屋久島のウミガメ

ウミガメについて

屋久島のウミガメ

日本は、アメリカ合衆国東南岸やオマーンに次ぐ世界でも有数のアカウミガメの産卵地であり、また北太平洋で唯一の産卵地でもあります。日本で産卵するウミガメ3種のうち、屋久島では主にアカウミガメとアオウミガメが産卵します。屋久島の北西部に位置する永田浜のアカウミガメ上陸数は日本全体の30~40%を占めており、北太平洋最大のアカウミガメの産卵地となっています。このため永田浜は、アカウミガメの保護において非常に重要な地域として、2002(平成14)年に霧島屋久国立公園〔2012(平成24)年に屋久島国立公園〕に指定され、2005(平成17)年にラムサール条約湿地に登録されています。屋久島自然保護官事務所では永田浜を含めた屋久島全体のウミガメの保護及びその産卵・ふ化環境の保全と、適正な利用を目指して地域関係者と検討を進めています。

ウミガメの生態

ウミガメは爬虫類カメ目のウミガメ科とオサガメ科の総称で、現在、世界で7種類が知られています。屋久島に上陸するのは主にアカウミガメとアオウミガメで、そのほとんどはアカウミガメです。ウミガメは、一生のほとんどを海の中で暮らし、産卵の時だけ砂浜に上陸します。日本で生まれた子ガメたちは、太平洋で回遊生活を送った後、日本近海で生活します。親ガメになるのに30年ほどかかるといわれています。

心配されていること

ウミガメは、4月下旬頃から始まる産卵シーズンになると、夜の浜に上陸し、産卵場所を探して気に入った場所を見つけると穴を掘って卵を産み落とします。ところが、ウミガメは光や人の気配に非常に敏感なため、人が夜の浜を歩き回ったり、懐中電灯を使ったりすると、上陸をやめ、卵を産み落とす前に海に帰ってしまいます。また、7月上旬頃からふ化し始める子ガメについても、人が歩きまわることにより砂が踏み固められ、砂の中から出てこられずに死んでしまうことや、走光性(光に近づく習性)を持つため、街灯や車のライトなどの影響が心配されています。

絶滅危惧種ウミガメ

アカウミガメとアオウミガメは、世界的にはシロナガスクジラやチンパンジーと同じくらい絶滅の危機に瀕していると言われています。国内でも環境省がレッドリストを、水産庁が日本の希少な野生生物に関するデータブックを作成し、ウミガメを絶滅の危険がある動物として掲載しています。

国際自然保護連合(IUCN)による絶滅の危機性による分類

分類表
分類 絶滅の危険性 主な動物 ウミガメ

絶滅危惧ⅠA類
(CR)

ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

ニシゴリラ
スマトラサイ
タイマイ
オサガメ

絶滅危惧ⅠB類
(EN)

ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

シロナガスクジラ
チンパンジー
アカウミガメ
アオウミガメ

絶滅危惧Ⅱ類
(VU)

絶滅の危険が増大している種。近い将来「絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの

マッコウクジラ
ホッキョクグマ
ヒメウミガメ
ページ先頭へ