第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞

再生可能エネルギーの普及と地域のエネルギーによる収益を地域に還元、SDGs未来都市の創造!

一般社団法人 市民エネルギー生駒

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞

再生可能エネルギーの普及と地域のエネルギーによる収益を
地域に還元、SDGs未来都市の創造!

一般社団法人 市民エネルギー生駒

奈良県生駒市で活動する「一般社団法人 市民エネルギー生駒」は、市民の出資により合計5基の市民共同太陽光発電所を整備・運用し、自律分散型の地産地消のエネルギーを進める取組を進めています。その事業収益は、市民サービスや広くまちづくりなどに充てられて収益の地域還元も実現しています。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

市民全額出資の太陽光発電所が5基稼働!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞生駒市民共同発電所

生駒市は奈良県北西部に位置し、大阪市のベッドタウンとして発展。約12万人が暮らしており、生駒駅からは最短20分で大阪中心部にアクセス可能です。

「一般社団法人 市民エネルギー生駒」は、2013年「環境にやさしく安全な再生可能エネルギーの普及と地域のエネルギーによる収益を地域に還元し、地域の活性化を生み出す」ことを目的に市民有志が集まり設立されました。

これまで市民の全額出資により太陽光発電所を市内5ヶ所に設置しています。1年間に発電する電気は、約400 MWh(メガワットアワー)で、市が51%出資する自治体新電力会社「いこま市民パワー」を経由し、公共施設や一般家庭に供給しています。

そこから得られた収益で、生駒市へのふるさと納税や小学校へのSDGs・環境関連書籍の寄贈。また、小学生向けのソーラーカー工作教室、再生可能エネルギーに関する講演会を開催するなど、環境への意識を拡げる地域活動にも取組んでいます。2016年にはグッドライフアワード環境大臣賞優秀賞と新エネ大賞新エネルギー財団会長賞をダブル受賞したことも弾みとなり、「脱炭素」をテーマにした市民と行政が一体となった地域循環のまちづくりを進めています。そんな取組が高く評価され、今回のグッドライフアワードで2度目の優秀賞受賞を果たしました。

活動のきっかけは?

地産地消のエネルギーでまちづくりを!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞ベッドタウンとして発展 人口約12万人の生駒市

近年、多くの地方都市と同じように生駒市は、人口減少や高齢化に伴う税収の減少と消費の市外流出に悩まされていました。そこで、電力の地産地消に注目し、市民が消費する電力を地元で生産しようという動きが始まりました。その直後、東日本大震災と福島第1原発事故が起こり、一気に再生可能エネルギー導入への機運が高まりました。

市民・事業者・行政が協働して環境基本計画を推進する「ECO-net生駒」のエネルギー環境部会の有志が2013年に一般社団法人市民エネルギー生駒を設立し、全額市民出資による市民共同太陽光発電所の設置に向けた本格的な取組が始まったのです。

「市民共同発電所1号機」の設置に向けて出資者の募集が始まったのは、2014年1月。生駒市も協力し、太陽光発電パネルの設置場所として、市の衛生処理場である「エコパーク21」の屋根を無償貸与することが決まりました。生駒市自体も低炭素社会の実現に向けて先駆的な取組にチャレンジする「環境モデル都市」(2014年選定)を目指していたこともあり、この市民活動を後押ししたのです。

市民エネルギー生駒は、約1700万円の資金を必要とし、1口10万円で2口までの出資を募集しましたが、募集期間半ばを過ぎても700万円しか集まりませんでした。その後、説明会を何度も開催、街頭でチラシを配り積極的に市民に呼びかけ最終的には締め切りまでに全額を集めることに成功したのです。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

2014年に完成した市民共同発電所1号機

発電所には「1号機」と命名。当初、次の発電所の計画などは未知数だったのですが、再生可能エネルギーを広く普及させていく思いを込めての命名でした。 2016年には、市立の幼児教育施設「南こども園」の屋根に2号機、さらに特別養護老人ホームなどが集まる「小瀬保健福祉ゾーン」の斜面に3号機の設置。再び市民ファンドによる出資を募り、合計で3900万円の資金を集めたのです。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞2017年完成の4号機

そして2017年には、先進的な科学技術分野を対象とした教育・研究施設や交流施設などの整備が進む「学研高山地区」の日当たりの良い斜面を利用して4号機を設置しました。

成功のポイントは?

