Q&A

SC排出量算定

算定の前提
Q 算定精度の基準はありますか?
A

・「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」には「精度及びカバー率ともに高いデータを集めることが望ましい」との記載がありますが、Scope3基準を含め、要求する算定精度の基準に関する記載はございません。
・算定目的に応じて、その達成に必要な算定精度は異なるため、算定目的を果たすことができる算定精度を見極めて、情報を集める必要があります。

Q 各カテゴリについて、どこまで細かく算定すれば良いですか?
A

「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」には「精度及びカバー率ともに高いデータを集めることが望ましい」との記載がありますが、Scope3基準を含め、要求する算定精度の基準に関する記載はございません。算定目的に応じて、その達成に必要な算定精度は異なるため、算定目的を果たすことができる算定精度を見極めて、情報を集める必要があります。
例えば、サプライチェーン排出量の全体感把握を目的とするならば、支出額等を活動量として推計し、カテゴリ毎の傾向を見ることが出来ればよいものと考えられます。しかし、削減施策の効果を評価することを目的とするならば、例えば購入物品の軽量化を評価する場合は重量を活動量にする等、削減施策の指標として適切な情報を取得する必要があります(金額算定では、為替や製品価値等の環境負荷の外の影響を多分に受けるため)。また、サプライヤー工場における省エネ化を評価する場合は、公開されている原単位から算定しても評価できないため、サプライヤーから情報を得る必要があります(一般に、公開されている原単位は社会の平均値や代表値であり、特定の事業者の取組が算定結果に反映されないため)。
このように、算定事業者の算定目的に応じて、必要な算定精度は異なります。

Q 組織境界の設定方法の「出資比率基準」、「支配力基準」の違いは何ですか?
A

・組織境界の設定方法「出資比率基準」、「支配力基準」について、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」では次のように定義しています
---
<出資比率基準>
対象の事業からの排出量をその事業に対する出資比率(株式持分)に応じて算定する排出量の連結方法。
<支配力基準>
支配下の事業からの排出量を 100%算定する排出量の連結方法。出資比率が高くても支配力を持っていない場合は算入しない。ここで、支配力は、財務支配力(当該事業者の財務方針および経営方針を決定する力を持つ)又は経営支配力(当該事業者に対して自らの経営方針を導入して実施する完全な権限を持つ)のどちらかの観点で定義することができる。本ガイドラインにおいては一般的にどちらの基準でも対象に含む連結対象事業者を組織境界に含むとして示している。
出典:サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)第1部 3.用語の定義
---
・まずは、算出目的に応じて、どちらを設定するか決定する必要があります
・出資比率基準で算定する場合、投資先の事業者における排出量はScope1,2排出量として計上するため、Scope3カテゴリ15「投資」に該当する排出量はありません。

Q Scope1,2排出量を切り出してScope3に計上する必要はありますか?
A

例えば、「カテゴリ8 リース資産(上流)」について、賃借してオフィスで使用している複合機やパソコンの稼働による排出量は、Scope1,2の根拠としている算定・報告・公表制度の公表値に計上している場合や、「カテゴリ14 フランチャイズ」について、フランチャイズ店舗による排出量も、 Scope1,2の根拠としている算定・報告・公表制度の公表値に計上している場合に、これらの排出量をScope1、2から切り出してScope3の各カテゴリに計上する(再配分する)必要はありません。
「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」において、その他の間接排出量(Scope3排出量)を「直接排出量、エネルギー起源間接排出量以外の事業者のサプライチェーンにおける事業活動に関する間接的な温室効果ガス排出量」と定義しています。
つまり、Scope3排出量は、直接排出量(Scope1排出量)、エネルギー起源間接排出量(Scope2排出量)に該当しない活動を整理するための枠組みであり、Scope1、2排出量からScope3の各カテゴリへの再分配をする必要は無いということです。

Q 自社の事業形態上、該当する活動が無いカテゴリがあるが、どうすればよいですか?
A

「該当する活動がないこと」を示したうえで、算定対象範囲から除外して構いません。「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」において一部のカテゴリを算定対象範囲から除外する際の基準として「該当する活動がないもの」が挙げられます。 例えば、カテゴリ13「リース資産(下流)」、カテゴリ14「フランチャイズ」等は、全ての算定事業者に適用できるカテゴリではありません。

Q カテゴリを除外する際の基準はありますか?
A

「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」では、算定の目的や排出量全体に対する影響度、データ収集などの算定の負荷等を踏まえて、算定するカテゴリを抽出あるいはカテゴリ内で算定対象とする範囲を限定することが可能としています。サプライチェーン排出量から一部のカテゴリを除外する際の基準、カテゴリ内で一部の算定対象範囲を除外する際の基準を示しています。
一部のカテゴリを除外する際の基準として、以下が挙げられます。
✓該当する活動がないもの
✓排出量が小さくサプライチェーン排出量全体に与える影響が小さいもの
✓事業者が排出や排出削減に影響力を及ぼすことが難しいもの
✓排出量の算定に必要なデータの収集等が困難なもの
✓自ら設定した排出量算定の目的から見て不要なもの
ただし、除外を行う際には、上記のように判断した理由を整理しておく必要があります。

Q バイオマス燃料の燃焼の排出量の扱いはどうなりますか?
A

現在、Scope1,2,3排出量のなかではカウントしません。
「Scope3基準」では、いずれのScopeにも含めずに、分別して報告することを求めています。
※現在ドラフト版が公表されている「土地セクター・炭素除去ガイダンス」では生物由来製品の排出量として算定する必要があるとされています。

また、温対法における「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」では、エネルギー起源二酸化炭素に関する概要として以下の記載があり、バイオマス燃料の燃焼は算定対象外としています。

Q M&A等により、企業のバウンダリが変化した場合は、どのように対応すべきですか?
A

・サプライチェーン排出量の算定は、組織範囲の全体を把握することが原則になります。これはサプライチェーン排出量が組織のGHG排出量のホットスポットを特定することが目的であるためです。従いまして原則として、範囲が変わりましたら、その範囲に従って算定を行うことになります。ただし、過去の排出量に関して、新しい評価範囲で算定しなおす必要はありません
・算定対象とする事業年度の途中で組織の範囲が変わる場合も、原則として事業年度の途中から組織範囲を変更することになります。ただ、年度の途中から組織範囲を変更することは煩雑になります。次年度から算定するなどの対応を行う企業も多く存在しますので、算定の工数と相談の上、柔軟に判断してください
・サプライチェーン排出量の経年的な変化を把握し、その変化の要因を分析するなどの目的で、組織範囲を一定にしたいという場合には、算定を行った組織範囲と理由を示すことが望ましいです。

算定結果の活用
Q 算定結果の活用方法を知りたい
A

・外部アンケート調査等への回答、経年的な排出量評価による変化の把握等が考えられます。
・外部アンケート調査等について、例えばCDP、日経「SDGs経営」調査等が該当します。詳細は、参考書「物語でわかるサプライチェーン排出量算定」の「アンケート調査などで取組みの効果を検討しよう」をご参照ください。
・また、経年的な排出量評価による変化の把握について、そもそも年度別の排出量の差分のなかには、売上の増減、為替の変動、排出原単位の変更、削減施策の効果等の様々な増減要因が含まれています。したがって、単純な差分値を求めるのではなく、例えば、売上高等で排出量を除して原単位化してから比較したり、変化の要因を分解することで意義ある情報(削減施策の効果等)を取り出すことが必要です。

算定方法・係数
Q 排出量の算定方法を知りたい
A

・基本的には、活動量×排出原単位で計算します
①エネルギー消費量や原材料調達量などの活動量を把握し、
②把握した活動量に対応する排出原単位をデータベースから選択し、排出量を算定する
・算定方法の詳細については、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」を参照ください。

Q 各Scope・カテゴリの中で、複数のデータベースの使用や活動量単位(金額ベース/物量ベース)の使い分けなど、複数の算定ロジックが混在していてもよいのでしょうか?
A

