ワシントン条約とは

事例4:モンキヨコクビガメ
ペルーにおける
モンキヨコクビガメの捕獲と取引

イメージ画像:モンキヨコクビガメ Podocnemis unifilis

※本記事はワシントン条約(CITES)ウェブサイトで参考事例として紹介されている事例の1つを紹介しているものです。より詳細な情報、その他の事例及び関連情報については、ワシントン条約ウェブサイトをご覧ください。

モンキヨコクビガメ Podocnemis unifilis
附属書Ⅱ

モンキヨコクビガメは、南米のアマゾン川とオリノコ川の流域全体に広く分布するカメ目ヨコクビカメ科の動物です。生息地の消失・分断及び食料として卵及び成体が広域で乱獲されたことで、生息域の大部分で減少しました。

ペルーでは、モンキヨコクビガメは、保全を促す持続可能な利用のための飼育プログラムを通じて、先住民及び地域コミュニティに社会的な利益をもたらしながら捕獲されています。現地住民が採取した野生の卵は人工の浜辺で孵化され、野生個体数の増加のために再度野生に戻すほか、ペットとして香港や中国に輸出されます。2017年には約70万匹のカメが輸出され、この取引の利益は主にコミュニティの現金収入となっており(2017年で総額74万1,738米ドル(約7700万円))、特にアマゾンの先住民コミュニティでは、これが唯一の現金収入源となっていることが多く、医療や教育などに使われています。一部の地域では、捕獲作業を観光コンテンツとしても活用しています。技術支援や訓練を通じてコミュニティの管理能力が構築され、保全の組織的能力が向上したことで、密猟者や密売人の侵入を防ぎ、安全への脅威が減ったとされています。

飼育プログラムによりアマゾン川に生息するモンキヨコクビガメの個体数は徐々に増加し、管理流域の1つであるパカヤサミリア国立保護区では、モニタリング調査の初年度(2012年)から2017年までの間に巣の数が5倍になりました。さらに、このプログラムを通じてコミュニティによる営巣浜辺のモニタリング活動が増えたことから、他種を含め野生動物の密猟や違法取引が減少し、また管理のためのデータの収集が進んだとされる事例です。

※1米ドル=104日本円として換算