2007年度エコインターンシッププログラム活動報告

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住友化学

住友化学(株)

H.J
所属
経済学研究科 修士1年生
氏名
広瀬 淳哉さん(右から2番目)
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所属
海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 修士1年生
氏名
浦井 泰奈さん(左から2番目)
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派遣先
住友化学株式会社 東京本社レスポンシブル ケア室
大阪工場 環境安全部
日程
平成19年10月22日(月)〜11月2日(金)までの10日間
実施場所
東京本社(10/22〜10/24)、大阪工場(10/25〜11/2)
実施時間
8時30分〜17時20分(うち休憩1時間)
カリキュラム概要
レスポンシブル ケアに基づく化学物質管理とリスクコミュニケーション(情報開示と対話)
10/22 オリエンテーション、住友化学のRC(レスポンシブル ケア)の説明
10/23 住友化学のCSRレポート、CSR2007編集委員会に参加
10/24 家庭部門での温暖化対策検討会、大阪工場へ移動
10/25 オリエンテーション、安全教育、環境保全活動の概要
METI-LISによる分析ワーク
10/26 ISO14001の解説、動力源室見学、省エネボイラー設備の解説
ISO14001監査会議見学
10/29 環境関連設備見学(ガスタービン室、ガスエンジン、液中燃焼炉など)
住化分析センター見学、PRTR拡散シミュレーション(METI−LIS)
10/30 有機合成研究所・精密化学研究所・生産技術センター見学
大阪市ゴミ処理場見学、PRTRデータベース実習
10/31 生物環境科学研究所の概要説明、工務部ISO14001監査
11/1 トップRC診断会議見学、下水処理博物館の見学
11/2 発表のためのまとめ作業、成果報告会

広瀬 淳哉さんのエコインターンシップ体験談

インターンシップに参加してよかったと思いますか?

はい。
実際の企業の内部で採用されている環境対策、およびその意思決定の様子が実感を伴って理解できました。また、化学物質管理の設備や手法に関し、莫大な時間とコストが必要になることを再認識できました。

インターンシップを通じて感じたこと、気付いたことは何ですか?

  • 環境対策のコストが大きく、その成果は収益にはなかなか反映されないこと。企業の規模次第で実施の程度が異なり、その線引きが曖昧になりやすいということ。
  • ISO14001や廃棄物処理の管理などは、監査に際して手続きが煩雑。
    これに関しては時間とともにもう少し定型化されていくのではないかと思います。
  • 化学物質管理の方向性と難点について
    何度も繰り返し説明していただいたのですが、化学業界は全体的に、環境投資を「省エネ・省資源」に向けているようでした。化学物質についても、基本は「排出しない」ことです。排出物の少量化は生成物の増量化につながることがあるという利点があります。
    そのために、既存設備に仕切り板を増設する、触媒を活用する、廃棄物を売却する(セメントへの転用等)、などの対策が採用されていました。
    ただし、このような手法は、資源の効率的な利用を可能にする反面、得られる便益よりも費用の方が未だ高くなっています。
    また、通常の企業であればPR、IR活動でこの費用の一部を回収できますが、住友化学はBtoB企業であるため、広報・広告面での恩恵が少ないことも不利な点です。

インターンシップ中、よかったこと、うれしかったことは何ですか?

  • 企業秘密(に該当すると思われる設備や情報)を含め、良い所・悪い所を中立的に説明していただいたこと。
  • 応対が非常に親切だったこと。
  • 東京での宿泊施設が綺麗だったこと。

インターンシップに参加する前と後で、企業の環境対策に対する印象は変わりましたか?

はい。
インターンシップを通じて、事前には知りえなかった企業側の工夫やジレンマを把握することができ、責任ある立場から環境対策を実行することの難しさと規模の大きさを感じることができました。

インターンシップを終えての反省点はありますか?

はい。
事前に送付頂いた資料以外に、もう少し参考資料を自分で探して事前に読むべきだったと思います。また、大阪での初日に見学したい設備や会議を尋ねられたので、東京での研修を終えた後にリクエストを熟考しておけば良かったと反省しています。

今後この経験をどのように活かしていきたいですか?

現在は、2月の(シンポジウムでの)発表を通じて社会に企業の環境対策の現状をアピールしたいと思っています。また将来的には、エコインターンシップの参加者で1つのネットワークを作り、一般社会に向けて発信していけるような活動を行うことができれば面白いと思います。

エコインターンシップに対する要望・意見などお聞かせください。

プログラム内容については、大変満足しています。内容自体は、企業の環境対策における工夫・手間・意思決定などを知ることができるという点で意義深いものでした。これらは実際の現場を見てはじめて、実感を伴って理解できるものと思われます。
また本社、工場とも、社員の方が率直に考えていることを述べていたので、理想と現実の相違、社会と企業の視点の相違なども分かりました。プログラム参加にあたり、中立的な情報を知りたいと思っていたので、環境対策について正負双方の側面からお話いただけたことは有難いことでした。
住友化学の皆様、事務局の皆様、受け入れていただき本当にありがとうございました。学んだ内容を2月にきちんと発表できるように努力します。

企業側から
  • 積極的に物事に取り組み、知識・経験を拡げようと努力していた。
  • 単に与えられたテーマを消化するだけでなく、結果の妥当性の評価も行った。
  • 礼儀正しく、廻りの人への配慮も忘れていない。

非常に優秀であると感じた。特にパソコンによるシミュレーション作業については、他のスケジュールの都合で大幅に研修時間が少なくなったが、所定の結果を出し、その検証まで行った。「パソコンが得意である」とのインターン生の個人的要素を差し引いても特定テーマの理解力等は大変優れていたと感じた。

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浦井 泰奈さんのエコインターンシップ体験談

インターンシップに参加してよかったと思いますか?

