コンパクトなまちづくりを支える技術とTA
2.低炭素公共交通システム技術
コンパクトなまちづくりで欠かせないのが、公共交通の整備事業です。自動車への依存を減らすことで、CO2排出量を大幅に削減することが期待できます。代表的な公共交通として、LRT(次世代型路面電車システム)、BRT(バス高速輸送)、ART(次世代都市交通システム)の導入が各地で進められています。これらの技術の概要を表1に示します。
表1 低炭素公共交通システム技術の例
名称 | 概要 |
---|---|
LRT |
|
BRT |
|
ART |
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コミュニティバス/デマンド交通 |
|
LRTの特徴としては、中容量・高速度の輸送機関(都市モノレールなど)と、少量・低速度の輸送機関(路線バス、従来型路面電車など)との間を埋める旅客輸送ニーズに対応できることが挙げられます。また、自動車交通量を抑制できることから、大きなCO2削減効果が期待できます。BRTの特徴としては、従来のバスとは違い、専用道路やバスレーンなどを走行することで定時制を確保することが挙げられます。
低炭素公共交通システム技術の将来見通し
公共交通のLRTやBRTについては、今後、人口減少や高齢化などを背景に、コンパクトシティ政策を強く打ち出す地方自治体が増えてくれば、導入が進むと予想されます。
表2 低炭素公共交通システム技術の将来動向
資料等に基づく現状やマイルストーン
マイルストーン等に基づく予想
項目 | LRT (次世代型路面電車システム) |
BRT (バス高速輸送) |
ART (次世代都市交通システム) |
---|---|---|---|
現状 (2016年) |
全国軌道事業者19社のうち15社が低床式車両を導入(うちLRTは富山のみ) 宇都宮市、静岡市などで、ゼロからの新規導入を目指す動きがある |
全国で16事例 | 国内導入例はなく市場化に向けた国家プロジェクト(SIP)が進行中 民間主導の動きとして、近年、GoogleなどのICT関連の企業やトヨタ、日産、GM、BMWなどの自動車メーカーが自動運転の開発に着手 |
~2025年 (~10年後) |
[2020年:SIP]東京五輪での実用化(準自動走行) | ||
~2035年 (~20年後) |
[2030年:国目標]530万台(全世帯の1割) | [2020年代後半~:SIP]完全自動走行システムの市場化 | |
~2045年 (~30年後) |
道路構造などの問題により新規導入が進まない現状はあるが、政策が色濃く反映される社会情勢では導入が進む可能性あり | 道路構造などの問題により新規導入が進まない現状はあるが、政策が色濃く反映される社会情勢では導入が進む可能性あり | 自動運転は、高速道路やルートが決まったバス等では実現している可能性が高い。ただし一般道での普及は不確実。民間イノベーションにより早まる可能性もあり |