20のチャレンジ
北海道美幌町
■暖房度日地域区分
■パッシブ地域区分
■提案概要
里山と田園に囲まれた体験とふれあいの里「みどりの村森林公園」に隣接して、木造2階建てのモデル住宅を建設。三世代が同居して長く暮らせる住まいを理想型としてFSC認証地域材の使用によりウッドマイレージCO2を低減するとともに、温度差や雪氷熱などをローカルエネルギーとして最大限活用した低炭素な多世代の家づくりを行います。
■地域の紹介文
本町は北海道の東部オホーツクの内陸に位置し、全国有数の日照率の高さを誇り、平均気温は5度前後で高低温度差が55度を超える寒暖差が地域特性であります。甜菜、馬鈴薯、小麦を主とした農業と環境に配慮した責任ある森林管理を進める林業を基幹産業とし、モデルハウス建設予定地は知床連山が一望できる森林公園と田園に囲まれた小高い地にあり、周辺には体験宿泊施設「グリーンビレッジ美幌」や開拓の歴史と環境を学べる「美幌博物館」に加え町営スキー場が整備されています。
■コンセプト
緑豊かな畑、木の香る里山と調和した住環境を備え、ローカルエネルギーと森林資源の保全と活用を両立させた「エコハウス」で環境に優しい美幌の「スローライフな暮らし」を体感することができます。
北海道美幌町
21世紀環境共生型住宅のモデル整備による
建設促進事業
について
※ 別ウィンドウで開きます
■予定地の緯度/経度
北緯 43度50分4.81秒(43.834669)
東経 144度5分3.45秒(144.084292)
建設地
建設地
建設地航空写真
■計画提案
- ◇タイトル
- 美幌の自然と共に呼吸する家
- 設計者
堀尾浩(堀尾浩建築設計事務所)
- ◇ここがポイント
- ○地域性
農林業を基軸として美幌の自然からみちびかれた
「かたちと景観」 - 豊かな樹木と畑につつまれた美幌
- 風と光を引き入れる「かたち」
- ○環境性
広葉樹の森による日射遮蔽、拡散光による南面採光、
南風の導入、換気トップライトによる重力換気 - 専門エンジニアとの協働による「多様な技術の総合化」
- エネルギーの総合化による自給率の向上
- 室内空気循環による新エコキュートシステム
- 地中熱ヒートポンプによる床暖房
- ペレットボイラーを利用した給湯
- 広葉樹の森による日射遮蔽
- 個室棟屋根面の電動式トップライトから重力換気
- 地場林業と連携 カラマツ材とペレットストーブ
- ○ライフスタイル
世代循環に対応可能な「セミオープン」な平面構成 - 暮らしと仕事を結ぶ「土間ホール」
- 「森の広間」がつくる「家族の距離感」
◇設計主旨
美幌町の主要産業である農林業は、自然の時間を基本とする仕事です。「循環型森林経営」や「低炭素な町づくり」が目指すべき未来は、こうした自然とともに暮らすことの豊かさを実感できる社会ではないでしょうか。その礎となる暮らしの場で今私たちができることは、住まいに関する負担を軽減することと考えています。ひとつは、高い断熱・気密性能と自然エネルギー利用による光熱費の軽減。もう一つは、次の世代へも引継がれる「世代循環が可能な家」であること。私たちはこの家が、その場所の自然とともに呼吸し、長く生き続ける暮らしの場となることを考え提案しました。
私たちが提案する美幌型の農家住宅は、美幌の豊かな自然とともに「呼吸する家」でありたいと考えます。
昔から多くの人や生き物が、循環する自然の流れの中で世代を重ねてきたように、現代の暮らしの場もまた、自然の時間や季節の変化に寄り添う場所であることを望みます。
しかしながら、変化を受け容れる環境づくりには、機械制御による均質な快適性とは異なる、「むら」や「多様性」を楽しむ心持も大切だと感じます。提案では、その地域の風土や気候、敷地の特性を注意深く調べ、美幌で育まれた産業や技術資源に先端の環境技術を組み合わせることでその場面の自然とほどよい関係を持つ「暮らしと仕事の場」と考えました。
森、住宅、作業場、菜園が連なる景観は、どこか「なつかしい姿」でありながらも、新たな「美幌の未来」をしめす風景であって欲しいと願っています。
■工事中
「びほろエコハウス」はその場所の豊かな自然と呼吸し、自然と建つ家
FSC認証材の町産カラマツを使った環境に優しい住宅
多世代の農家住宅は共有の土間空間を囲む三つの棟からなっている