受賞取組紹介

INITIATIVES

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞 地域コミュニティ部門

竹の可能性を追求!自治体、地場企業連携を通じた
環境循環型竹産業の構築への挑戦!!

エシカルバンブー株式会社

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞登壇者:田澤恵津子氏(エシカルバンブー株式会社 代表取締役社長)

※この記事は、2023年12月2日に開催された第11回グッドライフアワード表彰式における環境大臣賞受賞プレゼンテーションおよび交流会インタビューに基づいて作成されています。

竹と共に竹を活かし、人と共に人と生きる

エシカルバンブー代表取締役の田澤と申します。私たちは、全て竹から事業を行っています。竹と共に竹を活かし、人と共に人と生きる“エシカルバンブー”という看板を掲げて、「人・自然・生物・地域それぞれを尊重した、誰も何も傷つけない、竹を活かしたエシカルなものづくり」を大切にしています。

私たちが作るものは、全て竹から作られています。本当にこの“竹のみ”で、竹の洗剤、竹の虫除けスプレー(竹の抗菌剤)、竹のタオル(竹の繊維)などを作っています。

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞

ここで、少し、竹と日本人の関係をお話しさせていただきたいと思います。

竹は、日本人の生活になくてはならない資源でした。実際に、おにぎりを包む竹の皮をはじめとして、門松、竹箒(たけぼうき)、熊手、簾(すだれ)、竹ざる、扇子など、様々な日用品が竹で作られていました。

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そんな中で、現在の竹の利用状況です。竹の国内での利用状況をご存知でしょうか。竹炭は、消費量の8割以上が輸入材です。たけのこも、消費量の8割以上が輸入材です。実際に全国で炭の職人さんも、どんどん減少しています。

そして、竹がどんどん使われなくなったことによって、放置竹林問題が起きています。山の上で増えた竹がミネラルや補水性を奪ってしまうために、広葉樹や針葉樹が枯れて減少します。同時に、山の保水力も低下するので、土砂崩れのリスクも高まります。

放置竹林がどんどん広がっていくことで、野生動物の住処が広がっていきます。田畑や住宅街にも竹が侵入していきます。こちらの写真のように、川の周辺にある竹が枯れて流れ出ることで、生態系の破壊という問題も起きています。

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そんな竹ですが、本当に竹は厄介者なのでしょうか。

私たちは、竹へのマイナスの発想をプラスの発想に転換して考えることにしました。竹害問題などでマイナス面が目立つ竹ではありますが、実際に素材としてのプラス要素を活かす方法を生み出すことで消費量を拡大し、継続的に使用する流れを構築することができます。

マイナス要素で言うと、成長性が早く、伐採が困難です。竹林が増加すると、他の樹木の成長を妨げて森林崩壊にもつながります。しかし、プラスの要素で言うと、計画的に使用して伐採していくことで、循環型資源として反永久的に利用可能です。そして、元々の竹の抗菌性や消臭性などを活かした商品づくりも可能となります。

竹の可能性は無限大

私たちは、竹の可能性は無限大だと思っています。私たちにとって、竹はビジネスパートナーです。その竹の無限の可能性を活かすために、様々な製品の企画開発を進めています。

1日に竹を使用する量は300〜500本、1ヶ月で約1万本です。その竹を使って、産官学と連携してエシカルなものづくりを実現しています。

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工場から本来出るはずの廃液・排熱・排水・排気などを全て商品化に活かす“カスケード利用”を行い、環境に負荷をかけない環境循環型製造工場を実現しています。

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私たちは、竹の特性を活かし、環境に良いというだけではなく、使い続けたいと思われる商品の開発によって、竹の魅力を伝える商品のブランディングを行っています。

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そして、高齢者や主婦、若年層ひきこもり人材や障害者人材の雇用の創出など、社会復帰促進センターと連携して様々な人材が活躍できる場を創出しています。誰もが働きやすい仕組みづくりです。

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さらに、竹林整備を目的としたイベントやワークショップを開催しています。地域文化や地域資源を活かす次世代への教育ということで、私たちは「竹育」と呼んでいます。

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2020年、地域活性化のために、竹の利活用総合施設「竹Labo」を設立しました。竹Laboのミッションは、竹を学び、竹を使い、竹で元気になることです。

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2023年、YAMAGUCHI Bamboo Missionを設立しました。継続的に地域の竹を利用するための行政・地域・民間の総合連携プラットフォームを構築しました。

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そして、様々な企業と竹を使った商品の開発を行って、使用例を増やしています。コインランドリー/クリーニング、メーカーや研究所などと一緒に、竹の新たな可能性と市場性を追求しています。

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今現在、1年で1万5000人に対して、総合学習授業や講演などを行っています。

