20のチャレンジ
大分県豊後高田市
■暖房度日地域区分
■パッシブ地域区分
■提案概要
農村部と市街地の2箇所に、高齢者夫婦用の木造平屋建てと、子育て世代用の木造2階建てのタイプの異なるモデルハウスを建設します。いずれも土間を設け、夏場の打ち水で冷気を行き渡らせるとともに、県産材の活用、伝統工法の竹木舞(たけこまい)の土壁による保温及び調湿機能の利用を図ります。
また、太陽光発電など自然エネルギーを積極的に利用し、ごみの堆肥化などの減量化対策も積極的に取り組みます。
■地域の紹介文
六郷満山文化ゆかりの国宝「富貴寺」や宇佐神宮の荘園跡で中世の原風景を残す「田染荘」などの史跡と豊かな自然に恵まれたところでございます。
全国的に有名になった「昭和の町」は、昭和の風情を残した地域資源を活用するなどの取り組みで年間36万人超の観光客が訪れるようになりました。
また、環境施策におきましても、全戸にマイバッグを配布して、ごみの減量化とリサイクルの推進を展開しながら循環型社会を目指しています。
■コンセプト
『打ち水』と『伝統工法』で文化薫る懐古家(エコハウス)
農村地域に多くあった” 土間と土壁” のある家です。土間はあいまいな空間であり自然と人を繋ぐキーワードと考えました。壁は伝統工法の竹木舞(たけこまい)の土壁とし、自然素材による保温及び調湿機能が働くようにします。
大分県豊後高田市
21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業
※ 別ウィンドウで開きます
■予定地の緯度/経度
用地1)木造平屋建
緯度:北緯 33度35分52.76秒(33.597839)
経度:東経 131度29分13.51秒(131.486789)
用地2)木造二階建
緯度:北緯 33度30分22.31秒(33.505904)
経度:東経 131度30分12.22秒(131.503601)
建設地用地1)
建設地用地2)
■計画提案(用地1:木造平屋建て)
- ◇タイトル
- 徳六の風舎
- 設計者
徳永敬之(徳永敬之設計工房)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
- 自然豊かな里山集落に日本の在来工法による農村地域の再構築
- ○環境性
- 庇の出と植栽の日射コントロールによる、日射遮蔽
- 室内換気設備の利用による床下暖房
- 広くとった開口部からの卓越風による、冷房エネルギー消費の削減と快適性の向上
- 自然素材を多用し、土壁や漆喰を用いた塗り壁材による調湿機能、空気清浄作用を促進
- 日射熱を開口部から取得して土壁と土間に畜熱
- 天窓から昼光を取り入れる採光
- 太陽熱を利用した給湯システムの採用
- ○ライフスタイル
- 自然豊かな里山に高齢者夫婦が自然エネルギーを活用した住宅で田舎暮らし
- 集いの場所となり、コミュニケーションの輪を広げられるような住まい方
- 自然に囲まれて自分流にスローでエコなライフスタイルができる住まい方
◇設計主旨
Iターン夫婦が自然豊かな田舎で里山の生活するための自然エネルギーを活用した省エネ型住宅です。この住まいは地元の建材を活かした瓦葺きの木造平屋建てです。地域との交流の場や子供たちが遊びに来たときは泊まれる部屋があって、夫婦それぞれの趣味を楽しめる場所もあるライフスタイルを提供します。
日本の夏は高温多湿ですが、エアコンなどの機械設備に頼らず夏を過せる住いを計画しています。敷地周辺の風向きを考慮した卓越風を直接取込む開口部を設置し、さらに、風を取り込める袖壁や建物の配置をしています。東側から入った風は室内中を通り抜けて西の窓から出ます。室内の空気はよどむことがなく、いつも新鮮です。また、大きな引込み戸を開放すると、木々の緑を通り抜けた自然な風が入ってきます。その風が部屋の温度を下げます。壁は、土壁造りで、居間には三和土の土間があります。これは調湿機能があるので、さわやかな空気が生まれます。日当りと風通しの良い周囲の景観にも良く合う風を感じることができる自然エネルギー活用型省エネ住宅です。
■計画提案(用地2:木造2階建て)
- ◇タイトル
- 田染の荘
- 設計者
安藤剛(株式会社安藤剛設計室)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
- 日本古来の原風景が残された歴史と文化が薫る里山に自然と共生する地域の再生
- ○環境性
- 外壁仕上げを杉板張りとし、空気層を設けることによる外皮断熱
- 庇を伸ばし、夏場の日射遮蔽
- 内土間に「田染石」を張りつめ、日射熱を利用した畜熱
- 壁全体を土塗り・漆喰塗り仕上げにし、調湿・空気清浄機能
- 卓越風を利用し、内土間から棟屋に抜ける室内通風経路の確保
- 健康が住宅によって脅かされないよう自然素材を用いた住まいづくり
- ○ライフスタイル
- 自然豊かな里山に子育て世帯が自然と共生できる循環型の住まいと自然・農業・交流を楽しむ暮らし方
- 地域のコミュニケーションが再生できるような集いの場となる住まい方
- 通風や日射熱等自然エネルギーを活用し、四季を通じて健康的な住まいの暮らし方
◇設計主旨
エコハウスが建設される場所は、田染荘といわれる800年の歴史をもつ荘園である地域です。現在も平安時代、鎌倉時代の集落や水田の位置がほとんど変わらずに残されています。この地域の歴史・文化を受け継ぎ、周辺環境との調和や景観の形成ができるような日本の伝統的様式による住まいづくりを行います。
また、この地域の集落再生や持続可能な地域コミュニティの形成には、原風景と原体験を知る人たちの参画が必要です。ここにもう一つのコロニーを誕生させて「老」「青」「少」というゼネレーションで新しいコミュニュティーの形成を図るため、子育て世代(Uターン者)の住まいと地域コミュニティの再生の観点から、自然豊かな環境の中で自然のおりなす里山の暮らしができるライフスタイルを目指し、里山の再生と自然と共生できる住まいづくりを行います。
工法は、県産材を使った木造軸組工法とし、外壁廻りは竹小舞土塗壁貫工法、中土間等の技術を駆使し、断熱・通風・日射等自然エネルギーを活用した設計により、現在の住まいにおける現実的な快適性を保持しつつ、機械や設備に頼らない日本古来(在来)の木造瓦葺きスタイルによるエネルギー効率の良い自然素材を多用した自立循環型の住宅です。
■工事中(用地1:木造平屋建て)
上棟後、野地板張り施工(1月8日撮影)
外壁の土塗壁施工(2月22日撮影)
土塗壁の施工(2月4日撮影)
■工事中(用地2:木造2階建て)
屋根工事施工中(12月3日撮影)
外壁の土塗壁施工(1月12日撮影)
竹こまい作業完了(12月22日撮影)