環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護メッセージ:トップ

第5回 観測船しらせの正月風景

2006年1月1日

「おーっ、久しぶり!元気にしてた?」
 12月31日の夕方、観測船しらせの中では、このような隊員同士のあいさつが、あちらこちらで飛び交った。
 観測隊員は、昭和基地の他にも、南極大陸の雪原上にあるS17航空観測拠点やその他の野外地域で、それぞれ作業や観測を行っていたが、隊員一同揃って正月を迎えるため、昭和基地の沖に停泊しているしらせに集まったのである(※注)。
 この時期、太陽は西の空に下がっていくが、沈まずにそのまま南の空を東に向かって移動するので、外は明るいままである。そのため、いわゆる初日の出を拝むことはできない(写真1)。船の周りには、海氷に覆われた海と氷山、白い南極大陸が見える。これまでにない、初体験の正月風景である。
 一方、船の中では、年末にかけてしらせの乗員による餅つきが行われ(写真2)、船内の食堂や隊員公室など各所に、鏡餅が飾られていた(写真3)。ヘリコプターの発着する飛行甲板には、門松が飾られ(写真4)、1月1日の朝には、ここで観測隊と乗組員全員で、記念撮影が行われた。その後、食堂で鏡開きが行われ、獅子舞も登場した(写真5)。観測隊員にもひとりずつおせち料理が配られた。南極に来て図らずも、日本列島の典型的な正月を体験することになり、なぜか安心した。
 午後になると、明日からの基地での作業や観測を前に、昭和基地で作業がある人は昭和基地に雪上車に乗って帰っていった。その後、船内は急に平日の雰囲気に戻ったように感じた。
 少し寂しさを感じつつ、私は、明日から始まるスカルブスネスの野外調査の準備を行った。

写真1:沈まなかった1月1日の太陽 写真2:しらせでの餅つき
写真3:船内に飾られた鏡餅 写真4:飛行甲板の門松
写真5:獅子舞


【注】
※注…第46次南極地域観測隊の越冬隊員は、昭和基地で正月を迎えた。

(了)