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10.農山漁村再エネ法の特例

本章では、農山漁村再エネ法の特例、地球温暖化対策推進法と農山漁村再エネ法の関係について解説します。

 

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10-1.農山漁村再エネ法の概要

農山漁村再エネ法は、農山漁村における再生可能エネルギー発電設備の整備について、農林漁業上の土地利用等との調整を適正に行うとともに、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を併せて行うこととすることにより、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進し、農山漁村の活性化を図るものです。

市町村は、協議会の場の積極的な活用等により、地域の関係者の合意形成を図りながら基本計画を作成します。農山漁村再エネ法に基づく設備整備計画の認定を受けようとする設備整備者は、再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする地域をその区域に含む市町村の基本計画の内容を十分踏まえて設備整備計画を作成し、当該市町村に認定の申請を行い、設備整備計画の認定の申請を受けた計画作成市町村は申請の内容を確認し認定の是非を判断することになります。

基本計画の「設備整備区域」の設定にあたり、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を行う土地利用として有効活用するため、再生利用が困難な荒廃した農地を含めることを推進しています。

 

10-1農山漁村再エネ法に基づく取組の流れ

図10-1 農山漁村再エネ法に基づく取組の流れ

 

 

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10-2.地球温暖化対策推進法と農山漁村再エネ法の関係

市町村が、地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を含む地方公共団体実行計画を定めた場合であって、後述する要件を満たす場合は、当該地方公共団体実行計画を農山漁村再エネ法に基づく「基本計画」とみなし、農山漁村再エネ法に基づく各種規定を適用できます。

地方公共団体実行計画の記載事項のうち、地域脱炭素化促進事業には、再エネ発電設備の整備が含まれ、また地域脱炭素化促進事業と併せて促進する地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組には、農林漁業の健全な発展に資する取組も含まれる可能性があります。そこで、地方公共団体実行計画に農林漁業の健全な発展に資する取組に関する事項が定められ、かつ当該事項が農山漁村再エネ法第5条第5項で定める基準に適合した区域に係るものであり、さらに地域脱炭素化促進事業に係る記載事項が基本方針に適合する場合には、当該地方公共団体実行計画に定められている再エネ発電設備の整備(当該市町村が作成した基本計画に定められているものを除く。)については、当該地方公共団体実行計画を基本計画とみなすこととし、農山漁村再エネ法の設備整備計画の認定に係る規定(設備整備計画の認定、設備整備計画の変更、酪肉振興法、漁港及び漁場の整備等に関する法律及び海岸法の特例(農地法、森林法、自然公園法及び温泉法に係る規定を除く。)等)を適用できます(法第21条の2第1項)。

なお、本制度を活用しようとする事業者等がわかるよう、市町村は、自らが策定した地方公共団体実行計画を基本計画とみなす場合には、地方公共団体実行計画にその旨を記載することが望ましいです。

また、地方公共団体実行計画を基本計画とみなし、農山漁村再エネ法の設備整備計画の認定に係る規定を適用するためには、事業者は地域脱炭素化促進事業計画の認定を受ける必要があります。地球温暖化対策推進法における農山漁村再エネ法の特例措置との関係は図10-2のとおりです。

 

10-2地球温暖化対策推進法における農山漁村再エネ法の特例措置

図10-2 地球温暖化対策推進法における農山漁村再エネ法の特例措置

 

農山漁村再エネ法第5条第1項の規定により、地球温暖化対策推進法第21条第5項に規定する地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた場合は、以後、農山漁村再エネ法に基づく基本計画を策定することはできず、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画を基本計画とみなして農山漁村再エネ法の特例を活用することになります。したがって、地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を検討する際には、農山漁村再エネ法の所管部署とも記載の内容についてよく調整してください。

なお、農山漁村再エネ法に基づく基本計画と地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた地方公共団体実行計画の策定の有無により、適用となる計画が異なります。その関係は表10-1のとおりです。

 

表10-1 基本計画及び実行計画の策定状況と設備整備計画の認定に適用される計画の関係

地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた実行計画の策定

地球温暖化対策推進法第21条の2の適用(農山漁村再エネ法の特例)

×(未策定)

非適用(基本計画の策定可)

※ただし、地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めた場合は、以後、地球温暖化対策推進法第21条の2を適用

〇(策定済)

適用(以後、基本計画の策定は不可)

※ただし、地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定める以前に策定した基本計画に記載のある施設整備については、農山漁村再エネ法の規定を適用

※地方公共団体実行計画を策定した場合であっても、地球温暖化対策推進法第21条第5項各号の地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めていない場合は、農山漁村再エネ法に基づく基本計画の策定は可能です。

 

○地球温暖化対策推進法(抄)

(農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律の特例)