はい。
自分の考えていた企業のイメージと実際に見たイメージのギャップを感じたり、また企業の化学物質管理の内容を非常に具体的に勉強でき、さらに工場を見学させていただけたりと非常に貴重な体験をすることができて本当に良かったと思います。

インターンシップを通じて感じたこと、気付いたことは何ですか?

私は今まで企業内での環境対策というものは、社会的責任として企業が費用を負担しているものだと思っていました。今回住友化学で勉強して環境対策は費用として負担となる面とコスト削減につながる面があり、環境と経営の両立という考え方があることを学びました。しかし同時に、環境対策事業は住友化学のような大企業だからこそできるという部分もあり、中小企業ではなかなか難しい課題であるという現実も知りました。

インターンシップに参加する前と後で、企業の環境対策に対する印象は変わりましたか?

はい。
今回特に印象的だったのが、環境対策と経営は両立するということです。私の以前のイメージでは企業の環境対策は社会的責任のため行なうというものでしたが、環境対策はコストの削減にもつながるということがよくわかりました。

インターンシップ中、よかったこと、うれしかったことは何ですか?

本社と大阪工場でインターンシップの体験ができたことがとてもよかったです。本社は期間としては短かったですが、会社全体の活動について多くのことが学べ、大阪工場では実際に現場を見学させていただけて工場の雰囲気にも触れることができました。また会議になど参加させていただけたことが貴重な体験となりました。

インターンシップを終えての反省点はありますか?

はい。
一通りCSRレポートや会社概要などには目を通してから望んだのですが、もう少し勉強したほうがよかったと感じました。特に資料を読んで自分の考えや質問事項をまとめたり、ある程度他社との比較などしておくとよかったのではないかと思いました。

自分の課題として見出したこと

全項目の内容を踏まえて、環境問題を考える上で一方の側面からだけ物事を見るのでは見えてこない問題もあることに気づきました。今まで自分の視野が狭かったことを痛感し、環境問題を考える際にもっとさまざまな分野の勉強も必要であると感じました。今後環境問題について勉強する時には、社会や経済の分野に対してもさらに視野を広げて勉強していきたいと思うようになりました。

今後この経験をどのように活かしていきたいですか?

私は環境に携われる仕事に就きたいと考えており、そのために自分なりに色々な勉強をしてきたつもりでした。しかし、今回エコインターンシップに参加して、今まで本を読むなどして得られた知識はほんの一部にしか過ぎないと感じました。また、自分が考えている環境に携われる仕事というのはどのような仕事なのか考える良い機会ともなり、今後就職活動を進めていく上で自分の意志をしっかり持って進めていきたいと思うようになりました。また環境に携わる部門で実際に働いている方々の姿を拝見することができ、とても印象的だったことから自分が就職してからどの様に仕事に取り組んでいきたいのか考えるようになりました。今回の経験から今後は目標を持って勉強していきたいです。

エコインターンシップに対する要望・意見などお聞かせください。

実際に環境に携われる仕事を体験できるということは学生にとって非常に貴重な体験であると思います。今回参加させていただいて、2週間の間にたくさんのことを学ぶことができて、さらに環境問題と社会との関係をもっと勉強したいと思える良い機会ともなりました。エコインターンシップのような環境の仕事を勉強できる機会は少ないと思うので、また来年からも多くの学生にこのような機会ができればよいと思います。また参加したい学生と参加した学生の交流する機会もあれば、さまざまな情報が共有できてよいのではないかと思います。

その他

住友化学の化学物質管理を含む環境に対する取り組みは多岐に渡り、化学工業界の先をゆく先進的な取り組みというのが印象的でした。また住友化学という枠にとどまらず、グループ会社や工業地帯での他企業と協力し化学物質の積極的な排出削減に取り組んでいることも幅広い取り組みの一つだと思います。自社で削減目標を立て、中長期での目標の見直しをすることで常に高い目標を持って削減に取り組む意欲的な姿勢は今後の持続的な削減に効果的であると感じました。一方で、住友化学のような大企業は業績を上げながら、このような環境への対策も行なうことが可能であるとは思いましたが、中小企業ではどのように考えられているのか疑問に感じ、現状として大きな取り組みが難しいということも知りました。そういった点から、大企業と中小企業での連携がなされ、情報の共有や指導が今後増えることで社会全体での環境対策が行なわれるとよいと感じました。

化学物質管理とは少し話が逸れますが、本社で印象的だったのが会社としてのCO2の削減でした。今回家庭部門での温暖化対策検討会に参加させていただいて、会社から家庭へCO2削減を呼びかけていくという取り組みは非常に魅力を感じました。個人的にもこういった積極的な取り組みが今後も推進されることを望みます。今回2週間住友化学の本社・大阪工場で実習をさせていただきましたが、企業としての環境対策への取り組みに対する積極的な姿勢を見ることができて非常に勉強になりました。

企業側から

「学ぶ」という姿勢が強く感じられ、また研修期間を通して、マナーの高さにも感心させられました。

かなりの目的意識をもって、インターンシップに参加されたようで、教える側としても実に充実したひとときを過ごすことができました。とりわけ「本社」というロケーションでどんなプログラムを作成するかについて、頭を悩ましましたが、お二人の協力もあってスムーズに研修を進めることができました。

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