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終わりに
今年はなりものの当たり年のようで、カキ・クリ・アケビなどが豊作のようです。観察コースにあるクリも、今年はたくさんの実を付けています。例年だと木の持ち主もサルとの戦いをあきらめるのですが、今年は豊作とあって、サルに負けじとクリの収穫に励んでいるようです。サルは木の上でクリのイガに達することはできますが、イガを手に取ることは痛くてできません。サルのできることは、木を揺すってイガを地面に落とすことです。ところが、イガを落とす競争では人間は必ずしもサルに負けるとは限りません。 10月18日、クリの大木のそばの、ウメの木に竹竿が立てかけてありました(写真 1)。サルにやられる前に、木からイガを落として、クリを収穫するという手段にでたに違いありません。それが証拠に、地面には大量のイガが散乱していました。さらにわずかですが拾い忘れたクリも見つかりました(写真 2)。この頃になると、ヌスビトハギの実が成熟して、ものにくっつくようになりました。草むらをこいだ後のズボンにはヌスビトハギの実がたくさんつきます(写真 3)。
10月24日、秋の空気を染めるキンモクセイが花盛りを迎えました(写真 4)。また、ナンテンも冬に向かって、実が赤味を増してきました(写真 5)。方々のカキの実は落ちるなり、サルにやられるなり、人が収穫するなりして、あまり目立たなくなりましたが、あちこちの木にぽつりぽつりと残った実は黄色く色付いています(写真 6)。
翌25日、シャリンバイの実は黒ずんできて、小豆色ほどになっています(写真 7)。ススキとセイタカアワダチソウが秋を演出しています(写真 8)。チャの花も咲き始め、ノコンギクの大きな群落が荒れ地のあちこちに見られます(写真 9-10)。
定期観察の11月1日に串本を留守にするので、10月30日に定期観察を行いました。ウメにはまだ葉が付いていますがわびしいたたずまいです(写真 11)。カキの実は既に熟しています(写真 12)。クリはまだ青い葉を付けていますが、イガは茶色くなり、ほとんどが地面に落ちて、中の実は収穫された後です(写真 13-14)。ミカンの実はまだ成長の途中のようです(写真 15)。この日、ツワブキの花が咲き始めました(写真 16)。
また、ビワの花も咲きました(写真 17)。さらにトベラの実がはじけはじめ、中から真っ赤な実がのぞきました(写真 18)。ハマボウの花はいよいよ最後のようですが、花の様子は真夏の花と変わりなく、外気の気温と花の姿とがアンバランスな感じがします(写真 19)。この時期あちこちで咲いている真っ赤なハイビスカスの花を見るのと同じ感覚です。シイはすっかりドングリを落として、平素の姿に戻っています(写真 20)。海岸で今期2度咲きをしたクサギは、紅色の衣装の中にようやく紺色の実を付けました(写真 21)。
農家の花卉栽培の畑では生け花で流行の、フウセントウワタが花を咲かせ、大きな実を実らせています(写真22)。フウセントウワタは、南方系の蝶であるカバマダラの食草となるようで、紀伊半島でもあちこちでカバマダラが発生しているという話が聞こえてきます。串本でもあちこちにこの花が植わっていますし、花屋にも入荷しているので、おっつけ串本でもカバマダラが発生してもおかしくない状況にあるように思っていましたが、11月4日にそれが現実となりました。秋になって、夏の猛暑にお休みをしていたチョウがたくさん飛び出しました。紀南を特長付ける南方系の蝶であるサツマシジミはまだ新羽化個体が見られます(写真 23)。上にも書いたように、11月4日、観察コースでカバマダラを捕獲し損ねました。本種に擬態しているので有名なツマグロヒョウモンのメスだと思って、何気なく網に入れたところ、紛れもないカバマダラでした。胸を押さえて、三角紙に包もうとしたとき、証拠の蝶は突然羽ばたいて中天高く舞い上がり、手の届かぬ所へと行ってしまいました。
翌5日、ホコリタケを見つけました(写真 24)。8日にはホコリタケは色が焦げ茶色に変色していました(写真 25)。この日、ミカンの実は少し黄色く色付いた気がします(写真 26)。海中公園の駐車場のキンカンに青い小さな実がたくさん付いているのを見つけました(写真 27)。また同じ駐車場のツバキにもたくさんのつぼみが付きました(写真 28)。この日は天気がよく、気温も上がったので、多くのチョウが目に付きました。モンシロチョウ・ヤクシマルリシジミ・ヤマトシジミ等です(写真 29-31)。