20のチャレンジ
高知県
■暖房度日地域区分
■パッシブ地域区分
■提案概要
住宅地の中に木造2階建てのモデルハウスを建設。構造や内装に県産材や土佐漆喰、土佐和紙などを採用することで、地場産品の需要拡大を図るとともに、高密度断熱材や断熱サッシュなどと併せ、安全・安心で快適な住宅の供給を推進する。また、木質ペレットや雨水利用を進めるほか、環境を支える地域コミュニティの形成を目指す。
■地域の紹介文
本県では、日本有数の林野率や日照時間、降水量などの豊かな自然を背景に、森林の活用によるCO2の削減や太陽光、風力、木質バイオマス等の自然エネルギーの導入促進など、地域特性にあった環境対策を推進している。 モデルハウス建設予定地は、県経済の中心である高知市への利便性が高い新興住宅地内の造成分譲が進んでいる区画の入り口にある。住宅地内には小学校、幼稚園、児童公園などの施設があり、近隣は海、山、川、池といった自然環境に恵まれている。
■コンセプト
豊富な森林資源の活用とともに、高知特有の気候の中で培われた技術を現代の技術に活かして、環境と防災の両面に配慮した、安全で高寿命な地場住宅の普及促進を目指す。
高知県庁ホームページ
環境共生型住宅普及促進事業について
※ 別ウィンドウで開きます
■予定地の緯度/経度
北緯 33度32分06.08秒(33.535022)
東経 133度36分46.69秒(133.612969)
建設地
建設地航空写真
■計画提案
- ◇タイトル
- ソーラ棟とバイオマス棟による2世帯エコ住宅
- 設計者
細木茂(株式会社細木建築研究所)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
豊富な森林資源を活用し、強い風雨や夏の暑さ、冬の寒さに対応 - ○環境性
太陽光熱ハイブリッドシステムとバイオマスシステムの併用や、十分な断熱等により高い環境性能を実現 - ○ライフスタイル
家族構成に応じた暮らし方と、地域のコミュニケーション向上に向けた提案
◇設計主旨
高知県は高温多湿の気候であり、全国有数の年間降雨量の多い地域である。しかし、冬季は決して暖かいわけではなく、一日の最高気温が10℃を、最低気温が0℃を下回る日が少なくない。また、地形は山地が多く森林面積の割合が84%と、全国一である。そのため、植林が盛んに行われ、森林の3分の2が杉、桧といった人工林となっている。
以上の理由により、高知の住宅には、雨風から建築自体を守る事、夏の暑さ、冬の寒さに対応する事が求められる。そして、高知県の豊富な木材を利用することが地域性を活かした建築につながる。
この「高知県環境共生型住宅モデルハウス」は、高知の地域性を活かしながら、ライフサイクルでのCO2発生量を極力抑えた建築とした。構造は木造在来軸組工法とし、内部、外部共に県産木材をふんだんに使用した。構成は、建物を大きく北棟と南棟に分け、両方の棟を玄関ホールでつなぎ、2世帯住宅、核家族で住む住宅、夫婦2人で住む住宅として、それぞれのシミュレーションを可能とした。北棟は太陽光熱ハイブリッドシステムを用いたハイテックエコシステムとし、南棟はバイオマスを用いたローテックエコシステムとした。北棟、南棟はそれぞれの南面、北面に大きく開口部を設け、通風採光を確保する。共に庇を大きく設け、十分な断熱を施す。これにより、自然光、自然風を最大限に活かし生活することが可能な建築とした。なお、深い庇は風雨から建物を保護する役目を持つ。
また、玄関の土間スペースに十分な十分な面積を確保し、玄関土間空間とポーチとを一体化させ、地域の人々が集まってコミュニケーションをとることが可能な空間を設けた。
■工事中
大部分が傾斜地である敷地への基礎型枠工事
ハイブリッドソーラーシステムの発電パネル設置工事
古紙を再生した断熱材の天井吹き込み工事