第二十一条の二 市町村が、地方公共団体実行計画において、前条第五項第五号ロに掲げる事項に促進区域(農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成二十五年法律第八十一号)第五条第五項の農林水産省令で定める基準に適合する区域に限る。)においてその実施を促進する地域脱炭素化促進事業(同法第三条第二項に規定する再生可能エネルギー発電設備(以下この項において「再生可能エネルギー発電設備」という。)の整備を含むものに限る。)と併せて促進する農林漁業の健全な発展に資する取組に関する事項を定めた場合であって、当該地方公共団体実行計画のうち前条第五項各号に掲げる事項が同法第四条第一項に規定する基本方針に適合するときは、当該地方公共団体実行計画に定められた再生可能エネルギー発電設備の整備(当該市町村が作成した同法第五条第一項に規定する基本計画(以下この項において「基本計画」という。)に定められているものを除く。)については、当該地方公共団体実行計画を基本計画とみなして、同法第七条(第四項第一号、第三号、第四号及び第七号から第九号まで、第五項、第六項、第七項第一号、第二号及び第四号並びに第九項から第十五項までを除く。)、第八条、第十条、第十二条及び第十三条の規定を適用する。この場合において、同法第七条第一項中「再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者」とあるのは、「地球温暖化対策の推進に関する法律第二十二条の二第三項の規定により認定された同条第一項に規定する地域脱炭素化促進事業計画に従って再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者」とする。

2 前項に規定する場合においては、市町村は、地方公共団体実行計画において、前条第二項各号、第三項各号及び第五項各号に掲げる事項のほか、当該市町村が行う農林地所有権移転等促進事業(農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律第五条第四項に規定する農林地所有権移転等促進事業をいう。)に関する同法第五条第四項各号に掲げる事項を定めることができる。

3 地方公共団体実行計画において前項に規定する事項を定めた市町村については、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律第十六条第一項に規定する計画作成市町村とみなして、同条から第十九条までの規定を適用する。この場合において、同法第十六条第一項及び第三項第一号中「基本計画」とあるのは、「地球温暖化対策の推進に関する法律第二十一条の二第一項の規定により基本計画とみなされた地方公共団体実行計画」とする。

(地方公共団体実行計画等)

第二十一条

3 都道府県及び指定都市等(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市をいう。以下同じ。)は、地方公共団体実行計画において、前項各号に掲げる事項のほか、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の量の削減等を行うための施策に関する事項として次に掲げるものを定めるものとする。

一 太陽光、風力その他の再生可能エネルギーであって、その区域の自然的条件に適したものの利用の促進に関する事項

二 その利用に伴って排出される温室効果ガスの量がより少ない製品及び役務の利用その他のその区域の事業者又は住民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進に関する事項

三 都市機能の集約の促進、公共交通機関の利用者の利便の増進、都市における緑地の保全及び緑化の推進その他の温室効果ガスの排出の抑制等に資する地域環境の整備及び改善に関する事項

 

○農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)(抄)

(基本計画)

第五条 市町村(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二十一条第一項に規定する地方公共団体実行計画に同条第五項各号に掲げる事項を定めた市町村を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、基本方針に基づき、当該市町村の区域における農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を作成することができる。

2~4(略)

5 第二項第二号に掲げる区域は、地域の農林漁業の健全な発展に必要な農林地並びに漁港及びその周辺の水域の確保に支障を及ぼすおそれがないものとして農林水産省令で定める基準に従い、かつ、地球温暖化対策の推進に関する法律第二十一条第六項の環境省令で定める基準に適合するように定めるものとする。

6~9(略)

10 市町村(地球温暖化対策の推進に関する法律第二十一条第一項に規定する地方公共団体実行計画に同条第三項各号に掲げる事項を定めた市町村に限る。)は、基本計画の作成に当たっては、同条第一項に規定する地方公共団体実行計画との整合性の確保を図るよう努めなければならない。

11・12(略)

 

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10-3.農山漁村再エネ法の特例措置

農山漁村再エネ法で設備整備計画の認定を受けた場合に係る特例措置として、関連法の許可又は届出の手続のワンストップ化(認定により許可があったものとみなす等)や、再エネ発電設備の円滑な整備と農地の集約化を併せて図るために行う、市町村による農林地所有権移転等促進事業(計画の作成・公告による農林地等の権利移転の一括処理)を定めています。

土地などの利用に関連する許可や届出の手続を、市町村段階にてワンストップで行うことができます。市町村が、本来の許可権者である大臣や都道府県知事から「同意」を受けて、その上で認定することで、許可があったものとみなす仕組みです。農地法、森林法、漁港及び漁場の整備等に関する法律など合計7つの法律の13の許可又は届出の手続を「ワンストップ化」の対象としています。

 

