第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 最優秀賞

懐かしい未来を里山からつくる「里の家」~風の子、海の子、里山体験~

一般社団法人 里の家

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 最優秀賞

懐かしい未来を里山からつくる「里の家」~風の子、海の子、里山体験~

一般社団法人 里の家

親子の里山体験
一般社団法人 里の家は、2005年から「みやこだ自然学校」として親子の里山体験を提供しています。古民家や森、畑、田んぼなどの循環型のミニモデルを通じて、里山の風景を再現し、自然体験や農林業体験、環境教育、環境保全などを行っています。2019年からは樹木系精油を中心とするアロマ事業を手掛け、里山の暮らしを伝える薬草ハーブや藍染の活動も行っています。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

山や海で自然と触れ合う!親子の里山体験ブログラム!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞一般社団法人 里の家 代表理事 加藤正裕氏

一般社団法人 里の家は、静岡県浜松市北区都田町にある団体で、加藤正裕氏が代表理事を務めています。親子の里山体験プログラムなどが審査委員に高く評価され、環境大臣賞 最優秀賞を受賞しました。

里の家は、年間約120回のプログラムワークショップを実施しており、会員数は約60組で年間平均約1500人が参加しています。プログラムは自然体験、農林業体験、環境教育、自然保護を統一したもので、拠点なっている古民家や畑、田んぼは、浜名湖につながる都田川の近くに位置しており、里・川・海の大きな循環を活かしています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞里の家の拠点 築130年の古民家

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 山菜の収穫

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 畑作業

「里山体験・風の子」というプログラムでは、午前中には野菜の収穫や調理、畑の作業、薪割り、かまどでの調理などが行われます。冬季には薪ストーブを使用し、クッキングタイプの薪ストーブでピザを焼くこともあります。午後は季節の自然あそびが行われ、ネイチャーゲームやターザンロープなどの講師を招いて開催されることもあります。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 薪割り

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 子どもも作業のお手伝い

「里海体験・海の子」は、浜名湖で安全に配慮しながら、地元の協力を得て実施されます。カヤック体験や浜名湖の幸を活かした貝とり、魚つり、海藻とりなどが行われ、魚は捌いて天ぷらなどになります。

また、プログラムの集大成に位置する「養生カフェ」は、2020年度の浜松市創造都市推進事業として始まり、2021年度は自主開催となりました。このプログラムは赤ちゃんや小さな子どもたちと親、学生・青年のボランティア、自然遊びが好きな大人、高齢者が参加する多世代交流のもので、昔ながらの人と人のつながり、里山と人のつながりを取り戻す懐かしい体験を提供しています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 アロマ調香のアトリエ

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 調理用の薪ストーブ

里の家を通じて知り合った福祉の専門家や音楽療法の専門家、音楽家、薬草ハーブ・アロマテラピー、料理やセルフケアの研究家などが参画し、フィールドや古民家、里山の暮らしが回想療法や森の森林療法、ガーデンの園芸療法などとして活用されます。

活動のきっかけは?

ひとがひとになるために必要なことを求めて。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞古民家の前庭

今回、環境省グッドライフアワードのスタッフは、里の家を訪れ、親子と一緒に薪割りや野菜の収穫、料理作りなどを体験しました。

加藤代表は、親子が里山里海で自然体験をするプログラムをなぜ立ち上げたのかについて語ります。「私は学生時代から、『自然』、『環境』、『こども』という3つのテーマで活動してきました。ひとがひとになるために必要なこと、環境問題の解決には何が必要か、そして便利で快適な生活で人が育つのかという疑問が生まれ、その答えとして自然学校を立ち上げることを決意しました。」

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 里山の暮らし

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 無農薬野菜が育てられる畑

加藤代表が里山里海の暮らしと環境プログラムを実践する場所として選んだのは遠州浜松でした。浜松には、浜名湖、都田川、森、太平洋など多彩な自然が広がり、また、ホンダ、スズキ、ヤマハなどのグローバル企業が存在し、産業バランスも取れています。環境教育を循環型社会の実現に向けた教育と定義する加藤代表は、「里山の循環型の暮らしをコンセプトとするミニモデルをつくり、里山体験を一貫して実践してきました。」と話します。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 古民家の居間で絵本の読み聞かせとギターのBGM

加藤代表は、幼いころ、今は亡き母親からひとつの言葉を贈られました。それは、「その花はそこに咲いているからきれいなんだよ」。この言葉が加藤代表の根幹や基礎、哲学となっているそうです。授賞式のプレゼンの表紙を飾っていた「子どもを育てる それは未来を育てること 子どもたちに愛情を持って接するたびに 未来は少しずつ良くなっていく」との言葉へと繋がっています。

2022年の公開された「懐かしい未来2025」には、加藤代表のひとと自然の関係、哲学が込められています。

コンセプトのポイントは?