・理想的には、排出原単位の考え方を含め、算定方法は統一することが望ましいです。しかし、現実的には、排出原単位の種類や社内で管理しているデータによって選択できる算定方法は制限されます。そのような制限の中で、排出量算定の網羅性を高めるためには、複数のデータベースや算定方法を活用する必要があります。
・そのため、同一カテゴリ内で複数の算定方法が混在する考え方はいずれのScope・カテゴリにおいても該当し得る考え方となります

Q サプライチェーン排出量の算定において、オフセットクレジットを使用したことによる削減分を含めて算定することはできますか?
A

・現在、オフセットはScope1,2,3とは独立して報告すべきと考えられます。
温室効果ガス排出量算定のグローバルスタンダードであるGHGプロトコルでは、いずれのScopeにも含めずに、分別して報告することを求めています。
※現在ドラフト版が公表されている「土地セクター・炭素除去ガイダンス」ではクレジットの算定上の扱いや報告方法についても記載されています。

Q サプライチェーン排出量算定は他社との二重計上になるのではないでしょうか?
A

・Scope1,2,3においてはその定義の都合上、複数の企業が同一の排出を各社のScope・カテゴリにおいて多重に計上することが、そもそも発生し得るものとなっています。ある活動が、自社のScope・カテゴリのいずれかに該当するのであれば、他社が当該排出を他社のScope・カテゴリのどこかに計上していたとしても、自社のScope・カテゴリに計上するものとなります。

Q ロケーション基準、マーケット基準とは何ですか?
A

・基準年の排出量を算定する際は、GHGプロトコルScope2ガイダンスのロケーション基準又はマーケット基準のどちらか一方を選択します。
✓ロケーション基準手法:系統網平均の排出係数を利用する方法
 (地域・国等の区域内における発電に伴う平均の排出係数)
✓マーケット基準手法:実際に契約している電気メニューに応じた排出係数
・国/地域によらず基準は統⼀する必要がありますが、マーケット基準を選択したものの、マーケット基準で適⽤する排出係数がない国/地域(電⼒⾃由化等が未実施)は、⾃動的にロケーション基準の排出係数となります。

Q 排出原単位DBのシート「5産連表DB」に記載されている「部門名」について、どの部門名を選択すればよいでしょうか?
A

・適切な部門名の選択方法について、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」に以下の記載があります。
---
算定者が既に把握している活動量に合致する排出原単位が存在せず、産業連関表ベースの排出原単位を使用する場合には、日本標準商品分類等を参考に、排出原単位が存在する当該活動が含まれる上位項目を特定し、その上位項目の排出原単位を使用してください
---

Q 排出原単位DBのシート「5産連表DB」、「6資本財」に記載されている「分類不明」という項目は何に使用するのでしょうか?
A

・どの部門であるか不明な場合に用いる原単位ではありません。これは、「その他の~」という部門についても同様のことが言えます。
・「[5]産業連関表ベースの排出原単位」、「[6]資本財の価格当たり排出原単位」のいずれも、産業連関表に基づいて作成されています。産業連関表における「分類不明」部門の取り扱いについて、総務省は次のように示しています
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「分類不明」部門の概念・定義・範囲は、「他のいずれの部門にも属さない財・サービスの生産活動」とされ、「他の列及び行部門の推計上の誤差の集積部分としての役割」もあるとされている。また、産業連関表の概念・定義上、他に産出先がないために「分類不明(列)」部門に産出している「金融(帰属利子)」部門の例がある。
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・なお、[5]産業連関表ベース原単位の中には、サプライチェーン排出量の算定にあたっては具体的な用途が想定できないものもあります。例えば、「道路関係公共事業」「河川・下水道・その他の公共事業」等の工業事業に類するものは、企業が調達するサービスでは無いため、適用することは無いものと考えられます

Q 排出原単位DBの単位(tCO2eq、kgCO2e等)の“e”や“eq”の意味は何ですか?
A

・「e」「eq」のいずれも「equivalent(同等の)」の略称として用いられています。
・二酸化炭素と同様に温室効果をもつメタン等の温室効果ガスは、その種類毎に温暖化への影響の大きさが異なります。それらを統一的に表す尺度として、二酸化炭素の質量に換算する方法が用いられています。 このときに用いられる単位が、「t-CO2e」「t-CO2eq」です。

Q データベースが更新された場合、過年度の算定も見直す必要がありますか?
A

・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位について(Ver.3.3)」では、算定対象年度においてその時点で得られる最新の原単位(データベース)を使用することが求められています。そのため、データベースが更新された際の過年度分の再算定は不要であると考えられます。
・なお、算定に用いた排出原単位が異なる年間で排出量を比較すると、自社による排出量削減活動とは別に、排出原単位の増減の効果が含まれることになります。そのため、自社における排出量削減施策の効果のみを評価するためには、同じ排出原単位を用いて排出量を比較するといったことが考えられます。こうした目的に応じて、自社の判断で自主的にデータベースを統一するといった判断につきましては、特に問題ありません
・但し、データベース内にて参照している別のデータベースが公開終了(使用不可)となった等の理由から参照先のデータベースが更新された場合は、最新のデータベースあるいは公開中のデータベースへの切り替えを推奨します

Q データベース間(産業関連業DBとIDEA間等)における同一品目の排出係数の値の違いは何ですか?
A

・データベースにより、原単位データの算出方法や財・サービスの分類が異なっており、同じ品目であっても原単位に差が生じるケースがあります。いずれも、それぞれのデータベースの設計思想に基づいて整理されているものであり、どちらが正しい、間違っているというものではありません。この違いを踏まえ、状況に合わせてデータベースを使い分ける必要があります。
・「産業連関表ベースの排出原単位」と「IDEAv2」の設計は次のようになります。
・「産業連関表ベースの排出原単位」
 -産業連関表の分類に基づいて原単位を整備しているため、社会に存在するすべての財・サービスを網羅しています。一方で、一つの産業連関表の分類群に複数の商品やサービスが該当している場合があり、それぞれの詳細な原単位を得ることができないというデメリットがあります。 また、整備されているデータの多くが、金額ベースの原単位となります
・「IDEAv2」
 -IDEAv2が整理しているデータは、積み上げベースの原単位となります。
ライフサイクルの各段階で投入した資源・エネルギーと排出物を詳細に集計して算出された値であるため、精度の高い原単位データです。一方で、積み上げ法で原単位データを整備するには労力が必要であり、網羅的な整備はされていないため、必要としている原単位データを見つけることができない可能性があります。また、整備されているデータの多くが重量ベースの原単位となります。

Q 産業連関表ベースの排出原単位を用いる算定等の、価格を活動量とする算定(金額原単位)における物価上昇の影響はどのように処理すればよいでしょうか?
A

・金額原単位に基づく算定は、排出量が金額と比例関係にあるという仮定に基づく算定であり、算定上は単価が上昇することで排出量も増大します
・金額原単位での算定において、物価上昇などの外部要因を加味する手段として、デフレーター等に基づき数値の処理を行うことが想定されます。
・また、金額ベースではなく物量ベースの算定方法に転換することで金額変動の影響を回避する、サプライヤー等から一次データを取得することで金額変動の影響を加味した原単位を利用する等、 [5]産業連関表ベースの排出原単位を用いる算定とは別の方法を用いることも有効です。

Q サプライチェーン排出量算定の際にどの資料を参考にすればよいですか?
A

環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォームでは、サプライチェーン排出量算定に関する資料として以下の資料を掲載しています(一部抜粋)。目的や状況に応じて、適宜ご活用ください。本ページに記載の資料以外につきましては、グリーン・バリューチェーンプラットフォームの「算定時の参考資料」をご参照ください。
■中長期排出削減目標等設定マニュアル ~サプライチェーン排出量(Scope1,2,3)算定、SBT、RE100等への取組に向けて~
SBT・RE100などの中長期排出削減目標等の設定を検討している企業等が、どのようにそれらの取組を進めればよいのかについて、具体的に整理したマニュアルです。
■サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン
サプライチェーン排出量算定の基本的な考え方と算定方法を紹介しているガイドラインです。
■サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース
サプライチェーン排出量の算定に活用できる排出原単位を取りまとめたデータベースです。
■算定支援の勉強会資料
カテゴリ毎の算定方法について、企業の実態を想定した現実的な算定方法や算定の際の留意点を詳しく紹介しています。算定方法の理解を深める際にご参照ください。
■サプライチェーン排出量 詳細資料
サプライチェーン排出量の算定の他、削減対策や事例、CDPなど外部の評価、日本企業の取組事例などを紹介しています。

