世界遺産 屋久島

世界遺産登録に至る経緯

日本初の世界自然遺産に登録

屋久島は、1993(平成5)年12月11日に白神山地とともに日本初の世界自然遺産に登録されました。屋久島の全面積の約2割に相当する10,747haが自然遺産地域として登録されています。

推薦理由

屋久島は中心部に九州の最高峰宮之浦岳(1,936m)をはじめとする高峰が聳える山岳島であり、世界的な動植物の移行帯に位置する湿潤気候下の高山として、生物地理的に特異な環境下にあり、かつ年間4,000~10,000mmもの多雨に恵まれていること等から、樹齢数千年のヤクスギをはじめとして極めて特殊な森林植生を有しています。海岸付近のガジュマル、アコウ等の亜熱帯植物から、タブ、シイ、カシ等の暖帯、モミ、ヤマグルマ等の温帯、更にヤクザサ、シャクナゲ等の亜高山帯に及ぶ植生の垂直分布が顕著にみられ、また、多くの固有植物、北限・南限が自生していること等特異な生態系を構成しています。特に本地域の傑出した自然の特徴として、樹齢数千年に及ぶとされる直径3~5mにも達するヤクスギがあげられ、老齢の巨樹林は、生態的にも、かつ形態的にも世界的に貴重な天然林と考えられています。さらに当地域には、アカヒゲ、アカコッコ(危急種)等絶滅の恐れのある動植物が生息、自生しています。

スギや広葉樹の巨木で構成された天然林の風景。
雄大な屋久島の山岳部の風景。空には大きな白い雲があり、左手前には、帽子をかぶり、リュックサックを背負った一人の登山者が、右奥にかけて雄大に広がる屋久島の山々を眺めています。

登録に際しての国内における評価

屋久島の全面積の約2割に相当する10,747haが自然遺産地域として登録されています。

当該地域は、国立公園や森林生態系保護地域の一部のほか、原生自然環境保全地域と国指定の天然記念 物(屋久島スギ原始林)の全部が重複しており、海岸線近くの亜熱帯的な要素を含む照葉樹林帯から、 山岳部のスギ林帯、ヤクシマダケ草原帯までが含まれています。屋久島の世界遺産登録に当たっては、 登録当時、ユネスコ世界遺産センターのドロステ所長は、「自然遺産としての屋久島の価値は、多くの 人たちが暮らしていながら、すぐれた自然が残されていることにある。」と語っています。

登録に係る保護制度

  • 原生自然環境保全地域
  • 国立公園地域
  • 特別天然記念物
  • 森林生態系保護地域

登録までの経緯

  • 1922年学術参考保護林を指定
  • 1924年12月9日学術参考保護林を天然記念物(屋久島スギ原始林)に指定
  • 1954年3月20日天然記念物(屋久島スギ原始林)を特別天然記念物に指定
  • 1964年3月16日霧島屋久国立公園として屋久島を国立公園に指定
  • 1967年縄文杉の発見を南日本新聞が報道
  • 1975年5月17日国立公園の一部を原生自然環境保全地域に指定
  • 1981年2月17日国立公園区域と原生自然環境保全地域をユネスコの人間と生物圏計画に基づく生物圏保存地域に指定
  • 1983年1月14日瀬切川及び永田川流域について国立公園を拡張
  • 1990年10月上屋久町が「林地活用計画 超自然スーパーネイチャー屋久島」を策定
  • 1991年屋久島環境文化懇談会が発足
  • 1992年3月13日条約の国会提出を閣議で決定
  • 1992年3月30日中部山岳部周辺、西部地域、南部地域、自然休養林などを編入するかたちで、学術参考保護林を屋久島森林生態系保護地域に指定
  • 1992年6月30日国(政府)、条約受諾書をユネスコヘ送付
  • 1992年10月1日屋久島を世界遺産委員会へ推薦
  • 1992年11月鹿児島県が「屋久島環境文化村構想マスタープラン」を策定
  • 1993年3月鹿児島県、上屋久町、屋久町が屋久島環境文化財団を設立
  • 1993年5月16〜18日IUCN(国際自然保護連合)による現地調査
  • 1993年6月25日世界遺産委員会がビューロー会議開催
    IUCNが屋久島の登録を勧告すべき旨のレポートを提出
  • 1993年8月11日世界遺産事務局長から会議結果が送付
    世界遺産委員会への推薦決定
  • 1993年10月上屋久町、屋久町が「屋久島憲章」を決議
  • 1993年12月6〜11日世界遺産委員会開催(コロンビア・カルタヘナ)
    屋久島、白神山地が自然遺産として、法隆寺の仏教建造物、姫路城が文化遺産として世界遺産リストに登録された
    (正式登録日 12月11日)

登録後の経緯

  • 1995年9月環境庁、林野庁、鹿児島県等関係機関からなる屋久島世界遺産地域連絡会議発足
  • 1995年11月環境省、林野庁及び文化庁が「屋久島世界遺産地域管理計画」を策定
  • 1996年4月屋久島世界遺産センター開所
  • 1997年10月18〜20日IUCNによる管理状況調査
  • 1998年10月屋久島世界自然遺産登録5周年記念シンポジウム開催(於 屋久島)
  • 1998年12月世界遺産委員会開催(於 京都)
  • 2000年5月世界自然遺産会議開催(於 鹿児島市、屋久島)
  • 2002年2月19日白谷雲水峡、永田浜などの11地域と地先海域について国立公園を拡張
  • 2005年10月第2回世界自然遺産会議開催(於 青森市、白神山地)
  • 2005年11月8日前浜、いなか浜、四ツ瀬浜が屋久島永田浜としてラムサール条約湿地に登録
  • 2007年3月30日口永良部島の全域と地先海域について国立公園区域に編入
  • 2009年6月屋久島世界遺産地域科学委員会を設置
  • 2010年10月ヤクシカ・ワーキンググループを設置
  • 2012年3月16日霧島屋久国立公園が再編成され屋久島国立公園に新規指定
  • 2012年10月
    環境省、林野庁、文化庁、鹿児島県及び屋久島町が改訂版「屋久島世界遺産地域管理計画 [PDF 519KB]」を策定
  • 2013年10月20日
    屋久島世界自然遺産登録20周年記念シンポジウム開催(於 東京)
  • 2014年5月屋久島世界遺産センターリニューアルオープン
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