古民家や森、畑、田んぼをつなぐ
循環型の里山の風景を再現!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 里の森での遊ぶ子どもたち

里の家の加藤代表は、人々が豊かな生活を築くためには、地域が循環型である必要があるとの信念から、2005年から浜松市の都田で親子の里山体験プログラムを展開しています。都田は懐かしい里山の風景が残り、温かさを感じる場所で、野菜やハーブ、果樹、田んぼ、竹林、雑木林、薬草園などが豊富にあり、築130年の古民家では薪ストーブやかまどが使われ、火のある暮らしが再生されています。この里山の暮らしそのものが懐かしいコミュニティを感じる場になっています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 土間スぺース

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 かまど

拠点になっている里の家のフィールドは、2008年から田畑や森、古民家と里山の暮らしを再生するための手入れが行われ、2015年にはリフォームが行われました。このプロセスでは宮大工や左官の職人の協力があり、里の家が今日の形になりました。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 こどもたちも調理のお手伝い

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 炊きあがったごはんを親子一緒に

加藤代表は、「プログラムを通じて、子どもたちが自然の中で『働く(お手伝い)、食べる、遊ぶ』を経験し、食後には心と体が開放されて一心に遊ぶ姿が見られるようになります。」と語ります。特に、無農薬のお米や野菜には栄養が詰まっており、本能的に本物の食を求める姿勢が見受けられます。体が満足することで、子どもたちはしっかりと遊べると言います。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 みんなで楽しくお昼ごはん

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 自分たちで収穫した野菜を頂く

また、「里の家には、丈夫な体を築く食と、本能を引き出す自然環境があります。親同士や子ども同士のコミュニケーションが交わることで、予想以上に質の高い時間とコミュニティが生まれていると感じます。こうした場を全国各地で実践することは可能です。将来も、場づくりを進めて多くの世代が交流し、体験できる場を提供していきたいと思っています。」と語ってくれました。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 親子一緒に自然と触れ合う

この里の家のプログラムは親子参加が基本で、大人の目が多くなり安全確保ができること、親同士の交流を促進するために親子参加が基本とされています。親子で体験を共有・共感することで、子どもたちの体験がより深まります。同じメンバーで子どもの集団をつくり、安心して活動できるよう、会員制になっています。

今後の展望

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 里の家 加藤代表

新たな目標として、「気候変動を穏やかにする森づくり」「気候変動に適応できる人づくり」を大きなテーマとして挙げています。里の家は現在、第二の拠点づくりを目指しています。候補地として標高の高い南信州が検討されています。今後、浜松は6月から9月にかけてさらに夏日、猛暑日が多くなると予想され、宿泊型のサマーハウスを構想しています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 環境省スタッフと一緒に里山体験の記念撮影

長野県の最南端に位置する売木村に広がる原生林の環境保護に貢献するため、里の家は売木村、株式会社ミダックホールディングス、一般社団法人 木の芽と協力し、「アテビ平小鳥の森環境・生物多様性保全協議会」を設立しました。アテビ平は明治期に放置され人工林がゆっくりと原生林へと変遷している全国でも珍しい二次原生林です。この取組は、里の家の「人工林の循環型再生・里山を使う森へ・原生林へ誘導する森づくりの三つの方向のうち、 アテビ平は原生林へ誘導する森づくりの絶好の研究フィールドだった」といいます。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 アテビ平のガイドウォークで講師をつとめる加藤代表

里の家の森は「里山を使う森」をテーマとし、アロマの森づくりと遊びの森、薪炭林のための森として手入れを続けてきました。畑ではコウゾ、ミツマタを栽培し和紙づくり、薬草園では薬草ハーブを育て里山の生業へとつなげています。また、近隣の3haのマミーの森を借り受け、常緑樹や竹を伐採し、器や家具の木材となる樹木の植樹と遊びの森として2021年の秋から整備を進めています。マミーの森では、保育園の里山体験の受け入れを行い、2023年度の浜松市地方創生SDGsコンテストで優秀賞を受賞しました。

「人工林の循環型再生」では、里の家の森に隣接するヒノキ林で間伐を進めています。一部はアロマの原料にしています。秋・冬の新月前に皮むきをしたものは、一年後に伐採し、マミーの森のアスレチックネットなどの遊具になります。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 学生たちとの間伐体験

「気候変動に適応できる人づくり」として、2023年度、静岡県立文化芸術大学の地域連携演習で14名の学生と共に実習を行なっています。青年学生向けの原体験キャンプも企画中です。ひとがひとになるためのプログラムの体系を独自にまとめ、里山里海体験、こども合宿、養生カフェ、原体験キャンプが進行中です。今後、保育園などの里山体験の受け入れや大人向け、企業向けの研修や講習会を広げていく予定です。そのため、加藤代表は環境教育インストラクターの認定を受け、現在、環境カウンセラーの登録申請中です。また、環境省が推進する「体験の機会の場」も認定申請中です。「気候変動が顕著になっていく未来、地球を託す青年たちを育てていくのが里の家の使命」だと加藤代表は力強く語ってくれました。

第10回 グッドライフアワード

懐かしい未来を里山から つくる「里の家」 ~風の子、海の子、 里山体験~

環境大臣賞 最優秀賞

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再生可能エネルギーの普及と地域のエネルギーによる収益を地域に還元、SDGs未来都市の創造!

環境大臣賞 優秀賞

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消費者の「食べたい!」が「住みたい!」につながった生活クラブと庄内地域のローカルSDGsプロジェクト

環境大臣賞 優秀賞

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みぞのくちノクティ「みんなで地球をまもろう!」~一人ひとりができることを考え行動しよう

環境大臣賞 優秀賞

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地域の自治体や学校と共に100万人のエコな子どもたちを育み続ける 環境・SDGs教育情報紙「エコチル」事業

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環境大臣賞 企業部門

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環境大臣賞 学校部門

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大阪府能勢町

中津川 THE SOLAR BUDOKAN(中津川 ザ ソーラー ブドーカン)

環境大臣賞 NPO・任意団体部門

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中津川 THE SOLAR BUDOKAN実行委員会

人生100年時代!! 森・人・地域経済を活性化する「グッドウッドプロジェクト」

環境大臣賞 地域コミュニティ部門

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一般社団法人 ゴジョる 釜石支店

臼杵観光ナビ(青の洞門 禅海和尚のように)

環境大臣賞 個人部門

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中野重二

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