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番外編5 南極観測船しらせの船旅(2)


○ しらせ大学
3月6~9日には、「しらせ大学」が開催されました。これは、観測隊員が、しらせの乗員を対象に、観測成果を発表して情報交換をするものです。今回は、9名の隊員がオーロラや南極の生物など、昭和基地での観測研究成果を発表しました。
○ 床屋
長い航海で、髪が伸びてしまう人もいます。そのような時は、船内の理髪室で散髪をすることができます。理髪室の前には、赤、青、白の床屋の印が掲げられており、中には散髪をするための用具が一通り置いてあります。専門の理容師はいないため、乗員同士で散髪します。
バリカンで丸坊主にする人が多いですが、観測隊員やしらせ乗組員の中にも、散髪が上手な人がおり、日本にいるときと同じ髪型にすることができます。
○操縦室
 艦橋(かんきょう)はしらせの一番高いところにあり、船の操縦を行います。観測隊でも帽子をかぶれば、自由に入ることができます。艦橋からの眺めは良く、運が良いと鯨の群れをみることができます。また、作業内容や日課などを知らせる艦内放送もこの艦橋から行われます。
○鯨やオーロラの放送
 夜、寝ていると、「左艦首、オーロラ!」と一言、突然、艦内放送が入ります。これは、艦橋が、船の前方の左側でオーロラが見えていることを艦内全体に教えてくれる放送です。写真は、2月28日に見えたオーロラです。この他、鯨の群れなどが見えたときに、放送で知らせてくれます。
○南磁極
 しらせは、3月12日の朝7:00頃に南緯64度東経138度付近の海上にある「南磁極」を通過しました。方位磁針を手に取ると、南極から北極に向かう磁力線の方向に従って、針は北に向きますが、その磁力線が出てくる最初の地点が「南磁極」で、そこでは磁力線は上を向いています。
「方位磁針は南磁極を過ぎたら急に反転するのではないか?」とか「くるくる回り出すのではないか?」など、方位磁針の動きに注目していました。
しかし、実際は、磁力線がほぼ垂直を向いている範囲は、南磁極も含めて50km程度の幅をもつことや、大きな鉄のかたまりであるしらせから生じる磁石としての性質など様々な要因があり、南磁極を通過した7:00頃、方位磁針は南南西の方向を指しながら、特に大きな変化はありませんでした 。。
一方で、磁力線の上下の向きを計る伏角計の針は、垂直方向に向かおうとして、振り切れてしまいました。
○時差
 昭和基地を出発した時には、日本との時差は-6時間でした。しかし、しらせは、東に進み、日本との時差は次第に短くなります。
時間変更が行われる場合、夜23:00が24:00となります。夜23:00になると、船内の時計の長針が自動的に進みだし、あっという間に24:00を指します。
これまで、7回時間変更があり、今は日本との時差は+1時間です。しらせは、徐々にシドニーに近づいて来ます。シドニーへの入港は3月21日です。
(了)