串本海域公園について
串本海域公園の利用
串本海中図鑑
串本海域公園の話題
終わりに
いよいよ串本の春の到来です。それと同時に、昨年の台風で落ちた海中展望塔への橋がようやく復旧し(写真1)、久しぶりに展望塔の中から海中を観察しました。周囲の魚たちは少し少な目でしたが、イシサンゴ類を始め、海底を飾る生き物たちは以前と変わらぬ様子を保っていました。
2月26日にはフキノトウが芽を出しました(写真2)。またこの日、ハコベも開花し(写真3)、畑の日当たりの良い畦のキランソウが他所のものに先駆けて一番に開花しました(写真4)。当地の冬を象徴する花であるアロエの花が咲いています(写真5)。今年は寒かったのか、葉っぱもしもやけで赤くなって、痛々しく見えます。一方ウメの開花はほぼ終わり、花が散った後の紅色の萼が連なる枝が面白く見えます(写真6)。ウメの木の下には散った後の小さな白い花びらがそこここで北風に舞っていて、これでもかと地面を覆う桜の花の散り具合とは甚だ異なります。
28日にはイヌノフグリが開花しました(写真7)。前号で紹介した外来種のオオイヌノフグリに比べると小さな目立たない花です。
3月1日の定期観察では、ハッサクはすっかり実が落ちてしまいました(写真8)。クリとカキとは相変わらず冬芽が固く、枯れ枝然としています(写真9-10)。ウメは花の終わりです(写真11)。この日、今年になって初めてムラサキシジミを見ました(写真12)。ムラサキシジミは成虫で越冬するので、いつもだと真冬でも、晴れて気温が上がれば飛ぶのが見られるのですが、今冬はどうしたことか、年が明けて一度も飛ぶのを見ていません。また、観察コースに毎年ムラサキツバメが来る日溜まりがあるのですが、今年はついに一度も見ませんでした。この冬が例年に比べて寒かったからなのか、あるいは昨年の台風の襲来のなせる業なのか、原因はわかりません。
1日のこの日、ウグイスの初音を聞きました。ホーホーホーッ、ケキョとひどい早口で、啼いていました。こちらの地元紙では、潮岬のウグイスの初音を3月3日と報道していましたので、海中公園周辺はそれよりいささか早くウグイスが啼いたことになります。
3日3日のひな祭りの日に、海中展望塔の公開を再開しました。去年10月20日以来135日ぶりのオープンでした。
3月7日にはナズナが開花しました(写真13-14)。また、スミレも咲きました(写真15)。タチツボスミレは冬中咲いていましたが、より赤みを帯びた花を咲かせるスミレは冬には咲いていませんでした。この頃、少し遅れて、淡いピンクのウメが咲きました(写真16)。
翌8日、ミヤコグサが開花しました(写真17)。キランソウの花もそれらしくなってきて(写真18)、真冬から咲き続けているホトケノザも満開です(写真19)。またこの日、モンキチョウ(オス)の今年になっての初飛翔を観察しました。
11日には今年になって初めてキチョウを見ました。キチョウは冬型があるくらいで、串本でも年中飛んでいるのですが、この冬はムラサキシジミと同様、冬の間は観察されませんでした。写真20は3月14日に撮影したものです。
3月13-14日にかけて、真冬が日本列島に舞い戻ってきました。東京や京都でも雪が積もり、3月中旬の積雪としては各地で新記録が出ました。串本でも強い北風のせいか、非常に寒く、今冬一番の寒さかと思ったほどです。この冬は生き物たちにとっても、異常な冬だったのではないでしょうか。