イノベーションをイメージしたライトの周りに、新たな未来をイメージしたカラフルなペイントが塗られているイラスト

CO2削減の重要性

「環境・生命文明社会」の創造に向けた6つの基本戦略

日本政府は、ここで紹介した3つのイノベーションを軸に、真に持続可能な循環共生型社会を実現するための6つの基本戦略を掲げています。コンセプトは、環境負荷の少ない、循環を基調とする経済・社会の構築と、地球上のすべての生物が健康をまっとうする暮らしの実現。大きな目標、大きな文明論の転換期という認識から、「環境・生命文明社会」の創造と名付けています。

戦略その1は、「環境と経済の好循環の実現」。マクロ経済の視点においてグリーン経済を成長させ、世界的に環境投資を促進していきます。また、環境規制を活用した、環境付加価値を高めるためのプロダクトイノベーションや、環境ビジネスの振興を図っていきます。

戦略その2は、「地域経済循環の拡大」。地域内の資金循環を拡大することで地方創生・地域活性化を目指します。エネルギーの自立や地域内での地産地消を促進するほか、市街地のコンパクト化などによって生活・交流空間の密度を高め、魅力的で効率的なまちづくりを目指します。

戦略その3は、「健康で心豊かな暮らしの実現」。森・里・川・海のつながりを再生させることで、人と社会が自然の恵みを受けていることを実感できるような、心豊かで健康なライフスタイルを指向していきます。

戦略その4は、「ストックとしての国土価値の向上」。気候変動が国土に及ぼす影響への適応、里山保全などを通じた無居住地域への対応、生態系を活用した防災・減災の推進など社会インフラの再構築を進めていきます。

戦略その5は、「あるべき未来を支える技術の開発・普及」。水素や熱を活用した自立・分散型エネルギー社会を実現する技術や、木質バイオマスなど地域資源を活用した循環型社会を構築する技術などの革新的な技術によって社会システムやライフスタイルを変革するとともに、環境技術の海外展開を図ります。

戦略その6は、「環境外交を通じた22世紀型パラダイムの展開」。日本の優れた環境技術を海外に展開し、グリーン産業を育成するとともに、低炭素な都市計画や制度づくり、人材育成、国際ルールづくりにも貢献することで世界をリードします。

2050年に向けて、環境・生命文明社会を低炭素、資源循環、自然共生などの環境政策によっていかに実現していくかを示したのが下の図です。技術だけでなく、日本人が本来の自然観を取り戻したり、それを暮らしに還元するというライフスタイルのイノベーションも必要です。さらに、技術とライフスタイルが変化してもなお社会の制度との違和感を感じたら、私たちは制度や仕組みを変える、つまり社会システムのイノベーションを起こすことが必要です。

技術・社会システム・ライフスタイルの3 つのイノベーションを軸とし、マクロ経済、地域経済、未来技術、外交、暮らし、国土という6つの戦略の下、気候変動への適応やJCM(二国間クレジット)などの個別の政策を、地域から世界にまで展開していきます。

環境・生命文明社会の創造

環境・生命文明社会の創造の図。図の内容は下記に記載。

国民の関心が高い経済社会的な課題に対してより効果的にアプローチするため、低炭素、資源循環、自然共生政策が共通して実施する6つの戦略(上図では橙色の四角い枠で示す)を提示。この戦略は、「技術」「社会システム」「ライフスタイル」の3つのイノベーションを主軸として、地域から世界まで展開。

出所:環境省資料

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