表10-2 ワンストップ化の対象となる行為の一覧

法律名 条項 行為 手続 (参考)本来の許可権者等
農地法 第4条第1項 農地の転用
(ワンストップ化に加え、原則転用不許可の第1種農地であっても、再生利用困難な荒廃農地等であれば転用できるようになる)
許可 都道府県知事、指定市町村長
第5条第1項 農地又は採草放牧地の転用のための権利移動 許可 都道府県知事、指定市町村長
酪肉振興法 第9条 集約酪農地域の区域内の草地の形質変更 届出
(事前)
都道府県知事
森林法 第10条の2第1項 地域森林計画の対象となっている民有林における開発行為 許可 都道府県知事
第34条第1項 保安林における立木の伐採 許可 都道府県知事
第34条第2項 保安林における土地の形質を変更する行為 許可 都道府県知事
漁港及び漁場の整備等に関する法律 第39条第1項 漁港区域内の水域・公共空地における工作物の建設等 許可 漁港管理者
(市町村・都道府県)
海岸法 第7条第1項 海岸保全区域(公共海岸に限る)における施設又は工作物を設けての占用 許可 海岸管理者
(都道府県知事・市町村長・港湾管理者の長)
第8条第1項 海岸保全区域における施設の新設等 許可 海岸管理者
(都道府県知事・市町村長・港湾管理者の長)
自然公園法 第20条第3項 特別地域区域内における工作物の新築・改築等 許可 都道府県知事、環境大臣
第33条第1項 普通地域内における工作物の新築・改築等 届出
(事前)
都道府県知事、環境大臣
温泉法 第3条第1項 温泉を湧出させる目的で土地を掘削すること 許可 都道府県知事
第11条第1項 温泉の湧出路の増掘、又は温泉の湧出量を 増加させるための動力の装置 許可 都道府県知事

出典:農林水産省「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再生可能エネルギー法)について(平成28年5月)」

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/pdf/houritsu.pdf

 

○農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)(抄)

(農地法の特例)

第九条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って再生可能エネルギー発電設備等の用に供することを目的として農地を農地以外のものにする場合には、農地法第四条第一項の許可があったものとみなす。

2 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って再生可能エネルギー発電設備等の用に供することを目的として農用地を農用地以外のものにするため当該農用地について所有権又は使用及び収益を目的とする権利を取得する場合には、農地法第五条第一項の許可があったものとみなす。

(酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律の特例)

第十条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って集約酪農地域の区域内にある草地において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため行う行為については、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律の規定は、適用しない。

(森林法の特例)

第十一条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って対象民有林において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため森林法第十条の二第一項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

2 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って保安林において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため森林法第三十四条第一項又は第二項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

(漁港及び漁場の整備等に関する法律の特例)

第十二条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って漁港の区域内の水域又は公共空地において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため漁港及び漁場の整備等に関する法律第三十九条第一項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

(海岸法の特例)

第十三条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って海岸保全区域内において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため海岸法第七条第一項又は第八条第一項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

(自然公園法の特例)

第十四条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って国立公園又は国定公園の区域内において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため自然公園法第二十条第三項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

2 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って国立公園又は国定公園の区域内において再生可能エネルギー発電設備等を整備するため行う行為については、自然公園法第三十三条第一項及び第二項の規定は、適用しない。

(温泉法の特例)

第十五条 認定設備整備者が認定設備整備計画に従って再生可能エネルギー発電設備等を整備するため温泉法第三条第一項又は第十一条第一項の許可を受けなければならない行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

 

「農林地所有権移転等促進事業」とは、再エネ発電設備又は農林漁業関連施設の円滑な整備とその周辺の地域における農地の集約化等農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保を図るため、農林地等についての権利移転等を一括して行うことを可能とする制度です。

農林地所有権移転等促進事業を行う場合は、農山漁村再エネ法施行規則第4条に基づき、農業委員会の決定を経て、所有権移転等促進計画を定める必要がございます。所有権移転等促進計画は、再エネ発電設備の整備予定地やその周辺の農林地に多数の地権者が存在する場合、再生可能エネルギー発電設備の整備や農地の集約化などを円滑に進める観点から、農林地等について複数の権利の移転又は設定を一括して行えるようにするものです。

この措置は、公的主体である市町村が中心となって地権者全員の合意を得て作成され、計画の公告により権利の移転又は設定の効果が発生するものです。また、市町村による嘱託登記の仕組みも併せて導入することにより、所有権移転等促進計画で発生した権利の移転又は設定後の不動産登記についても、市町村が必要な手続を行うこととなります。

 

10-3農林地所有権等促進事業における権利移転のイメージ

図10-3 農林地所有権等促進事業における権利移転のイメージ

出典:農林水産省「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再生可能エネルギー法)について(平成28年5月)」

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/pdf/houritsu.pdf

 

○農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)(抄)

(基本計画)

第五条 1~3(略)