取引先からの要求
Q 供給先から排出量情報を要求された際はどのように対応すればよいでしょうか?
A

・排出量情報の要求を受けた事業者におけるScope1,2排出量は、排出量情報を要求した事業者におけるScope3カテゴリ1排出量に該当します。情報開示要求の目的は、原単位による一般的な排出量の算定では評価できないような、各種削減施策の効果を評価することと考えられます。よって、この目的を果たせるような情報を提供する必要があり、それを満たせるのであれば対応事業者によるサプライチェーン排出量算定は必須ではありません。
・提供する情報は以下の二つが考えられます。
■製品単位での排出量
供給製品の単位(1個、1本、1箱…)当たりの排出量を示す方法。製品LCAを実施し、製品1個当たりの排出原単位を作成する。
■組織単位での排出量
1年間に要求側企業に納入した製品全てに関わる排出量を示す方法。供給した製品に関わる排出量を、総排出量を指標で按分して作成する。

SBT
制度概要
Q SBT(Science Based Targets)とはなんですか?
A

・科学的根拠に基づいた目標設定。パリ協定が求める基準と整合した、申請時から5年~10年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことを指します
SBTiホームページ(英語)

Q SBTを運営している団体はどこですか?
A

・CDP・UNGC・WRI・WWFの4つの機関が共同で運営しています。

Q SBT認定後、目標に対して未達成だった場合、罰則はありますか?
A

・罰則は特にありません。

Q 「認定企業」と「コミット企業」とは何が違うのか?
A

・「認定企業」とはもうすでにSBTに認められた企業のことを指します
 -目標設定が妥当であると認められ、目標に向かって活動中の企業
・「コミット企業」は2年以内にSBT認定を取得すると宣言した企業のことを指します
 -目標を設定すべくコミットしている企業

Q SBTの認定取得において、コミットを行うことは必須でしょうか?
A

・必須ではありません

Q コミット後、2年以内にSBTiに目標を申請しなかった場合にはどうなるのでしょうか?
A

コミットを取り消され、SBTiのウェブサイト上で“removed”(削除済み)と表示されます。
一度コミットを取り消された場合には、再度コミットを行うことは出来ません。
※目標の申請及び認定取得は可能です

手続き
Q どのような手続きが必要ですか?
A

①【任意】Commitment Letterを事務局に提出します。
 ・コミットとは、2年以内にSBT設定を⾏うという宣⾔のこと
 ・コミットした場合にはSBT事務局、CDP、WMBのウェブサイトにて公表される
②目標を設定し、申請書を事務局に提出します。
③SBT事務局による目標の妥当性確認・回答(有料)が行われます。
 ・事務局は認定基準への該否を審査し、メールで回答(否定する場合は、理由含む)
④認定された場合は、SBT等のウェブサイトにて公表されます。
 ・Target Submission Formを事務局に提出し、審査日をSBTi booking systemで予約
⑤排出量と対策の進捗状況を、年一回報告し、開示します。
⑥定期的に、目標の妥当性の確認を行います。
・大きな変化が生じた場合は必要に応じ目標を再設定(少なくとも5年に1度は再評価)

Q 目標を設定し、事務局に提出してから回答までにどのくらい期間がかかりますか?
A

・目標提出後、事務局による審査(最⼤30営業⽇)が行われます。
・事務局からの質問が送られる場合もございます。

Q Commitment Letterはどこで入手できますか?
A

SBTトップページから
 「Set a target」→「GET STARTED」
 →①COMMIT内の「SBT Commitment Letter」
 からダウンロード可能です。

Q Commitment Letterには何を書けばいいですか?
A

・記載事項は下記の2点です。
 ・企業名
 ・日付、場所、署名
  ー署名は誰でもOK

Q Commitment Letterを確認したところ、「Set net-zero targets」と記載されたチェック欄が設けられていますが、これはチェックすべきですか?
A

こちらのチェック欄はSBT Net-Zeroへのコミットを確認するものであり、通常のSBT(Near-term SBT:5年~10年先の目標を設定するもの)へのコミットであれば、チェックする必要はございません。
※SBT Net-Zeroの詳細は、環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」掲載の「SBT 詳細資料」をご確認ください

Q 申請書の記載事項は何ですか?
A

・申請書には以下の内容を記載して提出します。
 -目標の妥当性確認(次頁参照)に関する要望
 -基本情報(企業名、連絡先など)
 -GHGインベントリに関する質問(組織範囲など)
 -Scope1,2に関する質問
 -バイオエネルギーに関する質問
 -Scope3に関する質問
 -算定除外に関する質問
 -GHGインベントリ情報(Scope1,2,3排出量)
 -削減目標(Scope1,2,3目標)
 -目標の再計算と進捗報告
 -補足情報
 -申請費⽤の⽀払情報

Q SBT認定を取得するために手数料等はかかりますか?
A

・目標の妥当性確認のために、費用がかかります
 -初回はUSD9,500(外税)の申請費用が必要
 (その中で、最大2回の目標評価を受けられる)
 -以降の目標再提出は、1回につきUSD4,750(外税)

Q 目標申請を日本語で対応してくれる窓口はありますか?
A

・SBTiに⽇本語での対応が可能な窓⼝はございません。英語で申請のやり取りを⾏うこととなります。

認定基準
Q SBTの認定を取得するために、排出量算定手法や目標値に対する第三者認証を取得する必要はありますか?
A

・SBTの認定取得においては、特に第三者検証が必須という訳ではございません。

設定方法
Q SBT設定・削減経路について教えてほしい
A

・Scope1,2及びScope3(該当する場合)について目標設定の必要がございます。
 -Scope1,2の目標は、セクター共通の基準としては「総量同量」削減とする必要がある
 - Scope3の目標は、以下のいずれかを満たす「野心的な」目標を設定する
 (総量削減か原単位削減、あるいはサプライヤー/顧客エンゲージメント目標)
 -事業セクターによっては、セクターの特性を踏まえた算定手法も⽤意されている(SDA)

Q Scope1+2で目標設定をしている場合に、Scope2は目標値を上回る削減、Scope1は目標値を下回る削減をして、合計量としては目標値を達成している、といったことは認められますか?
A

・問題ございません。Scope1+2の削減量でSBTの求める削減率を満たしていればよいです。

Q SBTの目標達成に向けて、削減貢献量の増加は排出削減対策としてカウント出来ますか?
A

・削減貢献量(温室効果ガス削減に資する製品・サービス等が提供されることにより、それに代わる製品・サービス等が提供される場合(ベースラインシナリオ)と比べた排出削減・抑制への貢献分をライフサイクルでの比較により定量化したもの)は、SBTにおいては排出削減対策とみなされません。

Q Scope3の排出量がほとんどありませんが、設定しないといけないでしょうか?
A

・Scope3がScope1~3の 合計の40%を超えない場合には、Scope3の目標設定の必要はございません。

Q SBTの要件を知りたいです
A

・バウンダリ(範囲):企業全体(子会社含む)
・目標年:申請時から5年以上先、10年以内の任意年
・基準年:最新のデータが得られる年での設定を推奨
・削減対象範囲:Scope1,2,3排出量。但し、Scope3がScope1~3の合計の40%を超えない場合には、Scope3目標設定の必要は無し
・目標レベル:下記基準を超える削減目標を任意に設定
 -Scope1,2⇒1.5℃:少なくとも年4.2%削減
 -Scope3⇒Well below 2℃:少なくとも年2.5%削減

