① 東京電力福島第一原発事故に関する国際機関の見解
東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線被ばくの健康影響について、国際機関はどのような見解を示しているのでしょうか。
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の見解
- 将来のがん統計において、事故による放射線被ばくに起因し得る有意な変化が見られるとは予測していない。
- 最も高い被ばくを受けたと推定される小児の集団について、甲状腺がんのリスクが理論上増加する可能性がある。そのため、今後、状況を綿密に追跡・評価する必要がある。
- 先天性異常/遺伝的影響は見られない。
また、妊娠中の被ばくについて、自然流産、流産、周産期死亡率、先天的な影響、又は認知障害が増加するとは予測していない、東京電力福島第一原子力発電所事故で被ばくした人の子孫に遺伝的な疾患が増加することも予測していないと評価しています。
UNSCEAR2013年報告書の詳細は令和3年度版 上巻200ページを参照
参考:福島県県民健康調査の結果
妊産婦に関する調査でわかってきたこと
放射線等の新生児への影響が心配されましたが、震災後、福島県内における早産率、低出生体重児率、先天奇形・先天異常発生率等は、全国的に人口動態統計や一般的に報告されているデータとは差がないことが分かっています。
妊産婦に関する調査の詳細は令和3年度版 下巻159ページを参照
小児の甲状腺がんについてわかってきたこと
福島県はチェルノブイリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低いとされていますが、福島県県民健康調査では子どもたちの甲状腺の状態を把握し、健康を長期に見守ることを目的に甲状腺検査を行っています。令和元年10 月時点において、発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められないと考えられています。