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終わりに
歳月の流れは速いもので、この欄を提供し始めて一年が経とうとしています。本年度最後の近況報告です。
大被害を被った台風23号の通過後は紀南地方は非常に好天に恵まれ、絶好の行楽日和が続きました。折角当海中公園にお越し頂いた人々に海中展望塔からの海中観察の機会を提供できなかったことを心苦しく思っています。
串本海中公園付近の陸上の様子は、秋から初冬にかけて、気温の高い日が続いた影響でしょうか、例年に比べて季節変化が遅れているように思われます。
先月に報告したように、紀南の冬の花、ツワブキは10月24日に初開花を見ましたが、11月20日頃に満開の様相を呈しました(写真 1)。
この日にはカキの実も今にも落ちるばかりの様相です(写真 2)。
この時期の訪花性昆虫にとって、ツワブキは貴重な存在なのでしょう。ハナアブ類が盛んに吸蜜に訪れています(写真 3)。またチャの花も貴重な蜜源なのでしょう。ミツバチが冬ごもり前に蜜に、花粉団子にと盛んに貯蓄にいそしんでいます(写真 4)。この辺りで見られるミツバチは養蜂家が運ぶヨウシュミツバチではなく、本来日本に分布していたニホンミツバチです。
本年は杉・檜の花粉の当たり年だそうで、杉の花粉は去年の10倍以上飛散するという悲惨な予報が出ています。11月23日には当地のスギの枝先も写真のように花粉生産にいそしんでいる様子がうかがえました(写真 5)。
先の台風23号で、砂利、といってもほとんどはイシサンゴ類の骨格のかけらでできている小石に埋まった海岸植生ですが、この頃になって、厚い石ころの堆積を押しのけて地上に顔を出し始めたものがあります。ハマオモトです。白っぽいサンゴ礫の海岸にぽつぽつと緑鮮やかなハマオモトの株が点在する様子は、平生見慣れた当地の海岸景観と著しく異なり、異様な感じがします(写真 6-7)。
11月24日に海中公園駐車場のヤブツバキが初開花しました(写真 8)。
12月1日は恒例の観察日で、クリは枯れ枝のみになっています(写真 9)。カキも色付いた葉をわずかに付けただけの冬の姿を見せています(写真 10)。ミカンは実がいよいよ大きくなり、また黄色く色付いてきました(写真 11)。さらにウメの若枝にはすでに春を待つ花芽が見られます(写真 12)。
12月9日、花卉栽培家では、正月用のセンリョウの出荷準備が行われていました(写真 13)。この日、前号で見つけた鈴なりのキンカンの実がすでに薄黄色く色付いてきました(写真14)。