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第9回 ラングホブデの雪鳥沢(1)

2006年1月31日

南極特別保護地区〜ラングホブデの雪鳥沢

 昭和基地から南に約20kmにラングホブデ地域がある。そこには、雪鳥沢という沢がある(写真1)。沢では多くの蘚苔類が観察され(写真2)、岩には地衣類も見られる(写真3)など、南極地域の中でも大陸沿岸の露岩地域に典型的な生態系が発達しており、1984年からは蘚苔類や地衣類の植生変化のモニタリングが行われている。
 これらの生態系を保護し、モニタリングが適切に行われるように、雪鳥沢は、南極環境保護法に基づき保護区域(南極特別保護地区)に指定されている。
 南極特別保護地区へは、科学的調査、観測を目的とし、事前に許可を得た場合でしか立ち入りは認められていない。また、地区内では、廃棄物の処分が禁止され、ヘリコプターなどの航空機の着陸禁止などの規制がある。
 南極特別保護地区は、南極条約協議国会議(南極条約に加盟している45ヶ国が参加)で採択され、加盟国のそれぞれの法令によって指定される。現在、雪鳥沢も含め、64の南極特別保護地区が指定されている。
 南極特別保護地区は、南極地域の中で環境上の価値が高い地域を、国際的協力のもとに保護しようとする制度であり、規制を守ることは南極環境保護の国際的取組への貢献にも結びつくのである。

写真1:雪鳥沢 写真2:雪鳥沢の蘚苔類
写真3:雪鳥沢の地衣類(オレンジ色をした部分)  

南極特別保護地区の維持管理

 南極地域観測隊では、雪鳥沢南極特別保護地区を隊員に対して普及啓発するため、看板の設置を行っている(写真4)。また、ラングホブデ地域での活動拠点となる雪鳥小屋のすぐ裏手が南極特別保護地区であるため、雪鳥沢への立入り許可を得ていない隊員が誤って入らないように、境界線ロープを設置するなどの取組が行われている。今回、雪鳥沢滞在中には、ロープが切れた箇所が発見されたため、補修を行った(写真5)。

写真4:南極特別保護地区の普及啓発看板 写真5:ロープの補修作業(高野隊員撮影)

小屋の生活

 活動拠点となる雪鳥小屋には、発電機があり、電気を利用できるため、採取したサンプルの処理やサンプルを保存するための冷凍庫もある。またベッドも4つ用意されていて、快適に生活、調査をすることができる(写真6)。この小屋を拠点として、様々な調査、観測が実施される。次回は、雪鳥沢での調査の様子を紹介したい。

写真6:雪鳥小屋

【参考文献】
国立極地研究所編 1982 『南極の科学 7 生物』古今書院

(了)