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終わりに
今年の冬は、前回にも書きましたように、後半になって本格的に厳しくなった感じがあります。それでも2月20日を過ぎる頃から、天気の良い日には春らしい暖かさが感じられるようになってきました。20日、21日の両日、毎年晩秋にムラサキツバメが見られるひだまりに、一尾のムラサキツバメが訪れました(写真1)。ムラサキツバメは成虫で越冬し、初春に卵を生みます。一般に群れをなして越冬するといわれていますが、この観察地付近では集団を作ることがないようです。個体数が少ないせいかもしれません。
2月23日にはウメが盛りを過ぎ、花殻が目立つようになってきました(写真2)。
2月29日、何時でるか、何時でるかと注意していたフキノトウがようやく芽を出しました(写真3)。毎年、かなり塔が立ってから初めて気づくのが常でした。それで今年こそはと、芽が顔を出すのを毎日探していたのですが、ようやく成功しました。それでもニュースで報道される近辺のものに比べてかなり遅いようです。観察コースのフキノトウのでる場所が、日当たりの良くない山陰であることが原因だと思います。
3月1日の定期観察では、ハッサク・ウメ・カキ・クリは写真の通りです(写真4~7)。またダイビングパーク奥の日当たりの良いところにあるピンクのウメは満開で、ハエが蜜をなめていました(写真8)。付近ではトウカイタンポポがたくさん咲いています(写真9)。
駐車場ではヤブツバキが満開で(写真10)、キンカンの実も熟していて(写真11)、ビワは小さな青い実をたくさん付けました(写真12)。シイとシャリンバイの新芽が目立ちます(写真13・14)。天気の良さに誘われて、越冬中のキタテハも飛び出しました(写真15)。
3月1日以後6日までは、これといった変化が見あたりませんでした。また、7日~14日は天候と留守とで、観察の機会がありませんでした。
今回最後の3月15日は非常に天気のよい日で、錆浦ではこの日に一気に春が来たという感じです。この日、観察地域からやや離れた山腹にヤマザクラが開花しました。ハッサクは相変わらずですが、タチツボスミレがたくさん咲き(写真16)、あぜ道にはアマナが咲きました(写真17)。また、セイヨウタンポポもトウカイタンポポも咲き競っています(写真18・19)。
ヤマモモの花がやや開き(写真20)、ヤブツバキはまさに満開です(写真21)。ヤブツバキが開花を始めたのは去年の11月22日なので、実に長期にわたって花を咲かせていることになります。一方海岸ではハマダイコンの花がやや多くなってきて、側にあるハマオモトの株の凍みて褐色に変色した葉と好対照を見せています(写真22)。この日に観察コースで今年初めてのウグイスの鳴き声を聞きました。このコースの東隣の谷では、ウグイスの初音を2月25日に聞いているので、谷筋一つ違いで、実に20日のずれがあったことになります。
この日はルリシジミの新しい羽化個体、ヤクシマルリシジミ、モンキチョウ、イシガキチョウ(越冬個体)の今春初飛翔が見られました。
また、この日海岸ではフクロノリが大量に打ち上がっていました。茶色のフクロノリと緑のアオサのコントラストが目立ちます。また波打ち際の海中にも大量のフクロノリが浮漂しているのが見られました(写真23・24)。フクロノリの繁茂の後の流出はこの海域の春の風物詩といえるでしょう。