第9回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞 ユース部門

傘のシェアリングサービス「アイカサ」

株式会社Nature Innovation Group

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞 ユース部門

傘のシェアリングサービス「アイカサ」

株式会社Nature Innovation Group

アイカサは、日本初の本格的な傘のシェアリングサービスです。突発的な雨にもビニール傘をその都度購入せずに、アイカサをレンタルして使用でき、雨が止んだら最寄りの傘スポットに傘を返却できるのが特徴。傘がないことによって移動ができないことや濡れて不快になることを無くし、「雨の日のプラットフォーム」としてのインフラを構築、傘をシェアして「使い捨て傘ゼロ」を目指す取組です。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

日本初!本格的な傘のシェアリングサービス!

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞アイカサスポット

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞

スマホで利用

アイカサは、日本初の本格的な傘のシェアリングサービス。突発的に雨に降られてしまってもビニール傘をその都度購入したりせず、駅などにある最寄りの傘スポットでカンタンに傘をレンタルできます。 借り方はシンプル。公式アプリから会員登録し、QRコードをスキャンするだけで傘を取り出すことができます。

現在、日本一乗降客数の多いJR山手線の各駅を始め、京王線、西武線、小田急線など人々のインフラになるような場所に「アイカサスポット」が設置され、さらに関東、関西、福岡、岡山、愛知など1,100ヵ所以上に展開しています。2018年のサービス開始から、アプリ登録者数は既に約38万人を突破し、借りられる場所・返せる場所もどんどん増えています。 傘を持っていないことによって移動ができないことや濡れて不快になることを無くす「雨の日のプラットフォーム」としてのインフラを構築、傘をシェアし「使い捨て傘ゼロ」を実現する社会づくりがミッションです。

活動のきっかけは?

大量消費される「使い捨て傘」の社会問題を解決したい!

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞株式会社Nature Innovation Group 代表取締役 丸山照司氏

今回、都内の駅構内のアイカサスポットで、アイカサを運営する株式会社Nature Innovation Group 代表取締役の丸川照司氏を訪ね、実行委員のAMIY MORI(エイミー・モリ)実行委員と一緒にお話しをうかがいました。

丸川照司氏は、シンガポールや東南アジアで育ち、中国語と英語を話すトリリンガル。もともと児童福祉や社会貢献に興味があり、育児と仕事の両立を目指すNPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんの著書などに接して、社会課題を解決しながら収益性もあるNPO法人があることを知ります。 その後マレーシアの大学へ留学。そのマレーシアでの留学中、生活を豊かにするシェアエコノミーに魅了され、2018年、23歳で日本の使い捨て傘を無くし、雨の日を快適にするためにプロジェクト「アイカサ」を立ち上げました。

丸川さんは「当時のマレーシアでは、タクシー、車、自転車など、シェアリングエコノミーが浸透していたのが興味深く、自分でもよく利用していた」と語ります。インフラが整っていない分、サービスが一気に拡大していたのです。そして、日本でのシェアリングサービスを調べたら、傘のシェアリングがなく、年間6,000万本~8,000万本ものビニール傘が大量に消費され、その多くが捨てられてゴミになっていることを知り衝撃を受けました。 そこで「傘のシェアリングサービスを誰もやっていないのであったら、ビジネスとしてチャレンジしてみよう!」「多くの人に雨の日を快適に過ごしてもらいたい!」と事業を思い立ったそうです。

成功のポイントは?

社会貢献と利益追求は両立する!

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞アイカサ 山手線 無料キャンペーン(2021年4月)

丸川さんが2018年に立ち上げた傘のシェアリングサービス「アイカサ」。しかし、スタート当初から順風満帆だったというわけではありません。 いまではビニール傘をなくすための傘のシェアリングサービスは認知度も上がり、設置場所の提供をお願いする交渉もスムーズに進んでいますが、当初は、シェアリングサービス自体があまり知られておらず、設置パートナーが事業に賛同してくれるかどうかが大きな関門でした。駅や飲食店等の人が集まる場所に傘を置いてもらわないと何も始まりません。 そこで丸川さんらは渋谷駅周辺に集中して50箇所の設置を目指し、「傘のシェアリングサービスを行うと雨の日の集客性が高まるのでぜひ設置場所の提供に賛同してもらえませんか?」と訴え、飲食店など300店舗に飛び込みでスポット網を拡大していったと言います。

