コンパクトなまちづくりを支える技術とTA
低炭素社会の実現に向けては、CO2を削減するためのさまざまな技術が提案・研究されています。こうした技術が社会にどれくらいのインパクトを与え、人々の暮らしを安全・安心な方向へと導いていけるのかを予測し、把握しておくことはとても重要です。
そこで環境省は、将来、CO2の排出削減において革新的な役割を果たすと予測される技術分野を選定し、それが社会にどのような影響を及ぼしていくかを評価する「CO2 テクノロジーアセスメント推進事業」を平成26年度から実施しています。テクノロジーアセスメント(TA)とは、社会にとって望ましい科学技術の方向性を見い出すため、科学技術が社会に与える影響を評価する活動のことです。(詳しくは「TAとは?」を参照)
平成27年度の「CO2 テクノロジーアセスメント推進事業」では、低炭素社会の重要なファクターとされるコンパクトなまちづくりを支える技術についてTA調査を実施しました。「広がるコンパクトなまちづくり」で見てきたように、今、世界では多くの国が、低炭素化と同時に人口減少・高齢化に対応するまちづくりとして市街地のコンパクト化を進めています。地方自治体や国などの行政側、そこに居住する住民にとっても、下の図のように多くのメリットがあると考えられているからです。
そこで今回のTA調査では、コンパクトなまちづくりを支える技術として、主に「移住を促すための社会的な制度や仕組み(社会技術)」に着目し、30年後の未来社会シナリオを作成して、こうした技術が社会にどのようなインパクトをもたらすかを評価しました(社会影響評価)。このほか、エネルギー消費量やCO2排出量を削減する工学的技術についても将来動向を展望しました。以下、その成果について紹介していきます。
コンパクトなまちづくりへの期待

「分散」から「集約」へ。効率的で安心・安全なコミュニティ形成を推進する市街地のコンパクト化は、地方自治体や国などの行政、そこに居住する住民にとって多くのメリットがある。