思われます。詳細は調べてみないとわかりませんので、次回の更新で報告したいと思います。