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終わりに
昨年12月より気温が低い日が続き、日本各地で大雪による事故などのニュースが飛び交っていますが、錆浦では何回か雪が舞った程度です。それでも、12月の平均気温(朝9時計測)は7.9°Cで平年よりかなり低く、当串本海中公園センターでの観測史上最低記録を更新しました。1月中旬になってからは朝9時の気温も10°C以上の日が続き、この寒さも一段落と言ったところでしょうか。
さて、海中はと言えば、海中展望塔で測る表面水温はクリスマスの頃に15.9°Cを記録しましたが、それ以外は17°C以上で、1月に入っても18°C前後を推移しています。昨年はこの頃に16°C以下の水温が連続して記録され、寒い寒い冬に突入していった経緯もありますが(2005年4月の記事を参照)、今年は黒潮も潮岬沖15マイル程と近くを通り(昨年は80マイル程)、昨年のような冷たい海にはならないように思われます。
海中の生物に目を向けると、海底の転石上をフクロノリが覆い始め、冬特有の景観ができつつあります(写真1)。また、錆浦地先のサンゴ群落ではチョウチョウウオ類の幼魚たちが普通に見られます。種数と個体数が少々減ってしまったものの、9月に現れ始めた頃と比べるとみな大きく成長して5 cmくらいになっています。大きくなると縄張り争いも活発になり、クシハダミドリイシの隙間を縄張りとするヤリカタギは数匹が追いかけっこする姿がよく見られます(写真2)。スギノキミドリイシの枝間にいるトノサマダイやスミツキトノサマダイなどは少しずつ距離をとって喧嘩しないようにしているかのように思われます(写真3-4)。トゲチョウチョウウオやアケボノチョウチョウウオは前述3種とは異なり、サンゴへの依存度が低く、あまり隙間に隠れず、岩などをつついています(写真5-6)。
これから、陸上が寒くなってくると、水温も少し下がってきます。しかし、黒潮が今のまま接岸傾向であれば、16°C以下に下がることはほとんどないものと思われます。16°C以下の水温が長く続くことがなければ、今見られるようなチョウチョウウオ類は浅いサンゴ群落で越冬ができ、夏までにさらに大きくなっていることでしょう。