潮目が変わったのは、2019年の5月~6月頃からでした。当時、丸川氏は鉄道会社が実施していたスタートアップや新規事業をサポートする「アクセラレータープログラム」に参加したことをきっかけに、駅における傘のシェアリングサービスの実用性を知らしめることに成功します。さらに福岡市が推進していた「まちづくり活動」の一環としてアイカサをアピールすることができ、西鉄や各百貨店が傘のシェアリングサービスに賛同してくれて、駅や繁華街など多くの人が集まる場所にはじめて多くの「アイカサスポット」を設置できたそうです。

丸川さんは自らのビジョンをこう語ります。「社会貢献度が高いと事業は儲からない、社会性と経済性は両立しない、と思い込んでいる人がまだまだ多いと思います。それ故にチャレンジしない人がたくさんいるのではないでしょうか。自分はやり方次第だと思っています。誰もやっていないジャンルで社会課題を解決するビジネスはまだまだたくさんあると思っています」

そんなアイカサには、社会性と経済性を両立させるいくつものビジネスアイデアが投入されています。 まず、各企業とのコラボ展開です。傘にさまざまな協賛企業ロゴなどのデザインを配して、アイカサをPRに利用してもらい、より多くのユーザーに個性的になった傘を利用してもらおうという戦略です。

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞名古屋鉄道MEITETSUとのコラボ 

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞旭化成ジップロックとのコラボ

こうした努力もあり、Nature Innovation Groupは、現在正社員10名と副業として勤めている方を含めると20名~30名で運営を行っています。その中にはアイカサスポットが設置された地域に住んでいる方に各スポットのメンテナンスを担ってもらっているアルバイトも含まれています。

貸出期間中に傘が壊れた場合どうなるのか、と問い合わせも多くあるそうですが、仮に壊れた場合でも、ユーザーから追加費用をいただくことはありません。アイカサが貸している傘はパーツの取り換え修理が簡単にできる構造で、骨が1本折れても3分で取り換えられ、1本の傘が3年、5年と活躍できます。つまり故障に強く環境にも優しいビジネスモデルになっています。

また、傘といえば忘れ物も多いのですが、アイカサの傘一本一本にはID番号が割り当てられたICチップがついており、拾得物として警察署に届けられると連絡が入り、回収して再度サービスに利用できる仕組みになっています。

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞

今後の展望

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

最後にアイカサを運営する株式会社Nature Innovation Group 代表取締役の 丸川照司氏と実行委員のAMIY MORI氏からメッセージをいただきました。

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞丸川照司氏からのメッセージ

「アイカサは、使い捨て傘をなくすこと、そして雨の日を快適にハッピーにすることを事業のミッションとして掲げています。 2024年には関東の1都3県のすべての駅にアイカサを設置し、その先の2030年には、街中でもすぐに傘を借りられるコンビニのような雨の日のインフラとなって、日本全体で使い捨て傘ゼロを目指したいと思っています。

今回のグッドライフアワードの受賞を機によりいっそう環境へのポジティブなインパクトが与えられる商品やサービスの設計を目指し、気候変動の危機や地球環境が良い方向に変えられるよう、また賞の名に恥じないようにサービスを向上して頑張っていきたいと思っています。」

第9回グッドライフアワード 環境大臣賞実行委員AMIY MORI氏からのメッセージ

「グッドライフアワードのユース部門を受賞されたアイカサさん。 いろんな思いを込めて作られた会社が、このグッドライフアワード受賞を機に全国展開がスムーズになったとうかがって、選ぶ側としてとてもうれしく思いました。 アイカサさんはこれからどんどん全国に広がっていくと思いますが、社長と会社の優しい想いが皆さんの街まで広がって、雨が降っても使い捨て傘が増えることを防げる、いい社会ができるといいなと思います。 グッドライフアワードにユース部門で応募される方々は、まだ実現はこれからという活動プランで応募される方も多いと思いますが、アイカサのように勇気をもって応募してほしいですね。」

取材を通じて丸川氏はアイカサのビジネスモデルで社会貢献と経済性の両立する未来を実現させていく、という強い自信を感じさせてくれました。

第9回 グッドライフアワード

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傘のシェアリングサービス「アイカサ」

株式会社 Nature Innovation Group

第9回グッドライフアワード 受賞者一覧