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終わりに
5月16日にはカキの花が咲きました(写真 1)。このころはちょうど黄梅の季節でしょうか、ウメの実も大きくまた黄色くなってきています(写真2)。18日には藪陰に大きなこんにゃくの花を見つけました。前回紹介したマムシグサなどのウラシマソウの仲間よりは一段とごつい感じのする花です(写真3)。
例年にない今年の特長は、観察コースの山奥にはいると、顔の周りを数匹~十数匹のアブが飛び回ることです。観察を始めて、かなりの年が過ぎましたが、このように周りにアブが飛び回るのは初めてです。本州の北や北海道では山へはいると大量のアブが待ちかまえていることは珍しくありませんが、当地でアブの出迎えを受けるとは、どうした変異なのでしょうか。アブはごま塩模様の羽根をもった、北日本でおなじみのやつに似ています(写真4)。顔の前で数回網を振って、入ったアブを爪ではじいて飛べないようにして撮った写真です。どうもまわりを多くのアブに飛ばれるとあまり気分のよいものではありません。以後、今回の最終観察日である6月15日まで、アブの消えることはありませんでした。ただし6月中旬になると個体数が減ってきたようです。
翌20日、飛び抜けて1本だけ、ハマユウ(=ハマオモト)が花を咲かせているのを発見しました(写真5)。他のものは花塔すら全く見えない状態なので、この1本が異常に早く花を咲かせたということでしょう。浜ではハマエンドウが咲き始めていました(写真6)。観察コースでは梅の実が鈴なりになっています(写真7)。またクリの花のつぼみが見られます(写真8)。
21日から25日まで串本を離れました。帰ってきて26日に観察を再開しますと、留守の間に季節がいささか進んだことがわかります。26日にはタイサンボクが花を付けていました(写真9)。また、テングチョウも羽化を始めていました。農家がサルやイノシシから作物を守るために張り巡らした電線に羽化したばかりのテングチョウが止まっていましたが、どうもないようです(写真10)。かつて、シャツの上から腹部に触れたことがありましたが、どうしてかなりビリビリと感電しました。テングチョウは感電して固まっているのではないかと思って、つついてやったら、通電など我関せずといった様子で、普段と変わらない様子で、飛んでいってしまいました。また、翌27日には山かげのユキノシタが満開になりました(写真11)。
今月15日に咲き始めたテイカカズラがひどく目立つようになりました(写真12)。非常に特徴的なかわいい花を付けるので、目に付きます。15日に撮影したのですが、ひどいピンぼけで、半月遅れの29日に撮影したものです。またこの29日にはダイビングパークに地元の小学生によって植栽されたハマボウが今期初開花しました(写真13)。
6月1日は天気予報で雨天だったので、定期観察は5月31日に行いました。この日は大潮で、海中公園センター横の小入江に夜光虫によるピンクの赤潮が吹き溜まっていました(写真14-15)。この日の夜のテレビニュースで、沖縄でサンゴの一斉産卵が起こり、同じようなピンクの赤潮が見られたと報じていましたが、ここではサンゴの卵ではなく、夜光虫の大量発生でした。その代わり当地ではサンゴジュの花が今にも咲きそうな状態になっています(写真16)。梅は葉をいっぱい茂らせて涼しげな日陰を作っています(写真17)。カキは既に小さな実を付けました(写真18)。ミカンは若葉をいっぱいにのばし(写真19)、クリは少し花を咲かせました(写真20)。
ドクダミの花は盛りで、ビワの実は熟したままです(写真21-22)。ハイビスカスやアジサイが花を付け出しました(写真23-24)。しかし海岸の多くのハマユウには花はありません(写真25)。一方、少し前まで甘い香りを振りまいていたトベラには既に多くの青い実が見られます(写真26)。
6月2日にはクリの花が満開になり(写真27)、4日にはサンゴジュがついに開花し始めました(写真28)。
サンゴジュの花は甘い香りを振りまき、あたりの虫たちを集めます。11日には多くが開花し、ミツバチが派手に羽音を発しています(写真29)。そして13日にはサンゴジュの花は満開となり、モンキアゲハ(写真30)が吸蜜に余念がありません。このころになると熟したウメの実が落下してあたりに甘酸っぱい香りを漂わせます(写真31)。
今回の最終日近く、13日頃になってようやく、多くのハマユウに花塔が立ち上がり、一部では花を咲かせるものが見られるようになりました(写真32)。
当地串本では今回の最終日の15日に、平年より一週間ほど遅れて、梅雨に入りました。