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終わりに
3月3日にようやく海中展望塔の営業が再開できました。昨年秋台風23号の高波で連絡橋が破壊されてから4ヶ月ぶりの営業です。この間、通常通りエサをあたえられず、また復旧工事の影響で魚が逃げ出してしまうのではないかと心配していました。とくに海中展望塔の中心的な存在になっているメジナは警戒心の強い魚ですので、その動向が気がかりでした。こんな心配をよそに営業再開当日にはたくさんのメジナたちが集まり、関係者は一安心でした。
この冬は黒潮の離岸により水温はやや低め、おまけに昨年の記録的な台風襲来で塔周辺のサンゴや小魚が激減しています。こんな状況での営業再開ですので、なんとかメジナだけでも集まってくれればと願っていました。営業を始めてみるとメジナは予想外に多く集まり、ブダイやニザダイも頻繁に見られます。出現種数は20種以下と少ないのですが、大型の魚の出現で見た目は賑やかになり、塔を訪れた観光客の方々にも喜んで頂いています。
思いがけずアカカマスの群も現れました。塔から少し離れたところでのんびりと群がっています。数は100~300尾ほどで、時々観察窓の近くにまでやってきます。大きさは30cmくらいのものが中心ですが、中には50cm近くの大型のものも見られます。大きなカマスがこんなにたくさん現れるのは久々のことです。体の色は少し黄色がかっていて、太陽の光を受けると金色に光って見えます。とくに夕方の陽の光を浴びると一段と輝いて見えます。
観察窓からの撮影を試みましたが、距離が遠かったり、近寄ってきても動きが速くてうまく撮影できません。しかたなく潜水して撮影することにしました。のんびり泳いでいるようですが近づくと離れてしまいます。逃げるというより安全な距離を保っているようです。時々こちらの様子をうかがうように近づいてきます。この時がシャッターチャンス!知らない間に潜水時間は2時間近くになり、アカカマスたちに遊ばれていたような感じでした。
海中展望塔の営業が再開された1週間後にはアカカマスの姿は見られなくなりました。時々遠くでちらっと見られるくらいです。ちょっとさびしい気もしますが、全く期待していなかった出現でしたので、彼らを見ることができたのは幸運でした。アカカマスたちは海中展望塔の開店祝いにふらっと現れたような気がします。