Q 直近年とは何ですか?
A

・直近年とは、目標の申請から2年以内で、最新の排出量データが存在する年のことであり、基準年と同一にすることを推奨されています
・直近年と基準年が異なる場合、基準年から目標年までの削減率だけでなく、直近年から目標年までの削減率についても、SBTが求める要件を満たしていることが必要となります。
・ただし、基準年と直近年に異なる年を設定している場合には、基準年から直近年までの排出削減を考慮するというFLA補正(ForwardLooking Ambition adjustment)が行われ、目標値が緩和される場合があります

Q 具体的なバウンダリの設定方法について知りたいです
A

・組織境界の設定方法「出資比率基準」、「支配力基準」について、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」では次のように定義しています
---
<出資比率基準>
対象の事業からの排出量をその事業に対する出資比率(株式持分)に応じて算定する排出量の連結方法。
<支配力基準>
支配下の事業からの排出量を 100%算定する排出量の連結方法。出資比率が高くても支配力を持っていない場合は算入しない。ここで、支配力は、財務支配力(当該事業者の財務方針および経営方針を決定する力を持つ)又は経営支配力(当該事業者に対して自らの経営方針を導入して実施する完全な権限を持つ)のどちらかの観点で定義することができる。本ガイドラインにおいては一般的にどちらの基準でも対象に含む連結対象事業者を組織境界に含むとして示している。
出典:サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)第1部 3.用語の定義
---
・まずは、算出目的に応じて、どちらを設定するか決定する必要があります
・また、企業範囲は、企業の財務会計において使⽤されている組織範囲と⼀致することを推奨されています。
・出資比率基準で算定する場合、投資先の事業者における排出量はScope1,2排出量として計上するため、Scope3カテゴリ15「投資」に該当する排出量はありません。

Q 親会社と子会社両方で申請した方がよいでしょうか?
A

・親会社もしくはグループのみが目標を提出することを推奨しています。
・親会社はGHGプロトコルの企業範囲で定義されるすべての⼦会社の排出を⽬標に含めなければならない。親会社と⼦会社の両⽅が⽬標を提出している場合は、親会社の⽬標に⼦会社の排出量を含む必要がございます。
・ただし、子会社単独での加盟が妨げられていることはございません。

Q 総量同量削減とは何ですか?
A

・基準年の排出量を目標設定期間にわたり毎年同量ずつ直線的に削減することです
 Scope1,2の目標は毎年〇%削減という同量の削減目標を掲げます

Q 今後、自社の事業規模が拡大すると、それに伴い排出量が増加すると想定されますが、この時、SBTの達成は困難になってしまうのではないでしょうか?
A

・SBTにおいては総量削減(排出量を直線的に削減する目標)だけでなく、原単位削減(排出量を売上や製品販売数あたりで削減する目標)による目標設定も可能です。これらの目標設定手法を活用しながら、達成への道筋を描けるような目標を検討しましょう。

進捗報告
Q SBTの認定取得後、目標達成に向けた進捗報告はどうすればよいでしょうか?
A

・年に⼀度、CDP気候変動質問書や⾃社のCSRレポートなどで、⽬標の進捗を報告する必要があります。
・また、最低5年ごとに⽬標の⾒直しを⾏い、SBTiが⽬標の⽔準を変更した場合や、⾃社の組織範囲が基準年から⼤きく変化した場合等には、⽬標の再計算を実施する必要があります。

中小企業向けSBT
Q 中小企業向けSBTとは何ですか?
A

・以下の条件を満たす企業に対して、SBT事務局が独自のガイドラインを設定しているものが中小企業向けSBTの対象となります。(2024年1月1日以降に新規申込の企業および目標を更新する企業に適用)
〇以下の5つの条件を全て満たし、
 ーScope1+ロケーション基準のScope2の合計が10,000 tCO2e未満
 ー海上輸送船を所有または管理していない
 ー非再生可能エネルギー発電設備を所有または管理していない
 ー金融セクター、オイル・ガスセクターに所属していない
 ー連結事業が通常版SBTの検証ルートに該当する親会社の子会社ではない
〇かつ、以下の2つ以上に当てはまる場合、中小企業向けSBTの対象となる
 ー従業員数250名未満
 ー売上高4,000万ユーロ未満
 ー総資産2,000万ユーロ未満
 ーFLAGセクターに属していない

中小企業向けSBT FAQ(英語)

Q 中小企業向けSBTではどのような目標設定をすればよいでしょうか?
A

・目標年:2030年
・基準年:2018~2023年
・削減対象範囲:Scope1~3
・費用:1回USD1,250(外税) ※2024年1月1日以降
・承認プロセス:目標提出後、自動的に承認され、SBTi Webサイトに掲載

RE100
制度概要
Q RE100とはなんですか?
A

・ 2014年に結成した、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする企業連合を指します。
RE100ホームページ(英語)

Q RE100を運営している団体はどこですか?
A

・CDPとのパートナーシップの下、The Climate Groupが運営しています。

Q RE100における「自社グループ」の定義はどのようなものですか?
A

・RE100における「自社グループ」の定義はSBTと同様に、企業全体(子会社含む)となります。
・組織境界の設定方法「出資比率基準」、「支配力基準」について、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)」では次のように定義しています
---
<出資比率基準>
対象の事業からの排出量をその事業に対する出資比率(株式持分)に応じて算定する排出量の連結方法。
<支配力基準>
支配下の事業からの排出量を 100%算定する排出量の連結方法。出資比率が高くても支配力を持っていない場合は算入しない。ここで、支配力は、財務支配力(当該事業者の財務方針および経営方針を決定する力を持つ)又は経営支配力(当該事業者に対して自らの経営方針を導入して実施する完全な権限を持つ)のどちらかの観点で定義することができる。本ガイドラインにおいては一般的にどちらの基準でも対象に含む連結対象事業者を組織境界に含むとして示している。
出典:サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5)第1部 3.用語の定義
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・まずは、算出目的に応じて、どちらを設定するか決定する必要があります。
・また、企業範囲は、企業の財務会計において使⽤されている組織範囲と⼀致することを推奨されています。
・出資比率基準で算定する場合、投資先の事業者における排出量はScope1,2排出量として計上するため、Scope3カテゴリ15「投資」に該当する排出量はありません。

Q 目標未達時のペナルティはありますか?
A

・ありません

基準・要件
Q どのような企業がRE100に参加できますか?
A

※再エネ設備メーカー、金融機関を除く※
・RE100に入るためには、次の条件を満たす必要があります。
 -年間消費電⼒量が50GWh以上である企業であること
(世界的には100GWh以上なのですが、特例として現在、⽇本企業は50GWh以上に緩和されています)
・例外的に、年間電⼒消費量が100GWh未満(⽇本企業では50GWh未満)の企業は、以下の特徴を1つ以上有している場合には、加盟できる可能性があります。
✓ RE100事務局が重視している地域における主要な事業者であること
✓ RE100事務局が重視している業種における主要な事業者であること
✓ RE100事務局が重視している地域において政策提⾔に参加する意思があること
✓ グローバルまたは国内で認知度・信頼度が⾼い
✓ 主要な多国籍企業(フォーチュン1000⼜はそれに相当)
✓ その他、RE100の⽬的に利する国際的・地域的な影響⼒を持つこと

・ただし、以下の業種に該当する企業は入れません
 -化⽯燃料、航空、軍需品、ギャンブル、たばこ、主要な収⼊源が発電事業

Q 再エネ設備メーカーの場合、どのような企業がRE100に入れますか?
A

・RE100に入るためには、次の条件を満たす必要があります
 -年間消費電⼒量が100GWh以上であること
 -主要事業が再エネ設備メーカーであること。また、再エネ発電所建設・運営、再エネ電⼒⼩売、再エネ関連のコンサルティング・法務サービス提供等を⾏っている場合には、それらからの収⼊の合計が売上の50%以下であること
 -ゴールドメンバーで参加すること

