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終わりに
毎年夏になるとダイビングパーク前に姿を見せるのですが、今年は多発した台風の影響で出現が遅く、9月中旬になってようやく観察することができました。数は多い時でも10尾ほどで、いつも同じ場所に現れ、水面のすぐ下でのんびりと浮いています。銀色に光る魚体は水面の輝きにまぎれてしまうので、注意して見ないとみのがしてしまいます。今回の撮影でもデジカメの液晶画面では魚体が確認できなかったので、カメラの焦点を固定してシャッターを押しまくり、なんとか見られる画像を得ることができました。
オキザヨリが現れる場所はログハウスコテージ前の水深1~2mの浅い海域で、テーブル状のクシハダミドリイシを中心にハマサンゴ類やキクメイシ類など多彩なサンゴが高密度に生育しています。魚もチョウチョウウオ類やカゴカキダイ、ソラスズメダイ、ニザダイ、ブダイ、メジナ、ヤマブキベラ、クロホシイシモチなどたくさん見ることができます。また、ここに訪れるダイバーやスノーケラーも多く大変にぎやかな場所です。
オキザヨリはダツの仲間で長く伸びた口と鋭い歯をもち、尾びれは下の方が少し長くなっています。この尾びれが強力な推進力を生み、エサになる魚をつかまえたり時には水面高くジャンプしたりします。サンゴ礁域に多く見られ、夜になると光に向かって突進する習性があるので、沖縄では夜間の漁の時にこの魚が突き刺さって死亡した漁師もいます。ダイバーの間でもダツの仲間が危険な魚だということはよく知られています。ナイトダイビングをする時には水中ライトを水面で水平に照らさないようにするのは、この魚からの被害を防ぐためなのです。
オキザヨリは他の魚を襲って食べるハンターですが、狩をするのは早朝か夕刻のようです。午後仕事が終わってから撮影のために海に入った時には姿を見ることはできませんでした。日中にはおいしそうなキビナゴの群がすぐ近くにいても、まったく関心を示しません。ダイバーやスノーケラーはこの魚を恐れて近づくことはなく、天敵の釣り人はダイバーなどを避けるので、ここはこの魚たちにとって安全な良い休憩場所になっているのです。また、ここはホンソメワケベラのクリーニングステーションになっているので、オキザヨリも時々体を掃除してもらっています。