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終わりに
1月26日に串本ダイビングパーク前のビーチで潜水していると、リュウキュウヒメジとオジサンの幼魚が仲良く泳いでいるのが目に入りました。
1月の下旬ともなると水温は16度近くまで下がり、魚たちの数も少なくなっています。いつもはダイバーのエサを目当てにまとわりつくように泳いでいるヤマブキベラも見られず、またいつも元気なクマノミもイソギンチャクの中に隠れています。海中の透明度は20 m以上あって、遠くにあるテーブル状のサンゴも見わたせます。水面からは冬の陽射しが無数の光の束になって差し込んでいます。一見淋しそうに見えますが、冬期限定のすがすがしい光景です。
昨年の秋は熱帯性の魚たちが大きく減少しましたが、これは黒潮の離岸が大きな要因になっています。こんな中でリュウキュウヒメジの幼魚がよく見られたのが大きな特徴でした。この魚はサンゴ礁域に生息していて、串本ではたまにしか見ることができません。魚類図鑑をみても高知県以南の記録になっています。幼魚の頃は黒と白の斑紋がよく目立ち、同じヒメジ科のオジサンによく似ています。この黒斑の位置がオジサンより前にあることと、ヒメジ科の大きな特徴である2本のヒゲがオジサンのものより短いので区別できます。
この時は別の被写体を撮影するためにデジカメを持って海に入ったのですが、よく似た2種の魚が一緒に泳いでいる姿に興味がわき、20分近く彼らを追い続けて撮影しました。全長が10 cm以下という小さなサイズでよく泳ぎ回るため、うまく撮影することができません。30カットほど撮影しましたが、なんとか見られる写真になったのはこのカット一つだけでした。撮影の途中、同じくらいの大きさのオジサンに出会い3尾で泳いでいた時もありましたが、結局2尾で泳ぎ去っていきました。