20のチャレンジ
福島県飯舘村
■暖房度日地域区分
■パッシブ地域区分
■提案概要
低炭素型田園ライフの実現のため、菜園・ガーデン、農作業場、アート活動等の多様なクリエート空間を用意し、“ 半農半Ⅹ” 型のライフスタイルを堪能できるエコ田園住宅を村民参画で計画・建設しエコ定住、移住を促す。建物だけでなく、ランドスケープ、緑、菜園、庭、環境、農林地と融合する「までいな家(ZERO+α ハウス)」の生活体験を提供し、地球にやさしいまでいな暮らしを体感できる、村のエコライフ学習センター機能も果たし、までいライフの創造に寄与する。
■地域の紹介文
阿武隈山系北部、平均標高450m、6,200人、1,700世帯の農山村。村づくりの基本理念「までいライフ」は、ゆっくり・丁寧な意味の東北弁のまでい(真手)の理念で、効率優先を見直し真の豊かな暮らしを求める。木質バイオマスエネルギー活用やエココミュニティビジネスの創出を異業種交流の産業創出団体「いいたて村までい企業組合」が取組みを進める。エコハウスの敷地は、村役場、村の本屋、中学校、老人ホーム(チップボイラー使用)のある中心の場に隣接し、“ 半農半Ⅹ” までいハウスとしての普及活動の拠点として相応しい。
■コンセプト
《大いなる田舎までいライフいいたて》の理念により、人間本来の「多様な生き方」、「資源・文化」、「モノ・人の本質」を大切にした「までいライフ」の空間、「までいな家(ZERO+α ハウス)」を村民協働で提案する。
福島県飯舘村
「までいな家」を作ります
~21世紀環境共生型住宅モデル整備による建設促進事業~
※ 別ウィンドウで開きます
■予定地の緯度/経度
北緯 37度40分40.967秒(37.678046)
東経 140度43分59.946秒(140.733318)
建設地
建設地周辺
建設地航空写真
■計画提案
- ◇タイトル
- までいな家
- 設計者
豊田善幸(豊田設計事務所)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
地域性村づくりの基本理念【までいライフ】は、
効率優先を見直し真の豊かな暮らしの追求 - ○環境性
生活エネルギー数値のデータ化による
【までいな家】の普及 - ○ライフスタイル
菜園、ガーデン、農作業などの多様な空間で
“ 半農半Ⅹ” 型ライフスタイル
◇設計主旨
飯舘村は、平成11年以降に建設した全ての公営住宅で次世代省エネ基準をクリアし、またエネルギー消費量測定と温度測定を行ってきました。東北でもあまり例を見ない先進的な取り組みを10年継続してきたノウハウを生かし、今回更に環境負荷の小さな建物づくり「までいな家」を目指します。
「までいな家」の設計コンセプトは、古民家をイメージする中央の母屋「親の家」と若夫婦向けに増築した建物をイメージする「子どもの家」、そして農家の納屋をイメージする「作業場」を組み合わせ、3つの建物に囲まれた「食べる庭」で構成しています。このような住まいの形態は飯舘村で一般的に見かけるスタイルです。今後、本村に移住しようとする人々に「半農のくらし」のモデルルームとして、宿泊や作業場の加工作業において優れた断熱性能の体験機会を提供していきます。
エコハウスで特に「までい」に取り組むべき項目として
- 水源にある村のため「排水に配慮する」
- 輸送エネルギーを考慮し「木質燃料にこだわる」
- 生活排熱や太陽熱など「身の回りにあるエネルギーを活用する」
- 温熱環境を安定させるため「様々な熱を蓄える」
の4点を設計に反映し、までいな家においてエネルギーコストの少ない快適な住まいの機能を提案していきます。
※「までい」という言葉は当地方の方言で、「食い物はまでいに(大切に)食べなさい」「子供はまでいに(丁寧に)育てなさい」「仕事はまでいに(しっかりした・丁寧に)しなさい」など、「手間隙を惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」「時間をかけて」「じっくりと」、そんな心がこめられています。
■工事中
敷地南の母屋外観。屋根に太陽光発電と太陽熱温水設備、薪ストーブの煙突も見えます。
母屋左の作業場は野菜を加工。保存したり子どもたちの環境学習の場になります。
内部に設けた蓄熱体。木枠の中に地元の御影石を入れ冬場の太陽熱をストックします。