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終わりに
クロホシイシモチという10 cmくらいになるテンジクダイ科の魚が錆浦地先の浅い海で普通に見られます。体色は薄い赤茶色で、頭部には眼を通る太く黒い縦スジ、後頭部に黒点、尾柄に黒斑があります。冬季に開放される潮岬西岸のダイビングスポット「アンドノ鼻」は、小さな根にクロホシイシモチとキンメモドキの非常に大きな混合群が見られる見応えのある所です。
さて、毎年6月頃、クロホシイシモチたちは恋の季節を迎えます。それまでの大きな群れから、オスとメスがペアとなって抜け出していくのです。ペアとなったものは近くの岩の隙間で仲良く寄り添うように泳ぎはじめます。しばらくすると産卵が始まりますが、この魚の仲間は変わった習性があり、メスが産んだ卵をオスが口にくわえて、卵が孵るまで数日間、餌も食べずに守ります。その間、メスはオスの隣で泳いでいますが、卵の世話は全くしません。オスは時々口の中の卵を攪拌したり、一瞬だけ外に出したりと、全ての卵に新鮮な海水がいきわたるような行動を続けます。卵から仔魚が孵ると、オスも子供の世話をしなくなります。しかし、すぐにメスが次の卵を産むので、6月-7月の梅雨の頃、オスは卵の世話をし続けることになります。