4 基本計画においては、第二項各号に掲げる事項及び前項に規定する事項のほか、当該基本計画を作成する市町村が行う農林地所有権移転等促進事業(再生可能エネルギー発電設備又は農林漁業関連施設の円滑な整備及びこれらの用に供する土地の周辺の地域における農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保を図るため行う農林地等についての所有権の移転又は地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利の設定若しくは移転(第十六条において「所有権の移転等」という。)を促進する事業をいう。第一号及び同条第一項において同じ。)に関する次に掲げる事項を定めることができる。

一 農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針

二 移転される所有権の移転の対価の算定基準及び支払の方法

三 設定され、又は移転される地上権、賃借権又は使用貸借による権利の存続期間又は残存期間に関する基準並びに当該設定され、又は移転される権利が地上権又は賃借権である場合における地代又は借賃の算定基準及び支払の方法

四 その他農林水産省令で定める事項

(所有権移転等促進計画の作成等)

第十六条 計画作成市町村(第五条第四項各号に掲げる事項が記載された基本計画を作成した市町村に限る。次条において同じ。)は、認定設備整備者から認定設備整備計画に従って農林地等について所有権の移転等を受けたい旨の申出があった場合において必要があるとき、その他農林地所有権移転等促進事業を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会の決定を経て、所有権移転等促進計画を定めるものとする。

2 所有権移転等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 所有権の移転等を受ける者の氏名又は名称及び住所

二 前号に規定する者が所有権の移転等を受ける土地の所在、地番、地目及び面積

三 第一号に規定する者に前号に規定する土地について所有権の移転等を行う者の氏名又は名称及び住所

四 第一号に規定する者が移転を受ける所有権の移転の後における土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法

五 第一号に規定する者が設定又は移転を受ける地上権、賃借権又は使用貸借による権利の種類、内容(土地の利用目的を含む。)、始期又は移転の時期、存続期間又は残存期間並びに当該設定又は移転を受ける権利が地上権又は賃借権である場合にあっては地代又は借賃及びその支払の方法

六 その他農林水産省令で定める事項

3 所有権移転等促進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。

一 所有権移転等促進計画の内容が基本計画に適合するものであること。

二 前項第二号に規定する土地ごとに、同項第一号に規定する者並びに当該土地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意が得られていること。

三 前項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が、当該土地に係る農業振興地域整備計画、都市計画その他の土地利用に関する計画に適合すると認められ、かつ、当該土地の位置及び規模並びに周辺の土地利用の状況からみて、当該土地を当該利用目的に供することが適当であると認められること。

四 所有権移転等促進計画の内容が、認定設備整備計画に記載された再生可能エネルギー発電設備等の用に供する土地の周辺の地域における農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保に資するように定められていること。

五 前項第二号に規定する土地ごとに、次に掲げる要件に該当するものであること。

イ 当該土地が農用地であり、かつ、当該土地に係る前項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が農用地の用に供するためのものである場合にあっては、農地法第三条第二項の規定により同条第一項の許可をすることができない場合に該当しないこと。

ロ 当該土地が農用地であり、かつ、当該土地に係る所有権の移転等が農地法第五条第一項本文に規定する場合に該当する場合にあっては、当該土地に係る前項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的が認定設備整備計画に記載された再生可能エネルギー発電設備等の用に供するためのものであること。

ハ 当該土地が農用地以外の土地である場合にあっては、前項第一号に規定する者が、所有権の移転等が行われた後において、当該土地を同項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められること。

(所有権移転等促進計画の公告)

第十七条 計画作成市町村は、所有権移転等促進計画を定めたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。

(公告の効果)

第十八条 前条の規定による公告があったときは、その公告があった所有権移転等促進計画の定めるところによって所有権が移転し、又は地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利が設定され、若しくは移転する。

(登記の特例)

第十九条 第十七条の規定による公告があった所有権移転等促進計画に係る土地の登記については、政令で、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の特例を定めることができる。

(援助)

第二十条 国及び都道府県は、市町村に対し、基本計画の作成及びその円滑かつ確実な実施に関し必要な情報提供、助言その他の援助を行うよう努めるものとする。

(指導及び助言)

第二十一条 計画作成市町村は、認定設備整備者に対し、認定設備整備計画に従って行われる第七条第二項第一号の整備及び同項第二号の取組の適確な実施に関し必要な指導及び助言を行うものとする。

 

○農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則(平成26年農林水産省省令第33号)(抄)

(所有権移転等促進計画についての農業委員会の決定)

第四条 農業委員会は、法第十六条第一項の規定により所有権移転等促進計画について決定をしようとするときは、農用地の権利移動が適切に行われることを旨として、当該決定に要する期間その他認定設備整備計画の円滑な達成を図るために必要な事項につき適切な配慮をするものとする。

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