Q 金融機関の場合、どのような企業がRE100に入れますか?
A

・RE100に入るためには、次の条件を満たす必要があります
 -⾃社ポートフォリオの気候変動への影響を測定し開⽰すること
  ※可能な限り早い段階で⾏うこと
 -⽯炭⽕⼒及び⼀般炭採掘に関与する事業や企業への資⾦供給を段階的に停⽌すること ※先進国は2030年まで、途上国は2040年まで
 -化⽯燃料に関連する事業や企業に多額の投資を⾏っていないこと

Q RE100に加盟するためには、どのような要件が必要ですか?
A

・⽬標年を宣⾔し、事業全体を通じた100%再エネ化にコミットする、もしくは既に100%再エネ化を達成していること。
・⽬標年の設定は以下の要件を満たさなければならない
 ✓ 遅くとも2050年までに、100%再エネ化を達成する
 ✓ 2030年までに60%、2040年までに90%の中間⽬標を設定する
  ※ 特例として現在、⽇本企業においては中間⽬標の設定は「推奨」に緩和されている。その代わり、⽇本企業には「『⽇本の再エネ普及⽬標の向上』と『企業が直接再エネを利⽤できる、透明性ある市場の整備』に関する、政策関与と公的な要請を積極的に⾏うこと」が求められる
・ GHGプロトコルで定義される、すべての電⼒に関連するスコープ2及び発電に係るスコープ1を再エネ化すること
・グループ全体で加盟すること
 ✓ ただし、親会社と明確に分離したブランドであり、1TWh以上の年間消費電⼒量を満たす場合、例外的に⼦会社での加盟可能

Q どのように進捗管理/情報開示すればいいのですか?
A

・進捗報告は毎年所定フォーマットにて行いますが、CDP質問書の所定欄回答で代替することができます
 -企業情報(売上など)
 -目標(再エネ目標、戦略、ロードマップ)
 -実績(電⼒消費量、再エネ購⼊量、再エネ発電量)
 -第三者監査を推奨(目標未達成のペナルティなし)

Q 全ての拠点で再エネ100%を達成する必要がありますか?
A

・ ⼩規模な電⼒消費については、以下の範囲で⽬標の対象外とすることが出来ます。ただし、再エネ電⼒の調達が技術的に可能な市場においては不可です。
 -市場あたりで最⼤100MWh/年の小規模な電力消費
 (小規模オフィス、小売店など)
 -全体で合計500MWh/年までの除外が可能
(市場ごとの上限は100MWh/年)

Q RE100はお金がかかるのですか?
A

・会員クラスを選択し、それに応じた費用がかかります
 -Gold:会費$15,000:特典はイベント登壇機会 など
 -Standard:年会費$5,000

Q 中間目標を設定しない場合、どうなりますか?
A

・中間目標の設定はあくまで推奨ですので、特に問題ないかと存じます。なお、中間目標の設定が「推奨」であるのは日本企業に適用された特例であり、海外企業においては中間目標の設定が必須となっています。
※日本企業は中間目標の設定が「推奨」である代わりに、「『日本の再エネ普及目標の向上』と『企業が直接再エネを利用できる透明性ある市場の整備』に関する、責任ある政策関与と公的な要請を積極的に行うことに合意すること」が、RE100参加の要件として設定されています

Q 目標の検討にあたり、再エネ電力調達の手法についてはどこまでの実現性をもって目標を設定すればよいでしょうか?
A

・RE100の参加においては、再エネ電力調達の手法(目標の達成手法)については特に問われません。ただし、取組に向けた社内折衝において、目標の達成手法について経営層等から質問が投げかけられることが予想されますので、ある程度は目標達成までの道筋を検討しておくことを推奨します。

Q 目標申請を日本語で対応してくれる窓口はありますか?
A

・RE100の日本窓口である日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、RE100への参加を支援しています

日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)ホームページ

Q RE100に参加するために、再エネ調達実績や目標値に対する第三者認証を取得する必要はありますか?
A

・RE100の参加においては、特に第三者検証が必須という訳ではございません

Q どのような電力が認められますか?
A

・RE100の再エネ電力調達手法としては以下の5種類が認められています。
 -太陽光、⾵⼒、持続可能な⽔⼒、持続可能なバイオマス(バイオガスも含む)、地熱
 ※水素は、水素の製造過程で再エネを活用しているグリーン水素であれば活用可能

Q バイオマス発電も含むのですか?
A

・持続可能なバイオマス(バイオガス含む)も大丈夫です

再エネ電⼒調達⼿法
Q 調達方法の制限はありますか?
A

・以下の8種類いずれかの方法が認められています
 -企業が保有する設備における⾃家発電
 -直接調達(発電事業者との契約)
  ✓フィジカルPPA
  ✓バーチャルPPA
 -電⼒⼩売との契約
  ✓電⼒⼩売とのプロジェクト特定契約
  ✓電⼒⼩売との⼩売供給契約(再エネ電⼒メニュー)
 -再エネ電⼒証書の調達
 -受動的調達
  ✓再エネ電⼒証書で裏付けられた系統からのデフォルトでの再エネ電⼒調達
  ✓再エネ電⼒の割合が95%以上の系統からのデフォルトでの調達

Q 8種類の再エネ電力調達手法の内、どの手法を利用すればよいですか?
A

・いずれの手法もコスト・調達規模・即時性等の観点で⼀⻑⼀短であり、どれが最適というものではございません。先進企業においては、複数の手法を組み合わせて再エネ調達を実施している場合が多いです。

Q 発電設備に関する要件はありますか?
A

・2024年1月以降に調達する再エネ電力に関しては、運転開始もしくはリパワリング(古い設備からの更新)から15年以内の発電設備からのものでなければならないとされています。
 -ただし、以下に該当する場合は問題ない
  ・ 自家発電
  ・ オンサイトPPA、オフサイトでの⾃営線供給
  ・ ⾃社が最初のオフテイカーであるプロジェクトからの調達
  ・ 系統からデフォルトで供給された再エネ電力の調達
  ・ 開始⽇が2024年1⽉1⽇以前である契約
ただし、企業は総電力消費量の15%までの再エネ電力調達を、先ほどの要件の対象外とすることが出来る。

Q クレジットの使用は認められていますか?
A

・再エネ電力由来のJ-クレジットのみ使用が認められています。

Q 再エネ電力証書は含みますか?
A

・以下の3つは認められます
 -J-クレジット(再エネ電力由来のみ)
 -グリーン電力証書
 -再エネ電力証書(再エネ指定のみ、かつトラッキングができるもの)は含みます

Q 原子力発電は再エネ電力に含まれますか?
A

・含まれません

Q 自家消費している自家発電電力の再エネ価値をJ-クレジットとして売却している場合、この電力は再エネとして認められますか?
A

・再エネ価値を売却した電力は再エネとはみなしません。当該電力を再エネとしてみなすには、別個に再エネ価値を調達する必要があります。

再エネ100宣⾔ RE Action
Q 再エネ100宣言 RE Actionとは何ですか?RE100とは違うものですか?
A

・RE100は、一定規模・影響力のある企業しか加盟することができず、多くの中小企業や自治体、教育機関等は、加盟することができません。
・そこで、RE100の参加要件を満たさない団体を対象として開かれた日本独自のイニシアティブが、再エネ100宣言 RE Actionです。
・詳細については、下記を参照ください。
再エネ100宣言 RE Actionホームページ

Q 再エネ100宣言 RE Actionへの参加費用はかかりますか?
A

・再エネ100宣言 RE Actionへの参加には、団体区分・従業員数に応じて25,000円~200,000円の年会費がかかります

その他
Q 自社グループ外の企業に供給している電力の扱いはどうなりますか?
A

・他者に供給している電力は、それを発電する際の燃料の消費がScope1に含まれていれば、RE100の対象に含まれます。

Q RE100の対象は、Scope2と同一だと考えて問題ないでしょうか?
A

・RE100の対象は、Scope1のうち発電に係る燃料の消費と、Scope2のうち電力の使用となります。
・Scope1であれば発電以外の目的で消費している燃料、Scope2であれば電力以外のエネルギー(熱・蒸気等)は、RE100の対象外です。

