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終わりに
2月になり、串本海中公園センター前でも海水温が17°C以下に下がる日も出てきました(2月1日~15日の平均水温は17.5°C)。1月の平均水温は串本海中公園での過去最高値の19.1°Cとなり、1月の暖かさが際だっていました。1月末からは黒潮の流軸が安定せず、数日の内に潮岬の南沖で30マイルから70マイルまで離れたり、逆に近づいたりと大きな変動が続いています。2月に入ってからの水温も16~19°Cと大きな変動が見られ、黒潮の距離による大きな影響によって今後の水温がどう変化するのかを予測ができなくなっています。
さて、水の冷たい季節と言えば、錆浦でも様々な海藻類が生い茂るものです。潮間帯にはアオサ類が生え始め、また、短いながらもヒジキも見られるようになってきました(写真1)。しかし、浅い海底を覆い尽くすように成長するフクロノリがいつもの年のように生えてきません。例年2月になると港の中は直径20 cmくらいのフクロノリでいっぱいなのですが、12月に生えていたものが、1月中にほとんど姿が見えなくなってしまいました。2月に入って、少し水温が下がったからでしょうか、やっと潮下帯で数 cmの小さなものが増えてきましたが、港の中にはほとんど生えていません(写真2)。毎年同じように寒いと思っていますが、海藻の生え方に大きな差が出ているのが不思議に感じられます。
ところで、昨年12月14日から海中展望塔に1尾のレモンスズメダイが現れました(写真3)。大きさはソラスズメダイとほぼ同じ4 cmくらいで、頭部が青く、体の後半が薄い橙色をしていて、ソラスズメダイの群れに混じって見られます。錆浦周辺では結構珍しいスズメダイですが、最近は時々見られるものだと聞いています(私的には初記録です)。2月の低水温、そしてこの間の春一番による海底撹乱も上手く回避して、冷たい海の中、まだ展望塔のそばでがんばっています。このままできる限り長く見続けられるといいのですが…。
さすがに長時間潜るのが辛くなってきましたが、過去30年の2月の平均水温は16.3°Cなので、今のところ今年の2月は暖かいはずです。水温が16°C以下の日が長期間続くことがなければ、多くの熱帯性魚類も越冬できるものと思われます。黒潮がなるべく近くを流れてくれると、私も楽しく潜れそうです。