環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護メッセージ:トップ

番外編1 昭和基地に現れたペンギン

2006年1月4日

[1]

「おやまあ、散歩をしていたら、昭和基地の近くまで来てしまったよ。これは、雪上車の跡だね。基地の方にも行ってみたいけれど、あの子は、どこに行ったのだろう?」

[2]

「ああ、いたいた。心配していたんだよ。今からそっちに行くからね。…よいしょ、よいしょと。」

[3]

「いったいどこにいってたの?」
『こらこら、それは私のせりふです(翼をバタバタ)。勝手に先に行かないでよ。はやくみんなのところに戻りましょう。』
「で、私たちのルッカリーはどこだっけ…?」
『さてどこだっけ…。』

解説
アデリーペンギン(Pygoscelis adeliae)
 写真は、2匹のアデリーペンギンです。こんなやりとりがなされていたかは定かではありませんが、これは、海氷上で離れて歩いていたペンギンが出会った瞬間です。
 アデリーペンギンは、南極大陸沿岸に広く分布しています。体長は約70cm、ナンキョクオキアミや魚、イカやタコを餌にしています。全体で、約1500万羽がいると推定されています(※注)。
 「ルッカリー」とは、ペンギンの繁殖地のことです。昭和基地の近くでは、基地の西6~7kmにあるオングルカルベン島や南西約20kmのルンパ島などにルッカリーがあり、集団で生活をしています。

《ペンギン観察の注意点》
○みなさんの中には、南極地域への観光旅行でペンギンを観察する機会がある方もいると思いますが、ペンギンを保護するために、次の点に注意しましょう。
○少なくとも、5m以上は離れて観察しましょう。
○むやみに近づいたり、大声を出して脅かしたり、追いかけ回したりすること(動物の生息状態に影響を及ぼすおそれのある行為)や、捕まえる、抱きかかえる(鳥類を捕獲すること)は、南極地域の環境の保護に関する法律で禁止されています。

※注…藤原幸一2002『ペンギンガイドブック』阪急コミュニケーションズ