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終わりに
串本町のラムサール条約湿地で唯一潮岬の東側に位置するのが、紀伊大島の隣の小さな島、通夜島の北岸にある「地蔵岩」と呼ばれるダイビングポイントの周辺です。ここは希少種オオナガレハナサンゴの国内最大の群生地があり、ダイビングポイントからもこのサンゴを見ることができます。また、通夜島の周辺には面白いダイビングポイントが点在しています。そのひとつ、白野港のすぐ横から潜れるダイビングポイントの「内浦ビーチ」に潜ってきたので紹介しましょう。
この内浦ビーチは毎年10月から翌年3月ごろに解禁となり、季節限定でダイビングを楽しむことができます。水深は最大30mくらいで、潜ると水深10mくらいから砂地が見え始め、坂になった砂地で様々な生き物を観察することができます。通夜島と大島に囲まれた大きな湾の奥にあるため、たいてい波が穏やかで流れもほとんどなく、深さと時間に注意を払っていれば、初心者でも普通に潜ることができるところです。今回は透視度が15mと高く、潜っている時間がとても短く感じられるダイビングとなりました。
この日、見られた魚の中で気になったものはヒメジ、タマガシラのような砂底ちかくを泳いで餌を探す魚、トカゲエソ、ゴテンアナゴのように砂に体を隠して獲物を待ち構える魚、イトヒキハゼやクサハゼ、シゲハゼのようにテッポウエビ類と共生して穴にすむ魚などです。また、砂の上に落ちているゴミ(空き缶とかホース)に注目すると、これを巣穴にしているミジンベニハゼやクロイシモチが見られます。今回はクルマダイの子供も空き缶の影に隠れるようにして見られました。ここに挙げた10種の魚はクサハゼを除くと潮岬西側ではあまり見られない魚たちです。
潮岬の東側は串本海中公園のある西側と比べると1~2°Cくらい水温が低く、当日の水温は19°Cでした。水温の差はありますが、多く見られる生き物は西側と共通したものが主となります。しかし内浦ビーチでは、先に挙げたように西側ではあまり見られないものが普通に見られ、いつもと違った感覚で新鮮なダイビングを楽しむことができました。