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終わりに
5月の平均水温は19.6°C(平年比-0.9°C、前年比-1.5°C)、6月の平均水温は22.9°C(平年比±0°C、前年比-0.9°C)でした。春の訪れが遅かった分、水温が前の年よりゆっくりと上がっていくようです。しかしながら気温は高く、6月の平均気温が串本海中公園の観測40年で最高となる23.7°Cとなった(午前9時に海中展望塔テラスで計測しており、最高気温の平均とは違います)。
さて、7月20日にこの時期としては最強クラスの台風6号が潮岬の南沖を通過しました。5月末にも2号がフィリピン沖から北上して四国に接近したことで海が大きく荒れるなど、今年は台風が多い年になるのでは、と心配になります。地球温暖化が大きく取り上げられるようになり、近年海水温が高くなっていると言われるので、台風が大型化、そして強力なものがやってくることが多くなれば、人の暮らしだけでなく、自然に生きる生きものたちにも大きな影響がありそうです。
この時期に台風の直撃を受けると困るのが、繁殖期に入った魚種たちです。6月は当地でもソラスズメダイやクロホシイシモチが繁殖期に入ります。クロホシイシモチは雄が口の中で卵を孵すテンジクダイ科の代表的な魚です。台風で大波が起きても、雄がしっかりと卵を守っていることで繁殖に大きな影響はなさそうです。しかし、ソラスズメダイは浅い海底の石の下に巣を作り、石の裏側に卵を産む習性があります。台風によって大きく海が荒れると、卵ごと石が流されてしまい、せっかくの卵が産まれることなく死んでしまいます。例年、6月の終わり頃には展望塔の窓からソラスズメダイの幼魚(全長2 cmくらい)が見られるようになりますが、今年は7月に入っても窓からは見られません。潜水観察でもあまり見られないように感じるのは、やはり台風の影響で繁殖が上手く行われていないからでしょうか。ソラスズメダイは群れて当たり前な、串本を代表する魚です。秋までには普通に見られるようになって欲しいものです。