Q 自社でガスコジェネレーションシステムを運用している。この場合、RE100を達成するためにはガスコジェネを廃止するしかないのでしょうか?
A

・RE100はガスコジェネをRE100に適⽤させる⽅法として、以下の3つの⽅法を提⽰しております。
 -ガスコジェネを再エネ発電設備に切り替える
 -ガスコジェネで使用する燃料を、バイオガスやバイオディーゼル等の再性可能燃料に切り替える
 -ガスコジェネで使用する燃料について、同一のガスネットワークからバイオガス証書を購入する
※なお、現時点では日本国内においてRE100に利用可能なバイオガス証書は存在しません

TCFD
制度概要
Q TCFDとはなんですか?
A

・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、企業の気候変動への取組みや影響に関する財務情報についての開示のための枠組みのことです。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)ホームページ(英語)

シナリオ分析
Q どのようにして分析体制を構築すればよいでしょうか?
A

・分析実施体制の構築には、シナリオ分析の過程で必要な部署を巻き込む場合と、社内でチームを作った上でシナリオ分析をスタートする場合が想定されます。
・シナリオ分析の過程で必要な部署を巻き込む方法のメリットとしては、スタートが容易であり各部署の負担が最小限であることが挙げられます。一方、デメリットとして、シナリオ分析の過程で社内調整が必要であり、環境・CSR 部から経営陣までの報告の距離が長いことが挙げられます。
・また、社内でチームを作った上でシナリオ分析をスタートする場合、メリットとして社内調整が済んでいるため各部署が協力的であること、各部署連携チームであるため経営陣まで報告が届きやすいことが挙げられます。しかし、デメリットとしては、スタートするまでに時間がかかること、各部署の参加による負担がかかることが挙げられます。

Q シナリオ分析の対象範囲は、どのように設定すればよいでしょうか?
A

・まずは部分的に分析対象となる事業を選定し、徐々に全社的なシナリオ分析に繋げていくことが取り組みやすいと考えられます。
・対象範囲としては次のような項目で設定します。
 ✓対象とする地域(国内拠点のみ/海外拠点含む等)
 ✓事業範囲(一部事業のみ/全事業等)
 ✓企業範囲(連結決算範囲のみ/子会社も含む等)
・また、シナリオ分析の対象範囲の設定においては、「売上構成」「気候変動との関連性」「データ収集の難易度」等を軸に選定することにより、ビジネスモデルに沿った分析が可能となります。
・例えば、「売上構成」を軸に特に売り上げが大きい事業を対象とする、「気候変動との関連性」を軸に CO2 排出量が多い事業を対象にする、「データ収集の難易度」を軸にデータ収集が容易な事業を対象にする、等の考え方が可能です。

Q いつ時点の分析をすればよいでしょうか?
分析時間軸をどのように設定すればよいでしょうか?
A

・2050年、(追加的に)2030年時点の分析をすることが一般的です。
・2050年:気温上昇による物理的リスクおよび炭素税等の移行リスクが顕在化しており、リスクと機会のインパクトの結果が明確に出ることが考えられます。一方、デメリットとしては、事業計画の時間軸と距離があるため、事業を現実的にイメージしづらく社内巻き込みが難しくなり、連携困難な場合があることが挙げられます。
・2030年:中長期の適切な「脱炭素への移行=トランジション」の検討が可能です。また参照可能なデータが豊富に存在し、事業計画との連携が比較的容易であることが挙げられます。

Q どのようなリスクがあり得るのでしょうか?
A

・政策規制、市場、技術、評判(顧客の評判変化、投資家の評判変化)等が分類としてはありえますが、業界別レポート等の外部レポートや競合他社の CDP 回答等の外部情報を加味し、リスク・機会項目を洗い出してください
 -業界別レポート:SASB スタンダード(77 のセクターの環境・社会・ガバナンスの問題を特定)や、WBCSD 発行のユーティリティ、石油・ガス、建設業、鉱業、化学、食糧・農業・林業製品等のセクターに関するシナリオ分析レポートがございます

Q どのようにして事業インパクトを定性化すればよいでしょうか?
A

・外部レポートや、競合他社等の CDP 回答等の外部情報を参考としながら、社内関係者とのディスカッション結果をインプットとして記載します。
・特に社内関係者とのディスカッションについては、自社のビジネスモデル等を踏まえ、起こりうる影響は何かをナラティブに(物語的に)、認識を合わせながら記載することが重要です。

Q どのようにリスク重要度を評価するのでしょうか?
A

・それぞれのリスク・機会項目について、事業インパクトの大きさを大・中・小といった形で評価します。
例)影響範囲が大きいリスク・機会や、重要商品に係るリスク・機会を「大」とし、自社に影響が全くないリスク・機会は「小」、それ以外を「中」とするのも一案
・影響範囲が大きいリスク・機会や、重要商品に係るリスク・機会を「大」とし、自社に影響が全くないリスク・機会は「小」、それ以外を「中」とするのも一案

Q どのようにシナリオを選択すればよいでしょうか?
A

・TCFD 提言でのシナリオ分析では、2℃以下を含む複数の温度帯シナリオの選択を推奨しており、シナリオの特徴やパラメータを踏まえ、自社の業種や状況、投資家の動きや国内外の政策動向に合わせたシナリオの選択が重要となります。
・現状では、脱炭素動向を踏まえ、1.5℃シナリオを含む複数のシナリオの選択が有効です。
 -1.5℃と、4℃の2つのシナリオを選択する、等

Q シナリオ選択時には、どのようなデータを参照すればよいでしょうか?
また、各データにはどのような特徴があるのでしょうか?
A

・IEA(International Energy Agency)の WEO(World Energy Outlook):中・長期にわたるエネルギー市場の予測。エネルギーに関する将来情報(定性・定量)を記載
・SSP(Shared Socioeconomic Pathways):昨今の政策や社会経済環境を踏まえた社会経済シナリオ。前提となるマクロ経済情報をシナリオごとに記載
・PRI(Principles for Responsible Investment)の IPR(Inevitable Policy Response):短期で起こりうる気候関連政策に関するシナリオ。気候関連政策に関する定性・定量予測を記載
・NGFS(Networkfor Greening the Financial System):中央銀行や金融監督当局向けの共通気候シナリオ。温度帯や技術発展、政策対応速度でシナリオ分岐等

Q リスク・機会に関するパラメーターの情報はどのように入手できるのでしょうか?
A

・移行リスクについては IEA や PRI、SSP(Shared Socioeconomic Pathways)のレポートから入手可能です。
・物理的リスクについては気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)や物理的リスクマップ、ハザードマップ等の気候変動影響評価ツールといった外部情報から、パラメータの客観的な将来情報を入手することが可能です。

Q リスク・機会に関するパラメーターの情報が入手できない場合、どうすればよいでしょうか?推計してもよいのでしょうか?
A

・分析時間軸として設定した対象年度の将来情報が全て見つかるとは限らないため、推計や定性的に情報収集する等の検討が必要な場合があります。
・例えば、分析時間軸が 2050 年であるものの 2040 年までのデータしか入手できない場合は、推計をして 2050 年時点の将来情報を算出することが考えられます(線形か累計か等、推計の手法はデータの種類に応じて検討が必要である)。
・また、定量情報が入手できない場合には、定性情報を用いて将来の世界観を描くことも有用です。この段階では、定量情報に囚われすぎず、リスク・機会項目に関する将来情報を広く集めることが重要です。

Q どのようにしてリスク・機会が影響を及ぼす財務項目を把握すればよいでしょうか?
A

・気候変動がもたらす事業インパクトが自社の損益計算書や財務諸表のうち、売上や費用等どの財務項目に影響を及ぼすかを整理します。
・この財務項目への影響の整理では、まずは大まかに、売上―費用=利益であることから、事業インパクトが損益計算書の「売上」と「費用」のどちらに該当するのかを整理することが重要です。
・使用する内部データの例としては、「事業別/製品別売上情報」「操業コスト」「原価構成」「GHG 排出量情報」等、事業部等が通常使用しているデータを用いることで、より企業の実態と近い試算が可能となります。

