20のチャレンジ
岐阜県高山市
■暖房度日地域区分
■パッシブ地域区分
■提案概要
市街地に近い緑豊かな場所に木造2階建てのモデルハウスを建設。森林都市『高山』の木材と木質資源を活用し、外断熱や床下蓄熱の採用、太陽光発電やLED照明、地中熱利用の融雪や雨水の有効利用などを行い、さらに伝統の建築様式を伝承させるため、伝統工法による空間を作りながら、寒冷多雪地に対応した木造エコ住宅を提供する。
■地域の紹介文
高山市は、春と秋の「高山祭」や「古い町並」に代表される歴史と伝統を持つ日本有数の国際観光都市として、年間450万人の観光客が国内外から訪れます。平成17年2月に周辺の9町村と合併し、日本最大の森林都市となり、北東部には、北アルプス(飛騨山脈)を擁し、国内有数の豊かな自然環境を誇っています。古くから建築や木工が盛んで、その技術と伝統は「飛騨の匠」と称され、伝統的な工芸・住宅様式に受け継がれています。
■コンセプト
広大な森林の恵みである木質資源を最大限に活用し、地域の気候風土にマッチした「飛騨騨高山オリジナルの魅力ある木造エコ住宅」を基本コンセプトに、3つの視点(①豊かな自然資源を活用した低炭素循環型生活、②寒冷多雪地域に対応した安全・快適な住環境、③伝統文化・技術の活用・伝承)からモデル住宅を提案します。
岐阜県高山市
21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業(環境省補助事業)
※ 別ウィンドウで開きます
■予定地の緯度/経度
北緯 36度8分3秒(36.134166)
東経 137度14分16秒(137.237777)
建設地
建設地周辺(飛騨の里)
建設地航空写真
■計画提案
- ◇タイトル
- 飛騨の匠の知恵を継承するエコハウス
- 設計者
脇本敏雄(脇本設計)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
日本一の森林都市『高山』の木材を使った住宅
(森とともに生きる!) - ○環境性
カーボンニュートラルな自然資源を活用し、寒冷多雪な気候風土に対応するエコ住宅 - ○ライフスタイル
親子のふれあい、笑顔があふれる生活空間の提案
◇設計主旨
高山市地域は広大な山岳地域を有し、森林資源が豊富な地域です。また、古来より森林業、木材加工業が盛んで、飛騨の匠と呼ばれる工匠に代表されるような木材加工にかかわる幾多の伝統を培ってきました。
今回提案の設計コンセプトを「森林都市飛騨高山の豊かな自然資源である木材を最大限に活用することで地域特性を持った低酸素自立循環型住宅を創造」としました。これは木材の活用を前面に打ち立てた提案であり、建築材料として、また冬季の暖房用熱源としての木材を利用することで、材料の次元から、また建設後の施設運用の段階においても、化石燃料による温室効果ガスの排出量削減にも寄与することを目指しています。
- 平面計画
飛騨山脈を眺望する位置にある敷地で、南北に通り抜ける動線と、南側に向けた屋根によって太陽光を受ける屋根の配置としています。 - 地元木材と伝統的な建築様式
建築用材である地場産材は十分な確保が可能で、地産地消、木材木工産業育成の点からも地域の大きな期待が寄せられています。また伝統的な工法を後世に伝承させるため、軸組み工法による空間を作り出しました。 - 自然風の利用
南面北面に開口を設け温度上昇による空気の上昇を利用することで微風時にも空気の流れを作り出します。 - 昼光利用
建物中心部に吹き抜けの居間を配置し、昼光を取り込みました。 - 太陽光発電
南面屋根にソーラーパネルを設置し、冬期間の悪条件下でも最小限の電力を確保します。 - 断熱外皮計画
壁はフェノールフォーム40mmと発泡ウレタンフォーム20mm、屋根はフェノールフォーム50mmと発泡ウレタンフォーム25mm、床は底部ウレタンフォーム30mmの蓄熱層内に耐火煉瓦による蓄熱構造とし、建物全体の保温効果を高めました。 - 暖房設備
木質資源であるペレットストーブによる暖房、ペレットボイラーによる給湯を計画し地元資源を燃料としても活用します。 - 地熱利用
敷地内ボーリングによる地熱をヒートポンプにより屋根軒先融雪並びに歩行路の融雪に利用し、夏季は部分冷房にも利用します。 - 照明設備
照明器具にはLED照明を採用し消費電力の削減を図っています。 - 敷地内菜園
庭部に菜園を設け、自給食材の体験できる場としています。 - 雨水の有効利用
雨水タンクを設け便所の流水や庭の散水に利用します。
全体的に高山市周辺地域の気候風土や景観を十分に把握し、これを的確に反映する設計内容としています。
■工事中
平成22年2月9日
建て方 降雪のため、まずは除雪から作業開始
平成22年3月9日
外壁 木製今回木材加工業者と試作を重ねての採用
平成22年2月18日
内部ウレタン吹き付け作業、外皮断熱の要所