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終わりに
前回の最後に、紀南串本もまもなく暖かくなるでしょう、と書きましたが、なんの。1月16日を過ぎてからも今日まで、非常に厳しい寒さが続きました。天気が悪いのと、周りの生きものにあまり変化が見られない日が月末まで続きました。それでも季節は着実に進んでいると見えて、1月26日には海中公園駐車場の大島ザクラの花芽がかなり大きくなっているのに気がつきました(写真 1)。
2月1日の定期観察では、ウメがいよいよ花盛りになってきたのが目立った変化です(写真 2-3)。観察コースでは山陰の日当たりの良くないところにある早咲きの巨木はすっかり満開です(写真 2)。一方、ミカンの木が並ぶ日当たりの比較的良い場所のウメはそれに比べてやや遅咲きです(写真 3)。また花の周りにはメジロがたくさん飛び回り、盛んにウメの蜜を吸っています(写真 4)。
その他、ハッサクは相変わらず大きな実をぶら下げています(写真 5)。クリとカキは葉を全部落として、まさに真冬を演出しています(写真 6-7)。先月までは真っ赤だったトベラの実の中の種も赤黒い色に変化しています(写真 8)。また、先々月まで花を咲かせていたビワには小さな実が見えます(写真 9)。さらに冬の花として、あでやかさを誇っていたタイキンギクは綿のような種を咲かせ(!)ました(写真10)。
一方、海岸ではハマダイコンが細々と花を咲かせていますが、その隣では寒さに凍みたハマオモトの株が哀れを誘います(写真11)。田んぼの畦では先月に続き、シロバナタンポポがぽつりぽつりと花を咲かせています(写真12)。本格的な春になると、いっぺんに数輪の花を見ることが出るのですが、この時期は忘れた頃に一輪、また一輪と咲くようです。しかし春の花もしっかりと咲き始めました。ジロウボウエンゴサクが繊細な花を咲かせました(写真13)。さらに海岸では、ボタンアオサが波打ち際にグリーンベルトを作りました(写真14)。ふるえるほど寒い日が続いているのに、どうして生きものは春の近いことを知るのでしょう。
翌2日、畑の畦にホトケノザが咲きました(写真15)。クローズアップにして見ると、なかなか美しい花であることに感心させられます。このスケールの視野で、虫たちはこの花を見て、おそらくはその美しさを愛でているのでしょう。この日は何本もホトケノザが咲き連なっていましたが、そこには一匹の虫も訪れていないようでした。
2月4日には春の花の代表の一つであるオオイヌノフグリが咲いていました(写真16)。あの鮮やかなブルーはヒマラヤのブルーポピーにも匹敵するほどの色なのですが、残念なことにサイズが小さいのと、和名があまり良くないので非常に損をしているように思います。2月10日にはミカン畑のウメもいよいよ満開となり(写真17)、ここに1本のみあるか細いロゼウメ(ワインにならってこう呼んでみました)に、薄いピンクの花がやっと咲きました(写真18)。
2月の中旬になっても、串本は珍しく寒い日が続き、地球温暖化がどっかへ行ってしまった様な日が続いていますが、あと2週間経って、3月になれば、日本は春ということになるはずです。どうもそのような実感がしない近頃の寒さです。