Q どのように算定したらよいのでしょうか?
A

・算定式は、STEP3 の関連パラメータの将来情報の入手で収集したデータと、入手した内部データを組み合わせて検討します。
・例えば、「炭素税の増減」という財務項目であれば、「2050 年の自社の Scope1,2 の CO2 排出量(内部データより推計)×Scope1,2 排出量への tCO2 あたりの炭素税(将来情報より入手)」といった式が想定されます。

Q 定量化できないものはどうしたらよいのでしょうか?
全て定量的に測らないといけないのでしょうか?
A

・定性的もしくは科学的根拠が乏しく、定量的試算が不可能なリスク・機会項目に関しては、外部有識者へのヒアリングや、継続的なモニタリング等の実施が有効です。
・ここでは、検討済/未検討リスクを整理し、次のアクションを明確化することが重要です。
・外部へのヒアリングでは、研究機関、専門家等の外部有識者に対し、算定不可能であったリスク・機会についてヒアリングを実施し、ヒアリング結果を定性的な情報として社内で保管、必要に応じて開示することが考えられます。
・社内においては、リスク・機会に関する最新情報を入手可能にするために、継続的にモニタリングを実施することが可能です。

Q どのように成り行きの財務項目とのギャップを可視化したらよいでしょうか?
A

・可視化に際しては、インパクトの金額を一覧化するだけでなく、例えばウォーターフォールグラフ等を用いて、シナリオ分析軸の対象年に想定される営業利益から、事業インパクト評価で実施した財務インパクトを足し引きする形で示すと、最終的な利益が明示されインパクトのイメージが湧きやすくなります。

Q 対応策を考える上で、まずは何をすればよいでしょうか?
A

・まずは、自社と競合の動向を確認しましょう。
・特に、事業インパクトの大きいリスク・機会について、自社の対応状況を把握し、必要であれば競合他社の対応状況も確認します。実は、自社の中で実施していた(部門間の垣根があったため把握できていなかった)ということはよくある状況であり、一旦社内を巻き込みつつ、現状の対応策の状況を整理することが重要です。
・また他社をベンチマークとしつつ、現状の自社の対応策が問題ないかといった視点でのチェックも重要となります。

Q 対応策はどの程度想定しておくべきなのでしょうか?
A

・対応の方向性を大まかに決め、その後の継続的な検討を実施する中で対応策を具体的に検討することも一案です。
・検討の際には、シナリオ分析検討メンバーの中で対応策を列挙しておいた上で、担当部署のあたりをつけておくことが考えられます。
・2050 年に加え、2030 年の事業インパクトも算定した企業において、2030 年のインパクトが大きい場合には、2050 年に向けてどのようにリカバリーするのか(技術投資、省エネ設備の増築等)を追加的に検討することも重要です。

Q 対応策策定後の進め方について、何をするのがよいでしょうか?
A

・対応策を推進するために必要となる社内体制を構築し、関係部署とともに具体的アクションに着手します。
・また、シナリオ分析の今後の進め方を検討します。
・中期経営計画への組み込みや経営層の承諾があれば、次に社内体制の構築(関係部署の巻き込み)と、関係部署との具体的なアクションへと移行します。
・シナリオ分析自体の継続実施、少なくとも毎年の外部情報のモニタリングも重要となるので、その方法論も定めておく必要があります。

Q 実効性を持たせるために何をすればよいでしょうか?
A

・中期経営計画等に気候変動を組み込むこと、その上で、経営層の理解のもと、体制を構築(あるいは再構築)することでより実行性を持たせることができます。
・体制構築では、経営企画の直下に気候変動等に関する横断的な組織を作ることも考えられます。
・加えて、一貫性を持たせること、継続的なモニタリングが必要であることから、シナリオ分析・開示・経営戦略のサイクルを回すこと(単発ではない、企業価値創造がゴール)も重要です。

Q 何を開示すればよいでしょうか?
A

・まずは、開示にあたって、 TCFD 提言の全 11 の推奨開示項目における、シナリオ分析の位置づけを記載します。
 -具体的には、TCFD 提言の中の戦略の c「2℃以下シナリオを含む様々な気候関連シナリオに基づく検討を踏まえ、組織の戦略のレジリエンスについて説明する」が該当
・続いて、これまで検討したシナリオ分析の結果を STEP ごとに記載していきます。
 ーシナリオ分析の結果、どういったリスクと機会が分かり、企業としてどのように対応していくかという気候変動に関する組織戦略のレジリエンスをストーリーとしてわかりやすく示す
 ーその他、気候変動に関するガバナンスの構築状況、各シナリオ分析の根拠となる使用データに関する情報、自社の 2050年の脱炭素を見据えた適切なトランジションについて、シナリオ分析から抽出されたリスク・機会に対する現状・今後の取り組み、シナリオ分析の結果を踏まえた、気候変動に関する価値創造のストーリー、今後のシナリオ分析の進め方・ゴール感、等

Q どこまで開示すればよいでしょうか?
A

・定量情報など全てを開示する必要はありません。
・ただし現状、投資家からは、制度の普及および昨今の気候関連情報の開示強化の潮流から、定量情報開示も視野に入るとの意見がございます。
・経営層のシナリオ分析への関与、リスク・機会の抽出結果、シナリオ分析の結果を自社事業・経営にどのように活かすか等、投資家は経営への影響を注視していることを念頭に、開示内容を検討することが考えられます。

Q どのようなパラメーター・ツールがあり、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?
A

・「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」の5. シナリオ分析 参考パラメータ・ツールを参照ください。

参考資料
CFP
制度概要
Q CFPとはなんですか?
A

・Carbon Footprint of Product、製品・サービスのライフサイクルにおける温室効果ガス排出量をCO2量に換算し表示するもの

算定
Q どのようにCFP算定の目的を策定するのでしょうか?
A

・排出量を可視化して何をしたいのか、実現したいことは何かを考え、目的を策定します
目的によって、算定方法・対象製品等が異なるので、目的の策定が重要です
 例)
  ー脱炭素の取組に積極的だというブランディングでの利用
  ー企業全体のGHG排出削減の加速化
  ー開発した低炭素素材を使った新製品のCO2削減効果の消費者への訴求

Q CFP算定対象とする製品はどのように選ぶのですか?
A

・算定の目的に応じて、算定する製品を選びます
最初は少ない製品で、CFP 算定の具体的なプロセスや判断方法、自社のデータ管理の特性を理解し、その後に算定対象製品を拡大した方が効率的に進めることができます。
最初に選ぶ製品としては、以下の条件に合致する製品を選択するとよいでしょう
 ✓算定によるインパクトの大きさ(総排出量が多い製品、自社の看板商品など)
 ✓想定される算定工数の少なさ(プロセスが簡易な製品、調達データや生産管理データが十分整っている製品など)

Q ライフサイクルステージはどちらがいいのでしょうか?
(Cradle to Grave/Cradle to Gate)
A

・算定の目的やCFPを提供する相手によって、決定します。
多くの場合では、最終製品/B2C 製品と中間製品/ B2B 製品では、必要とされるライフサイクルステージが異なります
 ✓最終製品/B2C 製品:Cradle to Grave(原材料調達~廃棄・リサイクル)
 ✓中間製品/ B2B 製品:Cradle to Gate(原材料調達~生産)

Q 参照する規格・ガイドラインにはどのようなものがありますか?
A

・CFP に関する規格・ガイドラインには以下のものがあります。
 ✓CFP ガイドライン第 2 部「CFP に関する取組指針」(ISO 14067:2018 などの国際的な基準に整合)
  ⇒本実践ガイドでは、同指針で示す「基礎要件」を満たす算定方法を紹介します。
 ✓CFP 算定に関する ISO 規格
  ⇒ISO 14067:2018「温室効果ガス—製品のカーボンフットプリント—定量化の要件とガイドライン」
 ✓GHG Protocol Product Life Cycle Accounting and Reporting Standard

