串本海域公園について
串本海域公園の利用
串本海中図鑑
串本海域公園の話題
終わりに
今年は季節の移り変わりがやや遅いようです。10月半ばを過ぎても海中公園周辺は晩夏から早秋の感じで、多くのチョウが飛び回っています。特にサツマシジミやテングチョウがやたらと飛び回っています。
10月16日、ノコンギクに止まるサツマシジミを撮影しました(写真 1)。また同日にはせわしく飛び回るテングチョウも撮影しましたが(写真 2)、テングチョウは落ち着きのないチョウで、じっくりとカメラを向けるのが難しく、この写真もピントが甘くなっています。
翌17日、毎年秋に咲くアザミの花があちこちで見られるようになりました(写真 3)。
またこの日、この地方の初冬の風物詩でもあるツワブキの花が今にも咲きそうな具合に、つぼみが大きくふくらみました(写真 4)。このつぼみは翌18日にほころびました(写真5)。秋本番の様子で、海中公園の国道を挟んだ反対側の空き地に育つセイタカアワダチソウもまさに満開を迎えました(写真 6)。晩夏に盛りを迎えるクサギの花も終わり、あの臭い香りに似合わないかわいい実を付けています(写真 7)。近くの畠ではケイトウの花が出荷を待っています(写真 8)。翌18日から26日までは所用と天候の加減で、観察をする機会がありませんでした。
27日に久しぶりに観察コースを進むと、辺りはすっかり秋の気配ですが、今年は相変わらず多くのチョウが目に付きます。越冬地にやってきたムラサキツバメは相変わらずお気に入りのミカンの葉の付近で飛翔と休息を繰り返しています(写真 9)。秋になってめっきり個体数を増やしたモンシロチョウも辺りの花で吸蜜に余念がありません(写真 10)。中旬には落ち着かなく飛び回っていたテングチョウも今では葉の上で日向ぼっこです(写真 11)。秋に渡ってくるので有名なアサギマダラの姿もちらほらと見えるこの頃ですが、本日はマークの入った個体を見つけました(写真 12-13)。
今回の定期観察は11月2日に行いました。ウメは葉が全く落ちて、先月期同様、枯れ木然としています(写真14)。クリの葉はまだ青いものも多くありますが、黄色くなって、中には既に散った葉も沢山あります(写真 15)。クリの木の下には例によって、たくさんのイガが落ちていますが、中身のクリの実は食べられてしまっています(写真 16)。今年の犯人はサルというより、イノシシではないかと思っています。例年なら食べた後のクリの皮が落ちているのですが、今年は皮があまり見あたらず、クリは皮ごと食べられたようです。カキもまだ多くの葉を付けていますが、その内でも多くのものは赤く染まっていますし(写真 17)、風が吹いた時に落ちたと思われる落葉が辺りに散乱しています。ハッサクは大きな実を付けています(写真 18)。サルが既に味見をしたようです(写真 19)。
この日、ビワとチャの花が咲いていました(写真 20-21)。また、ナンテンの実が僅かに色付き始めました(写真 22)。秋に個体数を増すウラナミシジミが飛び回っています。飛ぶのが早くてうまく撮影できない種ですが、今回は撮影に成功しました(写真 23)。
11月4日、サツマシジミの雌が蜜を吸えそうな花を見つけて、止まっているように見えます。ハネもかなり傷んで、うらぶれた感じがします(写真 24)。万物が枯れ落ちる冬が近いことを訴えているようです。
7日に満開になっているツワブキの花にアサギマダラが吸蜜していました(写真 25)。翌8日、海中公園のツバキが初開花しました(写真 26)。10日には紀南の冬を彩るタイキンギクが開花しました(写真 27)。またこの日、観察コースのハッサクが僅かに黄色く色付きました(写真 28)。
今回の観察最終日である11月15日、ベニシジミがとんでいました。最近までハネが黒っぽい夏型だったのが、この日の姿はなんと春と同じで、鮮やかな赤い羽根をしていました(写真 29)。このハネを見ると、半年前の今年の春を思い出して、何となく心が弾む思いがします。ひょっとして、ベニシジミもあでやかな衣裳に身を包み、心弾ませているかも知れません。まもなく厳しい冬が来るのを忘れて。