シニアの経験と知恵!そして市民行政が一体となった取組

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞代表理事 楠正志氏 副理事長 日比野武司氏

今回、市民エネルギー生駒の市民共同発電所を取材・視察するため、奈良県生駒市を訪れました。取材に応じてくれたのは、代表理事の楠正志氏と副理事長の日比野武司氏。1号機と5号機を中心に視察を行い、お話をうかがいました。

市民エネルギー生駒のメンバーには、電気技術士や太陽光発電パネルの技術者だったという方もいます。それぞれが再生可能エネルギーの普及を目指し、熱い思いを持って活動してきました。ちなみに、副理事長の日比野氏は、現役時代に大手電機メーカーで太陽電池の開発に携わっていたそうです。

しかし、代表理事の楠氏は、「初期の活動において議論は盛んでしたけど、いざ行動となると腰が重かった。」と振り返ります。仕事やプライベートの時間を割いてまで、ボランティアで太陽光発電所の開設に向けて尽力できる人は多くなかったそうです。

そこで登場したのがリタイア世代です。シニアパワーが生かされた市民エネルギー生駒のプロジェクトは、技術の知識や交渉力を持つリタイア世代が主導的役割を果たして一気に動き始めます。その中で、楠氏は建設許可を得るため、何度も市役所の担当課を訪ねて交渉を重ねたそうです。

そんな努力もあって、固定資産税は支払うものの20年は更新する必要がほとんどない施設や土地を生駒市が無償提供。8年をかけて5基の太陽光発電所を完成させたのです。成功のポイントは、脱炭素の地域循環型社会を目指して市民と行政が一体となって本気で取組んだ結果です。

レポート!

生駒市民共同発電所を現地視察!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞2021年完成 5号機

2021年11月には、太陽光発電施設の5号機が生駒市介護老人保健施設「やすらぎの杜 優楽」の南側に完成しました。240枚の太陽光パネルを使い、定格出力は90kW(キロワット)。事業費1500万円は、23の市民・団体からの出資でまかなわれたそうです。電力は「いこま市民パワー」が買い取り、優楽へと供給される仕組み。再エネ付加金、燃料調整費が不要なため大手電力会社よりも電気料金を安く抑えられます。

実は、優楽の消費電力は大きく、5号機の最大発電量を上回ります。このため、5号機からの電力をフルに消費することができ、採算が合うのです

また、5号機は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に依存しない「非FIT型」です。代表理事の楠氏は、「非FITや完全自家消費型エネルギーに取り組んできた結果、エネルギーの地産地消につながる取組みに自信をもった。」と語ってくれました。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞5号機 太陽光発電システム

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞3号機 パワーコンディショナー

こちらは、太陽光パネルで発電した直流電力を施設や家庭用の交流電力に変換する装置、パワーコンディショナーです。太陽光発電システムの中でも重要な役割を担っていて、スマートメーターの機能もあり、パソコンで発電状況をチェックできるそうです。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞1号機のエピソードを語る楠氏

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞日比野氏の説明を受けながら視察

今後の展望

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞5号機を背に、視察を行った環境省職員と記念撮影
代表理事 楠正志氏 副理事長 日比野武司氏
環境省大臣官房地域政策課 野杁拓担当 深津英里担当

今後の課題としては、市民出資の太陽光発電を次世代にどう受け継いでいくかです。それには、再生可能エネルギーにまつわる技術などの専門知識の継承も必要です。 また、代表理事の楠氏は、「多くの市民からの出資がありますが、市民共同発電所は、まだまだ認知されていません。そのために、もっと広報にも力を入れたい。」と言います

現代の若い世代は環境への関心が高く、SNSなどを通じて情報共有ができるため、生駒市の電力料金や活動報告を広めることで支援の輪が広がると期待されます。 高齢化が急速に進む日本社会が目指すべき地域モデルのひとつとしても、意義ある取組として高く評価されています。

第10回 グッドライフアワード

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