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エシカルバンブーが大切にしているもの

ここから先は、私たちが大切にしている言葉をお話しさせていただきます。

■竹と共に竹を活かし、人と共に人と生きる

竹は、私たちにとって重要なビジネスパートナーであり、事業の要です。1本1本の竹の声を聞き、その特徴を活かしたものづくりを進めています。

■エコを企業のエゴにしない

「SDGs」「エシカル」「サステナブル」… いろいろな言葉がありますが、アクセサリーではありません。私たちは、本気で未来を考えるために使う言葉だと捉えています。エコを企業のエゴにせず、今この時にも環境汚染が進んでいることを、私たちはしっかりと理解したいと思っています。環境に良いという商品だけでなく、本当にお客様にとって良い商品であり、「使い続けたい」「買い続けたい」と思う商品を作り続けていきます。

■土から生まれたものは土に還す

エシカルバンブーの工場内では、一切の化学薬品を使用していません。製品にも化学薬品を使用していません。そうすることで、飲めるぐらい安全と言える基準をクリアするために、様々な外部機関での検査を行い、安全性を保っています。

■山や森を守ることを目的にしたものづくり

先人たちが守り続けてくれた自然を私たちの時代で終わらせるのではなく、未来へつなげ残していくためにも、ものを作るために山に入るのではなく、山や森を整備することを目的にしたものづくりを追求しています。

■働きづらい人が働きやすい仕組みを作る

それぞれの人たちのそれぞれの適職を見つけて、その仕組みを作ることを行っています。

竹でサステイナブルな社会を実現する

これから先の未来として私たちが考えているのは、竹の利活用によるサステイナブルな社会の実現です。山口での取組をさらに発展させ、将来的には全国の自治体との連携を行い、環境循環型竹産業の創出に挑戦していきたいと思っています。

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竹産業で描く未来としては、「国産竹のブランド化」「各地域の特徴を活かした竹製品づくり」「新たな竹産業の構築」です。循環型産業を創造するための事業及び商品開発を行い、量を追わずに付加価値を訴求できる製品を提案し続け、新たな使い方や活かし方を含めて市場を創造していきたいと思います。

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞

これらを実現していく上で重要なのが、私たちの企業理念です。会社を作る時に、どのような会社を作りたいかを考えて、私が勝手に作った造語があります。「笑働笑進(しょう-どう-しょう-しん)」と読みます。笑顔で働きながら、笑顔を生み出す商品を作り、協働してくれる地域や仲間に感謝をして、お客様に感謝をして、その先の世界に進むという言葉です。

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞

私たちは2020年にペルーに進出し、2022年に台湾とシンガポール、そして2023年にはインドネシアに進出しました。ただ、いくら商品が売れるようになっても、基本的には国内の生産力を上げるということを考えていきたいと思います。

今後の展望として、日本に「竹の産業型エンターテインメント施設」として工場を創りたいという構想があります。竹で焚き火、竹のバームクーヘン、竹の流しそうめん… 子供たちが五感で竹を体験しながら、学ぶことができる場づくりです。竹に触れて、竹を嗅いで、竹を食べて、竹の音を聞けるような工場を実現したいと考えています。

次の世代も育てながら、海外では真似できないものづくりで付加価値を高め、国内の生産力を上げていきたい。そして、そのためのプラットフォームづくりをしていきたい。竹を有益な資源として未来に残し、竹害から竹財へという形で、私たちは竹と共に自分たちの竹取物語を進めて参りたいたいと思います。

第11回グッドライフアワード 環境大臣賞環境大臣政務官 朝日健太郎氏(左)から表彰されたエシカルバンブーの皆様(右3名)

【受賞取組の現場訪問】

グッドライフアワードでは、2024年1月23日(火)、エシカルバンブー社の現場を訪問し、竹Laboや工場の視察や宇部市の藤崎副市長への挨拶を行いました。

放置竹林などは全国で発生している地域課題であり、その課題解決に取り組んでいるエシカルバンブー株式会社。現地を訪れた際、代表取締役の田澤社長の竹に対する想いに感銘を受けました。竹に対する熱意と知識、エシカルバンブー株式会社が目指すべき未来を明確に語ることが出来るのは、長年研究し続けてきた結果ではないかと実感しました。

竹林整備を行いその竹で商品を作るだけでなく、地域住民の雇用創出や社会復帰促進センターと連携することで地域課題の解決に取り組むとともに、地域経済の活性化に貢献していく姿はまさしく、環境・社会・経済を同時解決する「地域循環共生圏」を体現しているのではないでしょうか。

また、益田実行委員長と共に、エシカルバンブー株式会社が連携協定を締結している宇部市役所を訪問し、藤崎副市長と対談も行いました。副市長と田澤社長のお話を伺い、エシカルバンブー株式会社がリーディングカンパニーとして牽引していくことに宇部市が大きな期待を寄せていることが分かり、共に良い関係性が構築できている事を実感しました。

環境省 地域政策課

第11回 グッドライフアワード

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