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終わりに
冬の暖かさとは裏腹に、寒い春がやってきました。かくいう私は3月6日から29日の間、高知県に2度、徳島県と長崎県対馬に各1度の出張と、さらにその間に串本での用務もあり、昼の観察時刻に海中公園にいたのは、11日と21-22日と25日の4日のみですが、11日は先月分に入ります。春分の日の3月21日、さすがに少し春らしい日差しが戻り、羽の薄汚れたベニシジミの飛翔を観察しました。ハネの痛み具合から今春羽化した個体ではないことがわかります。さらに普段はそんなに見ることがないのだが、春先だけは比較的よく目につくモンキチョウの飛翔を今春初めて観察しました。翌22日にはモンシロチョウとルリシジミの今春初飛翔を見ました。モンシロチョウの初見は去年は3月15日でしたから、暖冬の今年は1週間ほど遅い初見となりました。
25日、気がついたことは留守をしている間にビワの実がずいぶん大きくなったことでした(写真 1)。この日、串本に春を告げる大型の蝶、ジャコウアゲハ♂の初飛翔を観察しましたが、撮影には成功しませんでした。3月30日、久しぶりにじっくりと周囲の自然観察を行うと、3月初めとは随分といろいろなものが変化していたことで、四季のうちでも、春の自然界の変化の早さを改めて実感しました。25日以来の観察となるこの日、海中公園駐車場のオオシマザクラが開花していました(写真 2-3)。またツツジも既にちらほらと開花していました(写真 4)。この日、ジャコウアゲハ♀を初見しました。しかし撮影できたのは♂です(写真 5)。
また山際ではキランソウが満開で(写真 6)、開けたところではシロツメグサが花をつけました(写真 7)。さらに海岸へ降りると、ハマタイゲキとハマエンドウが早くも花をつけています(写真 8-9)。この日ツバメの飛翔を今春初めて見ました。3月31日にはレストラン裏のミヤコグサが満開で、またこの春羽化したベニシジミを見ました(写真 10)。
4月1日、観察日です。ミカンはあまり変わっていません。まだ実が1つだけ残っています(写真 11)。クリはまだ枯れ枝状です(写真 12)が、カキはみずみずしい黄緑の新葉が出ました(写真13)。ウメは葉も茂り実も大きく成長しています(写真 14)。ビワの実はだんだんと大きくなっています(写真 15)。オオシマザクラは随分咲きましたが、今年はパッと一斉に咲くのではなく、だらだらと咲き続けているようです(写真 16)。
また近くにある八重桜もほころびました(写真 17)。この日トベラが初開花し、ウバメガシの花も咲きました(写真 18-19)。シャリンバイの花芽は大きくふくらんですぐの開花を思わせます(写真 20)。サンゴジュ・キンモクセイ・シイはそれぞれ新芽を伸ばしています(写真 21-23)。一方、チャとヒメユズリハは未だに新芽を出す気配が見られませんでした(写真24-25)。海岸ではハマダイコンが今を盛りと咲いています(写真.26)。またこの日、ハルゼミの初鳴きを聞き、アゲハチョウの飛翔を今春初めて見ました。
4月2日はヤマブキが初開花しました。この日全国で黄砂が見られましたが、串本の黄砂もいつになく顕著なものでした(写真 27)。車の上に土が薄く一層積もった感じで、このようなすごい黄砂は記憶にありません。3日にはクリとイヌビワが新芽を吹きました(写真 28-29)。またこの日、海中公園駐車場のソメイヨシノが開花しました(写真 30)。さらにアケビが開花しました(写真 31)。
先日来飛び回っていたツバメを7日に撮影しました(写真 32)。水族館の軒に巣を構える気配です。8日には枯葉そっくりで、すぐ前にいても全くわからないクロコノマチョウ越冬個体の撮影に成功しました(写真33)。春のこの時期になると産卵のために飛び出しますが、本年は少し個体数が多いように思われます。またこの8日には、2日に初開花したヤマブキの花が咲きそろいました(写真 34)。
観察最終日、4月15日にはシャリンバイが開花しました(写真 35)。またこれまで新芽の出ていなかったチャとミカンに新芽が認められました(写真36-37)。さらにサンゴジュの花芽が大きくなってきました(写真 38)。ウメの林は涼しげな新緑の木陰を作っています(写真 39)。串本はまさに春本番で、自然界総出で、ゴールデンウィークでこの地を訪れる人々の出迎えの準備をしているといった感じです。