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5.認定地域脱炭素化促進事業計画に関する特例への対応
本章では、市町村が地域脱炭素化促進事業計画の認定を行う場合に適用される特例の概要と、特例に関して都道府県や市町村が準備すべき体制等について解説します。
5-1.特例の概要
計画策定市町村が地域脱炭素化促進事業計画の認定を行うことにより、認定地域脱炭素化促進事業者は地球温暖化対策推進法による特例を受けることができます。
地球温暖化対策推進法による特例には大きく2つあり、1つ目は関連法令の許可等のワンストップ化、2つ目は都道府県基準が定められた区域において環境影響評価法の配慮書手続が適用されないことです。
また、地域脱炭素化促進事業に関する事項の中で、農山漁村再エネ法の該当する取組や基準を満たしている場合、認定地域脱炭素化促進事業者は農山漁村再エネ法における許可等のワンストップ化の特例等を受けることができます。
許可等に関する特例は、本来は事業者自らが行うべき法令等に関する許可申請手続をワンストップ化して計画策定市町村が代わりに行うことにより、認定地域脱炭素化促進事業者の様々な事務に要する手間の削減や期間の短縮等を目的として設けられているものです。計画策定市町村は、この点について留意して事務に当たることが望ましいです。
5-1-1.認定地域脱炭素化促進事業計画に関する特例
地域脱炭素化促進事業計画の認定を受けることによるワンストップ化の特例の対象となる行為は、温泉法、森林法、農地法、自然公園法、河川法、廃掃法の一部の許可等です(表5-1)。
なお、地域脱炭素化促進事業のうち、温泉法、森林法、農地法、自然公園法、廃掃法については、地域脱炭素化促進施設、地域脱炭素化促進施設の整備と一体的に行う地域の脱炭素化のための取組(促進区域内で実施するものに限る。)が対象になり、河川法については地域脱炭素化促進施設が対象となります。
また、地域脱炭素化促進事業計画の認定を受ける場合、都道府県基準が定められた区域においては、環境影響評価法の配慮書手続は省略されます。
認定地域脱炭素化促進事業計画に関する特例の詳細については第9章で解説します。
表5-1 ワンストップ化の特例の対象となる許可等手続の概要
対象 |
対象となる行為 |
許可権者等 |
---|---|---|
温泉法 |
温泉をゆう出させる目的での土地の掘削、ゆう出路の増掘等 |
都道府県知事の許可 |
森林法 |
地域森林計画対象民有林(保安林等を除く。)における開発行為、保安林における立木の伐採や土地の形質変更等 |
都道府県知事の許可 |
農地法 |
農地の転用、農用地(農地、採草放牧地)の転用のための権利移動 |
都道府県知事等の許可 |
自然公園法 |
国立/国定公園内における工作物の新築、土地の形状変更等の開発行為等 |
環境大臣、都道府県知事(国定公園)の許可(特別地域における行為の場合)又は届出(普通地域における行為の場合) |
河川法 |
水利使用のために取水した流水を利用する発電(従属発電)のための流水の占用 |
河川管理者※への登録 |
廃掃法 |
廃棄物処理施設における熱回収施設の設置 |
都道府県知事等の認定 |
指定区域内(処分場跡地)における土地形質変更 |
都道府県知事等への届出 |
5-1-2.農山漁村再エネ法に関する特例
市町村が、地域における再エネ設備の整備を含めた温室効果ガス排出削減の取組を促進するための基本的なスキームたる地方公共団体実行計画を定めた場合、当該地方公共団体実行計画により農山漁村再エネ法に基づく各種の特例を適用できます。
この特例を利用する場合、市町村は地方公共団体実行計画に農林漁業の健全な発展に資する取組に関する事項を定め、かつ当該事項が農山漁村再エネ法第5条第5項で定める基準に適合した区域に係るものであり、さらに地域脱炭素化促進事業に係る記載事項が基本方針に適合するように記載する必要があります。
農山漁村再エネ法に関する特例については第10章で解説します。
5-2.市町村の体制等
計画策定市町村は、それまで事業者が各許可権者等に申請していた内容を一括して受け付け、該当する許可権者等と協議し、同意を得ることとなります。
地域脱炭素化促進事業計画の申請の受付に当たっては、認定申請のあった地域脱炭素化促進事業計画の内容や添付書類等の記載漏れ、不足等がないよう確認する必要があります。事業者から地域脱炭素化促進事業計画が提出され、同計画中に記載された事業がワンストップ化の特例を利用できる行為(第22条の2第4項各号に規定された行為)に該当する場合は、当該行為に関する法令を所管している許可権者等からの同意を得るため、当該計画書類を許可権者等に速やかに送付することが必要です。その際、ワンストップ化の特例が事業の円滑化につながるよう、計画策定市町村は、特例対象となっている許可等手続の標準処理期間を踏まえて迅速に対応することが重要です。
このため、地方公共団体実行計画で地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた計画策定市町村では、事業者が許可等のワンストップ化の特例を使用する場合に備え、体制を準備する、具体的には、事業者が申請する窓口を明確にした上で示すことが必要となります。
5-3.都道府県の体制等
ワンストップ化の特例の対象法令の許可権者等となっている都道府県は、市町村が地方公共団体実行計画で地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた場合、当該市町村からワンストップ化の特例対象の許可等について協議が行われることが考えられます。市町村から問合せ等を行いやすくし、負担の軽減を図る観点から、各許可等について窓口を一本化するか、ワンストップ化の特例に関する関係法令についての問合せ先のリストを整理して市町村に配布することが望ましいです。
また、事前に協議会に参加するなどし、円滑な地域脱炭素化促進事業の実行に向けて協力することも重要です。
上記に加えて、都道府県が許可権等の権限を持っている規制・制度であって、地域脱炭素化促進事業の導入に関連するものについても市町村に情報提供を行うことが望ましいです。