Q 規格・ガイドラインには全て準拠しないといけないのですか?
A

・規格・ガイドラインに記載されている内容には義務的事項(“Shall”)と推奨事項(“Should”)があります。これら全てに対応する「準拠」は難しく、義務的事項(“Shall”)の中でも特に重要な項目を満たす「参照」が、現時点では現実的かつ一般的です。

Q 準拠と参照の違いは何ですか?
A

・国際規格などを参考にして CFP の算定・表示などを行う場合、参考にした度合により、以下のように言葉が使い分けられています
 ✓「準拠(comply with)」:規格が定める義務的事項・推奨事項に完全に対応
 ✓「参照(refer to)」:規格の主要な義務的事項には対応しているが、全ての義務的事項・推奨事項には対応していない

Q 製品別の算定ルールは必ず使わないといけないのでしょうか?
A

・算定対象製品に類似する製品の算定ルールが存在する場合でも、例えば、容器が異なる(プラスチック容器とガラス容器)、容量が異なる、原材料や製造方法が異なるなど、行いたい算定と異なる条件を定めているルールであれば必ずしも使用しなくても構いません。また、製品別算定ルールの管理者が利用制限を課している場合もあるため注意しましょう。

Q どのようにしてバウンダリ(算定対象範囲)を作るのですか?
A

・算定対象としたライフサイクルステージの各プロセス(原材料や廃棄物などの「モノ」や生産・組立などの「工程」)を 1 つの図に落とし込んだ「ライフサイクルフロー図」を作成、GHG排出源を網羅的に洗い出し、その上で算定対象範囲を明確にします
・図のイメージについては、「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp8をご参照ください

Q バウンダリの全ての排出量を算出しないといけないのでしょうか?
A

・算定対象とした全てのプロセス(モノや工程)を捕捉するのが理想です。一方で、CFP に対する影響が小さく、かつ算定が難しいプロセスはカットオフする(算定しない)ことができます。

Q ライフサイクルフロー図は公開しないといけないのでしょうか?
A

・必ずしも公開する必要はありません

Q カットオフ(算定しない)の対象が知りたいです。
A

・カットオフ対象:CFP に対する影響度は小さいと考えられ、かつ算定が困難なプロセス
・カットオフは可能な限り行わないことが望ましいですし、カットオフが避けられない場合であっても最小限にとどめることが必要です。最近は排出係数 2 次データベースが整備されてきたこともあり、該当する排出係数が見つからない場合には類似項目の排出係数を利用し、カットオフの回避がよく行われています。
・もし、カットオフを行った場合には、そのカットオフした対象と、カットオフによる CFP 算定への影響・考え方について、CFP 算定報告書で触れなければなりません。また、次回の CFP 算定では、そのカットオフを改めて算定することができないかどうかについて検討することも必要です。

Q 算定が難しいものの、影響範囲が大きそうなプロセスはどのようにして算定したらよいでしょうか?
A

・算定が難しいプロセスのうち、CFP に対する影響度が小さいとは決めきれないプロセス(大型配送拠点から小売店までの輸送、消費者が廃棄した廃棄物の輸送など)は、シナリオとして前提条件を設定して算定することもできます。

Q 算定手順書とは何でしょうか?
A

・具体的な算定のルールを決め、それを算定手順書として資料に記載します。
・算定手順書は、社内の情報共有用として作成し、対外公表は不要です。社外秘の情報も含めて具体的に記載し、算定者にとってわかりやすい記載とすると共に、担当者が変わったとしても同じ算定方法を再現できるように作成することが重要です。算定手順書は、第三者検証を依頼する際や、将来的に再算定する際にも利用できます。

Q 算定手順書の記載ルールはありますか?
A

・算定手順書の書き方に決まりはありませんが、項目や記載内容例については、
「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp11をご参照ください

Q 算定手順書は公開しないといけないのでしょうか?
A

・算定手順書は、社内の情報共有用として作成し、対外公表は不要です。社外秘の情報も含めて具体的に記載し、算定者にとってわかりやすい記載とすると共に、担当者が変わったとしても同じ算定方法を再現できるように作成することが重要です。算定手順書は、第三者検証を依頼する際や、将来的に再算定する際にも利用できます。

Q 機能単位と宣言単位とは何ですか?
A

・機能単位:定量化された性能による単位
例)20 ㎡のタイプ A の壁に 98%不透明で 5 年の耐久性を有するペンキ
・宣言単位:製品の量・重量等による独自で設定した単位
例)ペンキ20L

Q 機能単位と宣言単位はどちらがいいのでしょうか?
A

・原則的には機能単位で定義します
・しかしながら、中間製品や機能単位での定義が困難な場合には、製品 1 個あたりなどの個数や製品1kg あたりなどの量(宣言単位)で設定しても構いません。

Q 1次データを使わないといけないのでしょうか?2次データでもいいのでしょうか?
A

・活動量:各プロセスの重量や距離など。 1 次データ (実測値、実測値の配分) の収集を基本とするが、困難な場合には何らかの前提を置いて設定したシナリオに沿って 2 次データを収集します、また、データの取得が容易ではなく、CFP に対する影響が小さいと推定される場合は、カットオフすることも考慮します
・排出係数:単位あたりの GHG 排出量。1 次データが入手できるかを確認した上で、難しい場合には、2 次データベースを使用します。その際、データベースのどの項目を使用するのかまで確認し、明記しましょう。

Q 2次データはどこから引用すればよいのでしょうか?
A

・次のようなデータベースがよくつかわれます
・排出係数データベース
 ✓国立研究開発法人産業技術総合研究所「IDEAVer.3」
 ✓環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」
 ✓環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 電気事業者別排出係数一覧」
 ✓ecoinvent
・活動量データベース
 ✓IDEA Ver.3 マニュアル付属資料(7)国間距離
 (IDEA Ver.3 ライセンス保有者に限り使用可)
・「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp14をご参照ください

Q 算定ツールは公開しないといけないのでしょうか?
A

・公開する必要はありません

Q 算定ツールはどのように作成したらよいのでしょうか?
A

・「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp16をご参照ください

表示・開示
Q なぜ表示・開示をするのですか?
A

・CFP を製品パッケージやカタログなどに表示・開示する場合は、算定の透明性を担保するために、補足情報として CFP の算定結果や算定方法などをまとめた CFP 算定報告書を分かりやすく示しましょう。

Q 表示・開示する場所の制限はありますか?
A

・CFP の数値と CFP 算定報告書は、もともとは同じ場に表示されることが求められていたのですが、CFP の数値の横に CFP 算定報告書へのリンクやその QR コードが記載されている、といった方法もとられるようになってきています。

Q CFP算定報告書とは何ですか?
A

・CFP の算定結果や算定方法をまとめて作成したものです。CFP 算定報告書は社内・社外と様々な読者を想定した20 の記載項目が定められています

Q CFP算定報告書には何を記載したらよいですか?
A

・「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp20をご参照ください

Q CFP算定報告書は公開しないといけないのですか?
A

・必ずしも公開する必要はありません
・また、CFP の数値を社外の消費者や顧客企業に表示・開示する際に補足情報として CFP 算定報告書を用いる場合は、情報の秘匿性等を考慮した上で、各社が必要に応じて報告項目を選択して提供できる

Q どのような媒体で開示したらよいでしょうか?
A

・CFP算定の目的に照らして、各企業で判断してください
・発信ツールとしては自社ツール(プレスリリースやウェブサイト、報告書など)、製品表示(パッケージ表示、店頭 POP など)、メディア(TV、新聞・雑誌、SNS など)などがあります。
・それらのツールとターゲット・訴求内容の効果的な組み合わせ、タイミングを検討して決めます
・訴求内容は、CFP の数値だけでなく、「算定を開始したこと」「算定結果を踏まえた今後の方針」なども考えられます。

Q 表示・開示の事例はあるでしょうか?
A

・「カーボンフットプリント ガイドライン(別冊)CFP 実践ガイド」におけるp21~をご参照ください

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