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終わりに
新年明けましておめでとうございます。昨年は当海中公園にとっても、また世界の人々にとっても、災いの多い年でした。
今年こそは我々にとっても、このページを開いてくれた人々にとっても、さらには世界中の多くの人々にとっても、最良の年になるように祈り、かつその方向への努力をしたいと思います。
海中公園付近の陸上の自然の移り変わりを、この場で公開し始めて早1年が経ちましたが、それにも懲りず、今年もこのスタイルで続けていきたいと思いますので、みなさまどうぞよろしくお願いいたします。
この冬は例年に比べて時節の進行が早いようです。海中公園の駐車場の縁にあるキンカンの木の実は12月23日にはすでに黄色く色付き始めました(写真 1)。そして押し詰まった28日には、私の観察コースで例年一番早く咲くウメが初開花しました(写真 2)。この日にはダイビングパーク裏の雑木林の縁ではタチツボスミレの花も見られましたし、ノコンギクが咲いていました。いつも見慣れた花よりも、ピンクが強く、非常にきれいに見えました(写真 3-4)。お正月までは今冬は大変暖かい日が続いたせいだと思います。
さて新年を迎えましたが、仕事の関係と、天候の具合で、なかなか定期観察ができませんでしたが、ようやくのこと、1月6日-7日に本年初の観察を行いました。
定例のカキとクリとは相変わらずの枯れ枝のみでした。一方ミカンは大きな実が沢山ぶら下がっています(写真 5)。ミカンの皮の表面がつるりとしているので、夏ミカンと思っていたものはハッサクかも知れません。一方定例観察木のウメはつぼみがふくらんでいますが、早咲きのウメではもう開花しているというのに、開花には未だ時間が必要なようです(写真 6)。観察コースのキンカンも熟しましたが(写真 7)、沢山のキンカンが落果していました(写真 8)。それらをよく見ると、部分的にかじったあとが見られます(写真 9)。間違いなくサルの仕業です。この木のキンカンはだれも収穫しないようなので、サルに利用されれば幸いとも考えられますが、もう少し丁寧に、残さずきれいに食べてくれればと思わせる喰いっぷりです。
冬はなかなか目につく変化がありません。そこで、めでたくも正月に花を咲かせている野生植物を見て回ることにしました。さすが南端串本で、意外と多くの花が観察できました。雪に閉ざされている北国では想像もできないことでしょう。
まず冬に限らず年中咲いているものには、カタバミ(写真 10-11)、ムラサキカタバミ(写真 12-13)、ハマアザミ(写真14)、ハマダイコン(写真15)、ヒメジョオン(写真16)があります。またこの冬に開花期を持つものは黄金色のタイキンギク(串本海中公園の今(いま)の生物暦の項に写真がある)があります。
そしてこの時期としては珍しいものにはヤハズエンドウ(写真17)、トウカイタンポポ(写真18)や、ジシバリともよばれるイワニガナ(写真19)、それにタチツボスミレ(写真20)、ヒメオドリコソウ・オニタビラコなどがあります。串本のお正月は野辺に花見に行っても充分に楽しめるほどの花々が咲き乱れているのです。
1月13日は正午過ぎの観察の時刻が干潮であったため、潮が引いた岩礁面に緑の苔が一面に生えたように、ボタンアオサが海岸の岩を覆っていました(写真 21)。これからが冬本番だというのに、何か春めいた気分にさせる海岸の眺めです。この日には観察を続けるウメのつぼみも一層ふくらんで(写真 22)、もうすぐ開花を迎えようとしています。